宮舘涼太の解剖学。
セクシー・ロイヤル・美しく。“舘様”こと宮舘涼太を取り巻く言葉は、いつだってエレガントだ。しかしながら、口を開くと、天然でユーモアある性格も見え隠れする。果たして、素顔の彼とはどんな人物なのか。その魅力を紐解いていきたい。
洋服に込められた想いやストーリーを知るのが好き

スタジオに到着するやいなや、「読みましたよ」と同グループの佐久間大介が登場する本誌のファッション企画についてなめらかに話し始めた。
「ファッションの最新情報を知るために女性誌をよく読んでいるので、目にしていたんです。この表紙も素敵ですよね。これ、ロケ地は銀座かな」
雑談から始まったインタビュー。ページをめくる手元から言葉選びまで独自の美学があり、口調はとても穏やか。“ロイヤル”という称号はこうした繊細な所作から皆が嘘偽りなく感じ取ったものなのだと、向き合ってみて実感した。
「構えているつもりはないんです。たとえば、物を指す時に人指し指だけでなく、こういう指し方(と実演)になるのも、僕には自然なことなんです。ロイヤルと言っていただける言葉は、“残り香”のようについてきてくれたものだと感じています」
自他ともに認める無類のファッション好き。
料理やサーフィンなど多趣味でも知られる宮舘。何より、ファッションへの情熱が群を抜いているという噂は前々から耳にしていた。取材日は奇しくも、パリコレ直後のタイミング。
「今季はシャネル、セリーヌ、ディオール……ほとんどをオンラインで見ました。以前、現地でのショーに出席させていただく機会があったのですが、独特の空気感や香りまで感じられる貴重な時間でした。ウィメンズは特に華やかで、素材や繊細なディテールを間近で見られるのもいいですよね。ショーって五感で感じませんか?」と、その後も各メゾンのデザイナー交代劇後の傾向分析の話に熱がこもる。敬愛しているのはエディ・スリマン。2016年のサンローランのショーに感銘を受けたことに始まり、「エディにクチュールで服を作ってもらったこともあるんです」と次々とファッション談議に花が咲く。
ファッションエディターと話している気分になりますねと伝えると、「確かに、ほぼその目線かもしれません」と、ファッションについて話す宮舘は水を得た魚のようだ。
何に対しても愛情を持って生きていく、それだけは変わらない

「ブランドのアトリエやショップに足を運んで、込められた想いやストーリーを聞くのが好きなんです。糸は何を使っているとか細かなこだわりから、コレクションのコンセプトまで情報をインプットしたうえで購入することが多いですね。似合うか否かよりも、デザインが好きなら冒険することを楽しみたい。自分の感情が盛り上がるかどうかが、ファッションの重要なポイントだと思います」
幼少期から、祖母の影響もあってバーバリーのトレンチコートを着て銀座を歩き、毎朝の通園服のコーディネートにもこだわりが強かったという。この日は私服のトレンチコートに、マイブームだというヒョウ柄のシューズで現れた。
「モノトーンの中に挿し色を入れるのが好き。あとヒールブーツはシューズ棚の2面を占めるぐらいあって、大好きですね。服がウォークインクローゼットに入りきらないので、衣装部屋も作りました。増えすぎたら後輩に託したりしますが、コレクションとして持っていたいものは、大事に保管しています」
ファッションアイテムだけでなく、革製品のお手入れは欠かせない趣味。
「革は呼吸をしているので油分と栄養を与えてあげないといけない。ジャケットやパンツ、ソファにも丁寧に向き合ってます」
穏やかな感情の裏に潜むのは、気遣いと集中力。
撮影前の衣装フィッティングでは、物言わず、1着1着に集中しながら、そのスタイルを自分の中に取り込んでいく様子が見て取れた。撮影中もフォトグラファーの意図に合わせてポージングや表情、指にはめたリングの向きにまで気を配り、細かく変えていく。服が好きな人の動きだ、とわかる。指先や視線までコントロールされた舞台的表現力の高さに定評のある宮舘。その能力はファッション撮影でも際立ち、物静かなプロフェッショナリズムを醸し出す。その姿があまりにも静寂で淡々としているように見えるのだが、感情を表に出すこともあるのだろうか?
「焦ったりする時も怒る時ももちろんあります。でも、怒って何か解決するのか?とすぐに思い直すんです。感情を態度で露わにするのでなく、理由を冷静に言葉にした方が伝わると思うので、意識的に柔らかい雰囲気を作るようにしています」
主役である演者の挙動や言葉ひとつで、現場の雰囲気は変わってしまうもの。そのことを誰よりも理解して、気にかけている人なのだろう。
「昔は完璧主義でした。いまはある程度抜き方を覚えて、完璧でない自分を許せるようになってきて、気持ちも楽になりましたね。バラエティのゲームコーナーでも、完璧に決めて格好良く終わるよりも、決められなかった時に何をどう残せるかを考えています。力を入れすぎると眉間にシワが寄って、顔に出るタイプなので、100%のつもりの80%で臨むのがちょうどいいのかもしれません」
対話を通じて見えた宮舘ならではの“余白”の魅力。
自ら“余白”を作ることで、個性が生まれている。そして、それが彼らしいユーモアや遊び、優しさや余裕を生み出しているのかもしれない。一方で、貴族ならぬ武士のような“漢気(おとこぎ)”も感じる。
「誰かが困っていたら、放っておけないほうかもしれません。それが漢気なのかわからないけれど。ただ、人に相談をされた時は、相手の思考には立たず、客観的な立場で、違う道や選択肢を示すこともあります。こういう考え方もあるんじゃない?と、パスを渡したうえで、その人が選んだ道を応援しますね。自分が悩んだ時は人に相談するより、まず形にしてやってみる。やってみないとわからないから、自分で試す。やるか、やらないかだったら、絶対にやることを選びます」
付け焼き刃でも表面的でもない、人間対人間の真の優しさが滲み出る。
9つの強い個性が集まるSnow Manの中にいても自分のスタイルを崩さず、静かにグループの幅を広げている稀有な存在だ。
「9人いるので誰が前に出てもいいように、周りを見るようにしています。役割としての路線や方向性は決めていなくて、それぞれが好きなものを追求していったら、現在のバランスができました。自分自身もグループ全体も20代の時とは少し違うフェーズに入ってきたと感じていますが、9人一緒に大人になっているので、関係性が変わったとは感じないですね」

役者としては、ドラマ主演に続き、2026年6月公開の映画『黒牢城』に出演。演技の幅を広げながら得意の殺陣も披露する。
「しきたりもありますし一筋縄では行かない世界ですが、時代物にもっと挑戦したい想いが強いです。役と真剣に向き合えば向き合うほど、作品を楽しんでもらえると信じているので、一生懸命向き合ってどう自分のものにするかを考えています」
そう語る瞳には、まっすぐで静かな闘志が燃えていた。鷹の目のように物事を俯瞰で捉えながらも、夢中になっている物事には少年のように情熱が漏れ出る。この人間味こそが宮舘涼太の最大の魅力なのではないだろうか。完璧主義に囚われていた過去から脱却して33歳という年齢を迎えたいまを、自身ではどう捉えているのだろう?
「父親を見て育ってきましたが、自分がイメージしていた33歳とはちょっと異なるかもしれません。もっと渋くなる想像をしていたので(笑)。ただ、人に優しい人間でありたいし、愛される人間になりたい、という想いは変わらずあります。何に対しても愛情を持って生きていく、それだけは変わらないことですね」
Ryota Miyadate
1993年3月25日生まれ、東京都出身。2020年に9人組グループ、Snow Manのメンバーとしてデビュー。ラジオ「宮舘涼太のロイヤルサロン」(TBSラジオ)、料理バラエティ「黄金のワンスプーン!」(TBS 系・不定期特番)で単独MCを担当。2026年6月19日公開、黒沢清監督の映画『黒牢城』に若手武士・乾助三郎として出演している。
セリーヌ ジャパン
03-5414-1401
https://www.celine.com/ja-jp/home
ボッテガ・ヴェネタ ジャパン
0120-60-1966(フリーダイヤル)
https://www.bottegaveneta.com/ja-jp
- photography: Piczo (W)
- styling: Chie Atsumi (Ota Office)
- hair & makeup: Tomoko Miyakawa (Est Un)
- text: Naho Sasaki
*「フィガロジャポン」2026年6月号より抜粋