フランス女優に宿る、美しく在ることの意義 美しい女(ひと)を形容する、極めてフランス的な言葉。

Culture 2021.06.30

ファッション撮影のスタジオで、映画祭のレッドカーペットで、数々の大物女優にインタビュー。美しき女性たちと交流を重ねてきたフランス版マダムフィガロ誌のベテランジャーナリスト、リシャール・ジャノリオがフランス女性の美を語る。


美しい女(ひと)を形容する、極めてフランス的な言葉。

美しい女(ひと)を語る時に必ず出てくる言葉は、シック、エレガンス、アリュール。どれも非常にフランス的な概念です。

Allure
【alyːr】 〔人が〕気品[威厳]がある 〔物が〕秀でている、非凡である

Elégance
【elegɑ̃ ːs】 優雅、上品、洗練、心遣い、手際のよさ、スマートさ

Chic
【ʃik】 〔人, 行為が〕あか抜けした、粋な、シックな、上品な、しゃれた、感じのいい (話)すばらしい、快適な

アリュールはことに特別な言葉で、「彼女は全然アリュールがない」と言われたら救いようがありません。説明は難しいですが、すっと立っている姿勢、シルエット、動作のすべてに関わる、いわばその人の在り方。その人が部屋に入ってくると、皆がハッとして、その人のことしか見えなくなる。それがアリュールのある人です。アリュールは学ぶことができない。アリュールはあるか、ないか。それだけです。

エレガンスも学ぶことができないもののひとつ。服の着こなし、ヘアやメイクもそうですが、同時に、人との接し方や価値観も関わってくる。アリュールやエレガンスの概念にはエスプリや言葉遣いも含まれます。

一方、シックは、フランスというよりパリで生まれた言葉です。シックか否か──これも難しい問題で、服装、ジュエリー、メイク、アパルトマンのインテリア、色使い、立ち居振る舞いにも及びます。

フランスにはリュミエール(光)の世紀(18世紀の啓蒙時代)があり、アール・ドゥ・ヴィーヴルがあります。シックに繋がるものはこれまで時代遅れになっていましたが、いま、そのトレンドが戻ってきた。料理とテーブルアートも然り。おいしいものを、美しい食器やカトラリーでいただく。バカラやベルナルドー、ラリックなどのメゾンが再発見されています。これらはすべて、シックの観念に結びついています。歴史の長いメゾン同様、フランス人には美の歴史がある。美に慣れていれば、シックになれる確率は高くなるわけです。

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レア・セドゥ
2020年11月、仏マダムフィガロの表紙とファッションの撮影現場でのレア・セドゥ。リシャール・ジャノリオは、インスタグラムで「Lovely」とコメント。

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Richard Gianorio
1968 年、パリ生まれ。フランス・ソワール紙でキャリアを開始。30年にわたりカンヌ国際映画祭を取材。15年前に仏マダムフィガロ誌へ。3年前より現職。写真は昨年1月、Sidactionのディナーで、モニカ・ベルッチ、イザベル・ユペールと。
@richardgianorio

*「フィガロジャポン」2021年7月号より抜粋
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interview & text: Masae Takata (Paris Office), photography: Richard Gianorio (Madame Figaro)

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