2024年第77回カンヌ国際映画祭【毎日更新】ミシェル・アザナヴィシウス監督のアニメ映画が登場、カンヌ国際映画祭11日目の大階段。

Culture 2024.05.25

大階段11日目。ミシェル・アザナヴィシウス監督初のアニメ映画『La Plus Précieuse des marchandises（原題）』が上映された。ナレーターを務めた亡きジャン＝ルイ・トランティニャンの思い出を胸に、階段を上がるチームの姿が感動を誘った。

ミシェル・アザナヴィと彼の監督作品『La Plus Précieuse des marchandises 』のチーム。(カンヌ、2024年5月24日）AFP

2年前、ミシェル・アザナヴィシウス監督のゾンビ映画『キャメラを止めるな！』がカンヌ国際映画祭のオープニングを飾った。今年、監督は対極的な作品でクロージングに登場した。コンペティション部門に出品されたアニメ作品『La Plus Précieuse des marchandises（原題）』だ。原作はジャン＝クロード・グランベールの物語で、アウシュビッツへ向かう貨物列車から投げ出されたユダヤ人の赤ちゃんが、貧しい木こりの夫婦に育てられることになり......。

ホロコーストを背景としたこの物語の映画化にあたり、監督はアニメ仕立てにすることを選んだ。コンペティション部門にこのジャンルが出品されるのは『戦場でワルツを』（アリ・フォルマン監督）以来15年ぶりのこと。監督自らキャラクターの作画を手がけ、ナレーションをフランス映画界の偉大な俳優、ジャン＝ルイ・トランティニャンに依頼した。これは2022年6月17日に亡くなった俳優にとっての遺作となった。ジャン＝ルイ・トランティニャンが最後にカンヌ入りをしたのは2019年のことだ。今宵のパレ・デ・フェスティバルは名優を偲び、しんみりとした空気が流れていた。

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抱き合う夫妻

ミシェル・アザナヴィシウスは妻の女優ベレニス・ベジョと腕を組んで大階段へ。ベリーショートヘアの女優は、赤いスリットドレスから足が見えるのを気にせず、さっそうと階段をかけあがった。夫妻はフラッシュを浴びながら抱きあい、クロワゼットに戻ってきたことを喜んだ。ふりかえれば2011年、カンヌ国際映画祭で監督の『アーティスト』がプレミア上映され、主演のジャン・デュジャルダンが男優賞を受賞したことがアカデミー賞受賞へとつながったのだった。

やがて俳優のグレゴリー・ガドゥボワとドミニク・ブラン、音楽を担当したアレクサンドル・デスプラら『La Plus Précieuse des marchandises（原題）』チームが監督を取り囲んだ。監督の兄で俳優のセルジュ・アザナヴィシウスもいる。会場にチームが登場すると、笑顔のカミーユ・コッタン夫妻ら、観客から万雷の拍手で迎えられた。

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華やかなセレブ

第77回カンヌ国際映画祭もいよいよ終盤となり、大階段は大勢のセレブで賑わった。フランス映画界を代表する俳優たちが続々とレッドカーペットに登場し、ファンも報道陣も大喜びだ。まずはカメラドール共同審査委員長を務めるエマニュアル・ベアールが夫のフレデリック・ショーディエとやってきた。続いてメラニー・ローランがグリーンのスパンコールマーメイドドレスで登場。さらにミレーヌ・ファルメールのヒット曲が流れるなか、俳優のピエール・ドゥラドンシャンが現れ、その後ろにはある視点部門の審査委員長グザヴィエ・ドランが審査員を引き連れていた。

これに先立ち、アングロサクソン的魅力にあふれたヘレン・ミレンが堂々としたウルトラバイオレットのサテンドレスを纏い、レッドカーペットをやってきた。ロレアルパリのミューズとしてこの映画祭の常連であるアンディ・マクダウェルは、珍しくストレートヘアでの登場。若手では、王女様のような白いクリノリン・ドレスをさわやかに纏ったレナ・マフーフ。そして『キスから始まるものがたり』のアメリカ女優、ジョーイ・キングはセクシーな透けるラベンダードレスで魅せた。奇抜さでは花冠のようなドレスを纏っていたココ・ロシャがピカイチだった。セレブが往来するなか、ブリトニー・スピアーズの元夫サム・アスガリの姿も。クロワゼットの空気を吸いにやってきたのだろうか。

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