オリヴィア・ロドリゴのドレス、コンサート中に「溶ける」。
9月25日(金)、「The Unraveled Tour」の初日を迎えた歌手オリヴィア・ロドリゴは、白いドレスを身にまとってステージに登場した。ところが、カーテン状に降り注ぐ水に濡れると、ドレスの生地は溶けてしまった。

ステージ上でのある瞬間が大きな話題を呼んでいる。9月25日(金)以来、歌手オリヴィア・ロドリゴが着用した「溶けるドレス」の動画がSNSで広く拡散されている。彼女は、自身のツアー「The Unraveled Tour」の初日公演で、強烈なインパクトを残そうと考えていた。コネチカット州ハートフォードのピープルズバンク・アリーナのステージで、彼女はプリーツスカートが付いた白いミニドレスを身にまとい、楽曲「The Cure」を歌い始め、ファンが声をそろえて歌うなか、オリヴィア・ロドリゴは衣装を変化させた。
ステージでは、天井から人工の雨が降り始め、彼女のドレスを濡らしていった。水のカーテンが白い衣装にますます水を含ませていくにつれ、そのドレスは観客の目の前で少しずつ溶け始め、ついには完全に消えて、赤いコルセット風のボディスーツとミニスカートが現れた。まさにファッションの一幕と呼ぶにふさわしい演出で、ファンたちを魅了した。「実際に目の前で見ると、本当にすごかった」「アートとしては、言葉では言い表せないほど美しい。スタイリストに拍手!」「こういう変身するドレス、大好き」「完璧すぎる」と、SNSには複数のファンからコメントが寄せられた。
「溶けるドレス」
これは衣装のトラブルではなく、れっきとした意図的なステージ演出だった。このドレスをデザインし、オーダーメイドで制作したのは、実験的でコンセプチュアルな作品で知られるトルコ人デザイナー、フセイン・チャラヤン。1999年と2000年には、「ブリティッシュ・デザイナー・オブ・ザ・イヤー」にも選ばれている。オリヴィア・ロドリゴのために彼が選んだのは、ランウェイで披露した自身の最も印象的な実験のひとつ、「水によって衣服が溶けていくデザイン」を再解釈したものだった。2016年春夏コレクションの発表では、ミリタリー風の白い紙製ドレスを着たふたりのモデルが、ランウェイに降り注ぐ人工の雨を浴びる演出が行われた。モデルたちの衣装にも人工の雨が降り注ぎ、白い紙のドレスが水に濡れて変化していったのである。
衣服は水に溶けてなくなり、その下から、ヤシの木のモチーフとスワロフスキークリスタルをあしらったドレスが現れた。当時、デザイナーとそのチームは、水に触れると反応して分解する、いわゆる水溶性の特殊な生地を開発するため、6か月を費やした。「水に溶けて、その下にある別のものを見せることのできる衣服というアイデアが気に入っていた」と、彼は当時、米国版雑誌「ヴォーグ」の取材で語っている。スタイリストのクロエ・デリガディージョとシェネル・デリガディージョのふたりは、この作品を「溶けるドレス」と呼んでいた。この名前は、オリヴィア・ロドリゴのツアータイトル「The Unraveled Tour」にも呼応しているようだ。「unraveled」は、「ほどける」「もつれが解ける」といった意味を持つ。
From madameFIGARO.fr
※この記事は、フランスの新聞社「Le Figaro」グループが発行する「madame.lefigaro.fr」で掲載されたものの翻訳版です。データや研究結果はすべてオリジナル記事によるものです。
- text: Leonie Dutrievoz (madame.lefigaro.fr)
- translation: Hanae Yamaguchi