ホリデーシーズンにぴったり！ セレブたちのリトルブラックドレスを振り返る。

ガブリエル・シャネルが1920年代に再解釈して以来、リトルブラックドレスは時代ごとに姿を変え、マリリン・モンローからオードリー・ヘプバーン、そしてダイアナ妃へと受け継がれながら、女性のワードローブに欠かせないアイコン的存在となってきた。

人々の記憶に深く刻まれている一枚がある。1994年6月のある夜、ロンドンで車を降りたレディ・ダイアナは、クリスティーナ・スタンボリアンによる黒のドレスをまとい、肩を大胆に露わにしながら、凛とした佇まいを見せた。このドレスは、チャールズ皇太子との別離を公に示す場で選ばれたことから、後に初めて「リベンジドレス」と呼ばれるようになる。その夜、彼女は気品を漂わせ、シンプルなリトルブラックドレスが持つ圧倒的な力を、あらためて世に知らしめた。リトルブラックドレスが時代を超えて愛され続ける理由は明白だ。アイコニックなこのアイテムは、何十年を経ても色褪せることがない。「リトルブラックドレスなら、きちんとしすぎることも、ラフになりすぎることもない」と語ったのはカール・ラガーフェルド。その言葉は、いまなお真実であり続けている。

その物語は、第一次世界大戦とスペインかぜという悲劇に見舞われ、ヨーロッパ全体が厳粛な空気に包まれていた20世紀初頭に始まる。多くの女性たちは喪に服し、敬意と強さの象徴として、ダークカラーの装いを身にまとっていた。そんな時代背景のなかで、リトルブラックドレスは誕生する。1926年、偉大な先見の明を持つガブリエル・シャネルは、傑作を発表した。黒いクレープ素材で作られた、ハイネックで膝丈のフィット感のあるドレスだ。それは瞬く間に、現代的で自由でエレガントな女性の象徴となった。ロミー・シュナイダー、ジャンヌ・モロー、ジュリエット・グレコといったアイコンたちに瞬く間に取り入れられ、女性のワードローブに欠かせないアイテムとしての地位を確立した。その軌跡を写真と共に振り返る。

英国王室の一員であるダイアナ妃が、クリスティーナ・スタンボリアンによるブラックドレスをまとい、ロンドンのサーペンタイン・ギャラリーで開催された「ヴァニティ・フェア」主催のイブニングパーティに出席。（イングランド、1994年11月20日）photography: Princess Diana Archive / Getty Images

時代を超えて

1950年、映画『アスファルト・ジャングル』のプロモーション時にマリリン・モンローがまとったブラックドレスを思い浮かべずにはいられない。人々の記憶に強く刻まれた、そのシルエットは、瞬く間にアイコンとなった。同様に、1961年の『ティファニーで朝食を』でオードリー・ヘプバーンが着用したブラックドレスもまた、映画史に残る存在だ。ユベール・ド・ジバンシィが彼女のために仕立てたこの一着は、いまなおスクリーンを代表する最も象徴的な装いのひとつであり続けている。

シンディ・クロフォードは、ニューヨークで開催された雑誌「ヴォーグ」創刊100周年記念パーティで笑顔を見せた。エルベ・レジェの黒のバンデージ風ミニドレスと黒のロンググローブを身につけている。（ニューヨーク、1998年1月1日）photography: Victor Malafronte / Getty Images

トップモデルたちも、この定番アイテムを積極的にとりいれてきた。たとえばシンディ・クロフォードは1998年、ニューヨークで開催された「ヴォーグ」創刊100周年記念パーティで、ロングの黒いグローブを合わせたエルベ・レジェのドレス姿で大きな話題をさらった。一方、当時21歳でジョニー・デップのパートナーだったケイト・モスは、1995年に行われたフランク・シナトラのバースデーパーティで、ジャン・デセによるヴィンテージのブラックカクテルドレスを纏い、ゲストの視線を釘付けにした。肩を大胆に露わにし、装飾用フェザーで彩られたその一着は、忘れがたい印象を残している。そして現在もなお、リトルブラックドレスはデコルテのデザインや丈の長さを変えながら、進化を続け、真のクラシックは決して色褪せないことを証明し続けている。

ホリデーシーズンにぴったりのブラックドレス