Kawakyun 革の本当の価値を伝える「Thinking Leather Action」。
Fashion 2025.02.19
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「革」「レザー」の本来の価値を伝えたい!
皮革・革製品がサステナブルであることを伝える「Thinking Leather Action」のこと。
一般社団法人日本皮革産業連合会が行った「生活者意識調査2022」では、「革のために動物を殺している」と誤解している人が24%、皮は食肉の副産物であることを知らない人が62%存在していることが明らかになった。
実際は、食肉の副産物である皮は世界最古のアップサイクル素材であり、人間は太古の時代から動物の命をありがたくいただき、肉も皮も余すことなく活用してきた。現在は、医療品、油脂、コラーゲン、ゼラチン、肥料として、皮のみならず血や骨にいたるまでが活用されている。仮に、革の製造をやめたとしても、食肉を続ける限り皮は産出され続け、無駄に廃棄されることになるが、こうした事実は知られていないようなのだ。
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皮革・革製品のサステナビリティを発信し、革にまつわる正しい知識の啓発に努めるプロジェクト、「Thinking Leather Action」が日本皮革産業連合会でスタートしたのは2021年のことだ。
「SDGsが叫ばれるようになったころから、なぜか皮革・革製品に対する否定的な意見が目につくようになった。メディアやSNSにおいても、『動物福祉(アニマルウェルフェア)の観点から革製品を使わない』とか、『革は、植物由来・石油由来の代替素材より環境負荷が高い』というような、誤った知識に基づいた表現が散見され、そうした風潮に危機意識を抱いた」と話すのは、同プロジェクトの座長を務める川善商店の川北芳弘さんだ。川北さんは1959年に創業した皮革の製造卸業「川善商店」の代表でもある。
「『動物福祉の観点から』という表現では、まるで革を取るために動物を殺しているように捉えられますし、『植物等由来の○○レザー』という表現については、そもそも人工の素材はレザーではありませんから明らかな誤りです。そうした風潮を受け、革製品の販売事業者も自身が扱う製品に対して自信をもてるよう、正しい知識を普及させることが必要だと感じました」
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皮は食肉の副産物!
「たとえば、世界で食肉されている牛は年間3.2億頭、そのうち革になっているのは55%(※1)。すでに一部の皮は革製品にならず廃棄されています。ですから、革のためだけにわざわざ動物を殺す必要はありませんし、そもそもコストに見合いません(※2)。また、ワニ、トカゲ、ヘビ、オーストリッチ、サメなど、エキゾチックレザーと呼ばれる動物は、その生息地域において古くから貴重なたんぱく源として食べられたり、医薬品として活用されたりしてきたものです。その皮が革製品の材料として地域の重要な産業となっており、これらの収入は現地の子どもたちの学費としても役立てられています。ワシントン条約に基づく乱獲防止や生息地域の保護・養殖にも力を注いでおり、害獣化予防にも一役買っています」
※1 出典:Nothing to Hide: Hide and skin production around the world, World Leather, Vol.33, No.6, p.20 (2021)
※2 肉用牛1頭の飼育にかかる費用は83~143万円️/年間、それに対して成牛の革1頭分の価格は2~5万円程度。出典:令和2年肉用牛生産費 農林水産省
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革は、環境負荷が高い素材なのか?
「革は石油由来の素材に比べて環境負荷が高い」という意見もあるが、これは誤解である。革を代替すると謳った素材と革を比べてみると、革の耐久性は段違い(下記図参照)。製品の製造時と廃棄時、それぞれに環境負荷がかかると考えると、長持ちする革は寿命が短い素材よりもむしろ、環境負荷が少ないといえそうだ。
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もう一点、「革=環境負荷が高い」と誤解されるようになった背景には、鞣しに用いられるクロムに対する先入観もありそうだ。世界の鞣し革の85%に使われている3価クロム(塩基性硫酸クロム)は洗顔料や化粧下地などにも使われている薬剤である。皮革製造においては、排水処理さえきちんと行われていれば少量・短期間で安定的に鞣すことができるうえ、環境に対する負荷も比較的少なく、優れた薬剤だといわれている。その排水も厳格に管理されている。
日本のタンナー業界の排水処理の精度は世界トップクラスといわれており、たとえば、日本のタンナーが集まる兵庫県では皮革排水専用の下水管と専用施設を設けており、それらで処理した後に一般の下水処理場に送っている(https://kawa-kyun.jp/column/water/)。
「世界のものづくりの現場では、排水処理をきちんと行っているタンナーとしか取引を行わないという潮流があることもお伝えしたいと思います」
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革と、「革を代替する」と謳った素材はまったく別もの!
キノコ由来、サボテン由来、リンゴ由来......近年は「革を代替する」と銘打った、植物由来、石油由来の素材がさまざまに開発されている。ヴィーガンのファッションデザイナーがそうした素材を使用したことで、ファッション業界でにわかに注目を集めたことも記憶に新しい。
「さまざまな技術の発達によりユニークな素材が生まれています。バイオ樹脂などを使った素材も登場しており、素晴らしい取り組みだと感じています。けれどもそうした素材を○○革や○○レザーと謳い、かつ『本革よりも環境負荷が低くエシカルだから、サステナブルである』とアピールすることには違和感を覚えます。革を名乗らず、革とは別の素材としてそれぞれのメリットを打ち出していけばいいのではないでしょうか?」
すでにイタリア、フランス、スペイン、ドイツ、ポルトガルなどEU諸国やブラジルでは、『レザーとは動物由来である』と法律によって定められていたが、日本においても「革」「レザー」の用語に関するISO規格を基にしたJIS(日本産業規格)が24年3月に制定された(JIS K 6541:2024)。
「これに伴い、リンゴやキノコ、サボテンなどを原料とする素材を、フェイクレザー、ヴィーガンレザー、シンセティックレザー、○○革、○○レザーと呼ぶことはできないとJISで規定されました。植物由来の素材に誤用されがちだったエコレザーは、『環境に配慮して製造される革・レザー』と規定されました」
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皮革・革製品に対する誤解を払拭し、皮革だけがもつ価値を発信していきたいと、地道な活動を行ってきた「Thinking Leather Action」だが、24年秋、こうしたメッセージを掲げた広告が「第73回日経広告賞」最優秀賞、「第59回(24年)日本産業広告賞」佳作を受賞。こうした評価を積み重ね、正しい情報に基づいたメッセージを多くの人に届けていきたいと考えている。
「将来的には子どもたちに向けた啓発活動にも取り組みたいと考えています。『みんなが当たり前のように食べているお肉から皮が出て、それが革になってみんなの鞄や靴になるんだよ』ということを、体感で理解してもらえるアクションを考えています」
皮革はたくさんある素材のひとつにすぎず、完璧ではない。皮革・革製品の担い手たちは、よりよい革を目指すという気持ちを常に心に留めながら、環境配慮や品質の向上を目指して地道に活動しているのである。
https://tla.jlia.or.jp/
*日本タンナーズ協会公式ウェブサイト「革きゅん」より転載
editing and text: Ryoko Kuraishi