2050年、私たちの寝室はどうなる? その姿はきっと想像とは違う!

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不安をかき立てるようなSFの世界とはほど遠く、あるフランスの調査から見えてきたのは、未来の寝室は、スマートでありながら、穏やかで落ち着ける空間になりそうだということ。さあ、未来の寝室をめぐる旅へ出発しよう。

未来の寝室は、安らぎに満ち、人との交流も楽しめる心地よい空間に。2050年には、1960年代に一世を風靡した「カンバセーション・ピット」が本格的に復活? photography: Loïc Vergnaud pour La Redoute

これまで思い描いてきた未来のイメージ、『ブレードランナー』や『フィフス・エレメント』、『レディ・プレイヤー1』といった空想未来映画が私たちの頭の中に植えつけてきた光景も、いったん忘れてほしい。未来の寝室は、暗く、スクリーンやケーブルであふれた空間にはならない。むしろ、穏やかで落ち着ける場所になる。少なくとも、ヨーロッパ最大の通販会社ラ・ルドゥートが実施した調査からは、そんな未来像が見えてきた。「私たちは毎年、消費者が何を求めているのかを知るために調査を行っています」と、ラ・ルドゥートのスタイル&デザイン・ディレクター、マリー・ヌーレは説明する。

「今回は寝室について、さらに掘り下げて調べることにしました。というのも、フランス人の暮らしのなかで、寝室がますます重要な場所になっているからです。たとえば、今後25年間の住まいの変化に特に大きく関わる世代である18〜34歳の51%が、寝室は家のなかでいちばん好きな場所だと回答しています。しかも、彼らは寝室でさまざまなことをしています。75%がドラマや映画を観て、68%が読書をし、59%が仕事をし、さらに17%は寝室にゲストを招くことさえあるのです。この年代の59%は、より広い意味で、寝室は多機能な空間であるべきだと考えています。そこで私たちは、こうして得られた情報をもとに、彼らにとって理想的な未来の寝室を考えることにしました」

ベッドやアルコーブ、球形のペンダントライト。未来の寝室は、いたるところに丸みを帯びたフォルムがある。photography: Loïc Vergnaud pour La Redoute.

こうした調査結果から、ひとつの明確な考えが浮かび上がった。私たちは近い将来、スクリーンに囲まれた生活に飽和状態を迎え、心地良さが何より重視される寝室では、スクリーンそのものが見えない存在になっていくはずだ。この見方を裏づけるように、調査に回答した18〜34歳の47%が、身体的な快適さをかなえるために、ナチュラルでスマートな素材を優先したいと答えている。「だからといって、テクノロジーを手放すわけではありません」とマリー・ヌーレは続ける。「テクノロジーは目に見えないかたちで取り入れ、この本質的な心地よさのために役立つものでなければなりません。

また、プライバシーを守りながら、ときにはそこへ誰かを招き入れたいという思いが共存している点にも、私たちはとても興味を持ちました。プライベートな領域をさらけ出しすぎずに、どうすればこの部屋を人に見せることができるのか?」

 ▶︎ヴィンテージ家具に囲まれた、パリジェンヌのインテリア術。

この問いへの答えを探るため、フランス北部に拠点を置くラ・ルドゥートが着目したのが、同じ地域にある建築家ロベール・マレ=ステヴァンスの代表作、ヴィラ・カヴロワの「カンバセーション・ピット」だった。「カンバセーション・ピット」とは何だろう? 会話や交流のためにつくられたスペースで、多くは円形またはU字形をしており、ソファが配され、カーペットが敷かれている。1950〜70年代に非常に人気だったこの空間は、たいていリビングの中央を掘り下げたような、一段低い場所に設けられていた。「私たちは、守られているという感覚をより強く感じられるよう、このコンセプトを再解釈しました。こうして2050年の寝室には、ベッドのあるエリアより一段低い場所に小さな円形劇場のようなスペースを設け、その正面に暖炉を配置しています。そこが、人を迎えるための場所になるのです」とマリーは付け加える。

やわらかな肌触りに加え、いまでは防ダニ加工も施されるようになり、カーペットが再び人気に。photography: Loïc Vergnaud pour La Redoute.


注目したいのは、この新しいスタイルの「カンバセーション・ピット」が、全体的に丸みを帯びたフォルムで構成されていることだ。「この選択には、きちんとした理由があります。丸みがもたらすのは、やわらかさ。一方、角にはどこか硬さがあります。私たちが目指したのは、硬い殻で守られるような空間よりも、繭に包まれるような心地よさでした。それは、すでに10年前から現れ始め、いまも続く“おこもり”への欲求とも重なる、オーガニックなデザインのトレンドにも通じています。だからこそ、私たちは過去のアーカイブ、とりわけ1970年代の資料を掘り起こしました。そこで再発見したのが、1974年に誕生したベッドです。当時流行していた曲線的なフォルムを見事に取り入れたデザインで、今回、それを現代的に再解釈しました」美しいオブジェを飾ったり、腰を落ち着けて本を読んだり、のんびり過ごしたりできる大小さまざまなアルコーブにも、同じようにアーチを描くフォルムが取り入れられている。

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もうひとつ、心地よさをもたらす重要な要素が素材だ。まずはテキスタイル。なかでもカーペットが大きな復活を遂げている。防ダニ加工などの進化によって再び魅力的な選択肢となり、素足で歩いたときの心地よさも魅力だ。2050年の寝室には、天然素材で環境にも配慮したリネンが取り入れられる一方、防音や断熱などの機能を備えた「スマート・インテリジェンス」なファブリックも積極的に採用される。「テキスタイル分野の進歩は目覚ましいものがあります」と専門家は熱を込めて語る。「だからこそ、25年後にどのようなイノベーションが生まれているのかはまだわからなくても、私たちはこの分野にしっかり目を向けたいと考えました。現時点では、光の強さに反応し、それに応じて透過性を変え、より不透明になったり、逆に光を通しやすくなったりするファブリックに注目しています。

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大地を思わせる色合いが、地に根を張るような安心感をもたらす。photography: Loïc Vergnaud pour La Redoute.


また将来は、強い日差しを受けると窓ガラスそのものが色づき、室内の涼しさを保ちながら、エネルギー消費も抑えられるようになると考えています。こうした技術はすでに存在していますから、今後さらに普及し、進化していくと想像することができます。たとえば音声で窓ガラスを操作し、必要に応じて不透明にするといったことも可能になるでしょう。こうした、暮らしにさりげなく溶け込むテクノロジーとのつながりこそ、2050年の寝室を形づくる鍵なのです」

ほかに注目される素材は、カーボンフットプリントの小さい菌糸体(マイセリウム)と、天然素材として支持される木材だ。木は、淡いイエローからブラウンまでのカラーパレットとも美しく調和する。「フランス人が最も好きな色はブルーです」とマリー・ヌーレは説明する。「ですから、私たちも自然とブルーを使うことを考えました。でも、ブルーはくつろぎをもたらす色ではありません。水や動きを象徴する色だからです。ブルーに包まれた空間で眠るのは、船の上にいるようなもの。心を落ち着かせる色とはいえません。それとは対照的に、“アースカラー”は動きとはかけ離れた色で、根や安定を象徴します。穏やかさを感じさせる色なのです」

もちろん、収納も欠かせない。だがその存在は隠されている。photography: Loïc Vergnaud pour La Redoute.

また、寝室において、収納は重要な要素。18〜34歳は、さまざまな活動ができる寝室を望む一方で、クローゼットが目に入ることは望んでいない。

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「そこで、スクリーンやホーム・インテリジェント・システムと同様に、収納も見えない存在にするため、壁の中に組み込みました。ここでもやはり、テクノロジーをさりげなく暮らしに溶け込ませるという考え方です」すべてが調和したこの空間に、植物の居場所はあるのだろうか。「もちろん、それも私たちが考えたことのひとつです」とマリーは続ける。「そして、議論しました。植物は夜間にCO2を排出するため、寝室に置くことは推奨されないという意見があります。一方で、植物は外の世界や空気を象徴する存在でもあります。そこで、やはりいくつかは置こうということになりました」

もちろん、30㎡という広さを持つこの寝室は、あくまで理想的なモデルだ。それでも、これからの空間を考えるうえでのヒントやアイデアを与えてくれる。そして何より、テクノロジーにのみ込まれるような未来像とは異なる、新たな可能性を示している。マリーが強調するように「ここでは、テクノロジーはウェルビーイングのために役立つよう、うまくコントロールされています」。まさに夢のような寝室だ。

From madameFIGARO.fr

※この記事は、フランスの新聞社「Le Figaro」グループが発行する「madame.lefigaro.fr」で掲載されたものの翻訳版です。データや研究結果はすべてオリジナル記事によるものです。

  • text: Vanessa Zocchetti (madame.lefigaro.fr)