暮らしを彩るアートな花器と花の飾り方。

そのまま置いても空間に映えるアートオブジェのような花器は、シンプルに旬の花を生けるだけで部屋の景色を瑞々しく生まれ変えてくれるもの。日々の暮らしをアップデートしてくれる、花器の選び方、花の飾り方とは。

窓という画角に、
遊び心のある花器を描くように。

柔らかい曲線美やユニークな形……。
窓辺に置くだけで絵画のようになる、遊び心あふれるデザインの花器は、主張のある花を一輪生けるだけで一気に部屋が華やぐ。

1.2.
オーガニックな曲線がセンシュアルに際立つ。

スナイト・スタジオ

女性の柔らかなフォルムから着想を得て生まれた、ドイツのスナイト・スタジオによる「オーラベース」シリーズ。素肌を思わせるヌードカラーの陶器は光が当たると立体感が加わり、よりセンシュアルに。ダリアやシンビジウムなど個性の強い形の花を凛々しく、あえて茎の直線を見せるように生けると、花器の曲線的な造形とのコントラストが際立つ。1.￥17,600、2.￥17,600

3.4.
カラフルで愛らしい、クレイの一点もの。

アナ・ビーム

ロンドンを拠点に活動するアナの手がける花器は、どの作品も明るい色彩と遊び心にあふれている。カラフルなクレイのピースを組み合わせて即興的に作るため、すべて一点もの。温かみが滲み出た愛らしい花器には、飾る花も自由な組み合わせで楽しみたい。端正な佇まいのアンスリウムに、チョコレートコスモスなど可憐な野の草花を一緒に生けて。3.￥30,250、4.￥35,200

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モダンアートのように
存在感の強いデザイン。

ファッション界出身のデザイナーが提案するシグネチャーフラワーベースは、軽やかでフェミニンな生け方が正解。

5.6.
スタイリッシュなデザインが、潔く花を引き立てる。

ヴァレリア・ヴァッシ

ファッション業界出身、スペインで活躍するアーティストのヴァレリア・ヴァッシ。ミニマムでスタイリッシュなデザインは部屋の主役になる。マットピンクの花器「バブル」には、秋明菊やリコリス、ハゼランなど、同色の花のグラデーションでインパクトを強めて。植物が宙に浮くような「ガイア」には、直線的な茎とふくよかな花苞のカラーを生けて、全体で幾何学的なフォルムに仕上げたい。5.￥43,450、6.￥49,500

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白の花器で、
静謐な世界観を描く。

⼼穏やかなひとときを演出する白の陶器は、生ける花によって表情を変える奥深さが魅力。いくつか並べて飾っても、上品な印象に。

7.8.
表情豊かに輝く、白一色の陶器たち。

ビルビラ・カーコ

日本人作家のビルビラ・カーコは、白一色の陶器にこだわり続ける。ユニークで、ときにシュール、表情豊かなデザインが独特の存在感を放つ。なかでも静謐な空気を纏った「遺物」シリーズは、どんな花を合わせても絵になるもの。たおやかなバラや繊細な色合いのセルリアを一輪生けると、ベッドサイドにも寄り添って、穏やかで柔らかな雰囲気に。7.￥11,000、8.￥16,500

9.
生命力にあふれた、彫刻のような佇まい。

アンドレア・コラー

ドローイングを中心に活動するアーティストで、ウィーン在住のアンドレア・コラー。彼女がセラミックアーティストと共作した花器「マチルダ」は、女体を描いた彫刻作品のような優美なフォルムが魅力。生命力あふれる花器には、伸び伸びとドラマティックな花生けを。スカビオサとレースフラワーに毒気のあるパフィオを効かせて、白と緑だけの洗練された世界を作って。9.￥19,880

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花が躍り出す、有機的なクリアガラス。

無難に選んでしまいがちなクリアガラスこそ、デザイン性を重視したい。有機的な形を選べば、飾った花が躍り出すように⽣き⽣きと見違える。

10.
氷柱のような花器で、小さな冬景色を描いて。

リール

福井県を拠点にガラス制作を行う森谷和輝のブランド「リール」は、森の樹氷や湖に張った薄氷を彷彿とさせる。儚くも凛とした表情が印象的だ。場所を選ばず飾ることができる小ぶりのサイズ感の一輪挿しには、水やりのいらないドライの植物を飾って。冬景色をイメージして、葉が落ちた樹に見立てたクレマチスシードをシンプルに生けてみたい。10.￥1,980

11.
根付きの植物で、水中世界まで楽しむ。

マリメッコ

時代に流されることのない機能美と鮮やかなテキスタイルで知られるマリメッコだが、日々の暮らしになじむ花器のバリエーションも豊富。カリーナ・セス・アンダーソンがデザインした「フラワー」は、シンプルで柔らかなフォルムに癒やされる。根付きのスズランや、球根チューリップを生けるのがおすすめ。クリアガラスだからこそ、水の中の景色まで楽しめる。11.￥6,050

12.
ぽってりとした質感が、沖縄の空気を運んでくる。

おおやぶみよ

2003年に沖縄にアトリエを設立して以来、一点一点、作品の全工程をひとりで制作する、おおやぶみよ。おおらかで包容力のあるガラス作品は、ゆったりとした沖縄のリズムを感じられる。軽やかなシルエットのアンスリウムや利休草を生けると、花器のぽってりとした質感が引き立つよう。アネモネやラナンキュラスなどの花をぐっと短くして生けるのもよく似合う。12.￥3,850

13.16.17.
デザインと使いやすさが両立、ベーシックすぎない優等生。

センブレ

元フローリストのデザイナーが手がける花器は、あくまでも脇役に徹しながら目を引くもの。透明度の高い上質なクリアガラスが水の中の茎まで美しく見せる。有機的なカーブを描く一輪挿し「マディ」には、シルエットの異なる花たちを躍るように生けて。背の高い「エレファント」は、サイズ違いで使うことでリズム感が出て空間に映える。13.￥8,140、16.￥18,920、17.￥13,750

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背の高い花器に、枝ものを飾って大胆に。

部屋の⾓やベッドの横など、床置きで使いたい大きな花器。シンプルに枝ものを一輪潔く生けて、深呼吸したくなる⼼地いいコーナーに。

14.24.25.
鮮やかな吹きガラスが、あらゆるシーンに寄り添う。

ヘンリーディーン

ベルギーの小さな街で生まれたヘンリーディーンは、フローリストから信頼が厚く、初心者も生けやすい花器が揃う。藍色が印象的な「ボトル」には、シンプルに野バラの枝を飾るだけで空間が華やかに。適度な重さがあり、背の高い枝ものを生けても倒れず安心。グラスやキューブの鮮やかな一輪挿しも、花の自然な色合いを引き立てる。14.￥32,450、24.￥12,650、25.￥4,345

15.
温もりある白の素焼きは、無造作に、情緒豊かに。

ヴィヴ・リー

香港出身のアーティスト、ヴィヴ・リー。スコットランドのグラスゴーを拠点に、昔ながらの手びねりを用いて作陶している。花器「シンポイエシス」は、アーティなデザインながらも、手仕事らしい温もりを感じるフォルムと凹凸のある質感が特徴だ。スズメウリや時計草など、つる性の植物を無造作に流れ落ちるような飾り方で、洗練された情緒豊かな佇まいに。15.￥50,600

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素材で魅せる、テーブル上の小さな一輪挿し。

ガラスや金属、セメントなど、さまざまなマテリアルで作られた花器。どんな花も一輪添えるだけで完成する、その取り入れやすさもうれしい。

18.19.20.21.
パレットの上で遊んだような、色とりどりのマーブル模様。

アトリエ・マティック

セメント樹脂のほか、大理石やアクリルなどの素材を使ったアートワークで、東京を拠点に活動するアトリエ・マティック。色とりどりのマーブル模様は、環境に無害な水溶性セメント樹脂を調色して流し込むことで生まれる一点もの。柄ものの花器にはアンバランスなほど長めに花を生けると、花と花器が個性を強調し合っておもしろい。18.￥16,280、19.￥9,020、20.21.各￥6,820

22.23.
光によって変わる、異なる素材が織りなす表情。

熊谷 峻

ガラスと一緒に土や金属を用いて制作する熊谷峻。異なる素材で作られた花器は、地中から掘り出された鉱石のように幻想的。朝はガラスを透過する光が美しく、夜は土のマットな質感が際立つなど、窓辺に飾って、光によって移ろう景色を楽しみたい。アートピースとして楽しめるいっぽうで、どんな花を生けても絵になる汎用性も魅力。22.￥15,400、23.￥9,900

＊『フィガロジャポン』2021年1月号より抜粋