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DIOR

ディオール バンブー パビリオンで、イグサの香りに包まれながら。光井花と楽しむものづくり。

Culture

ディオールによる特別ワークショップの第5回が、10月8日の夜、代官山のディオール バンブー パビリオンにて開催された。この日のゲストは、テキスタイル作家の光井花。ディオール バンブー パビリオンのフィッティングルームを彩るイグサの壁面を手がけた彼女を講師に迎え、参加者たちはイグサを使ったコースター作りに挑戦した。日本に古くから伝わる素材に触れながら、その魅力を知り、触れるワークショップとなった。

テキスタイル作家・光井花。日本の伝統的な素材を用い、建築、ファッション、アートを横断する作品を制作。この日のワークショップで作るイグサ織技法を用いたコースターを手にとり、参加者に説明する。

まずは光井の案内で、彼女の作品が設置されたフィッティングルームへ。壁面に広がるのは、青を基調にしたイグサの織物だ。その制作背景について、光井は「福岡県の南部で長く愛されてきた掛川織という織物がありまして、その織物を拝見した時に、すごく古いものなんですけれども、市松柄がモダンに見えたので」と説明。掛川織の伝統的な織り方から着想を得て制作を続けてきた彼女がディオールのためにデザインしたのは、メゾンを象徴する「トワル ドゥ ジュイ」のモチーフをピクセル状に表現したものだった。

メンズ ルームに併設されたフィッティングルームで、光井の作品をじっくり鑑賞。

光井が大切にしたのは、空間に入ってすぐに絵柄が分かるのではなく、少しずつ見えてくること。「まず最初にイグサの香りがして、美しい青い壁面を見て、中でお着替えをしている最中にだんだんと、あれ、もしかしてよく見たらあれって狼なのかな?とか、見えたり見えなかったりするみたいなところを目指して図案を考えました」と語る。使われているイグサはわずか4色。「イグサ自体が自然素材。草なので、同じ種類でも同じ色はないと思うんですね。その草に染色を施すので、いろんな青になります。たった4色の染料なんですけど、本当に何百色もあるように見えてくる部屋に仕上がっています」と彼女。近くで見ると一本一本のイグサの色が微妙に異なり、離れるとひとつの絵柄が浮かび上がってくる。

掛川織の技法を用い、繊細に織り込まれた絵柄。

今回のワークショップでは、このフィッティングルームと同じ4色のイグサを使ってコースターを制作した。用意されたのは、イグサ織り体験のために開発された小さな手織り機。3種類あり、それぞれ織り上がる柄が異なるという。光井の説明を聞きながら、参加者たちは好きな色のイグサを手に取って一本ずつ織り機に通していく。レバーを前後に倒し、隙間にイグサを差し込んでは、ぎゅっと押し込む。その繰り返しで、少しずつ模様が現れてくる。色の順番を変えれば、市松模様にもボーダーにもなる。参加者たちは初めこそ慣れない作業に戸惑っていたものの、次第に夢中になり、おしゃべりも止まって会場が静まり返る場面も。隣の人の作品をのぞき込んだり、光井に相談したりしながら、それぞれのコースターを織り進めていく。

出来上がりをイメージしながら織り上げていく。イグサは乾燥すると割れやすいため、あらかじめ霧吹きで水分を含ませておいた。
光井も会場を回って参加者にアドバイス。
コツを掴むと、初心者でもどんどん織り進めることができる。

国産イグサは、断面の内側にあるスポンジ状の組織がきめ細かく、艶やクッション性に優れているという。国内の主な産地である熊本県八代地方では、豊かな土壌と球磨川のきれいな水がイグサの品質を支えている。また、イグサの香りにはバニラにも含まれるバニリンという成分があり、リラックス効果があるそうだ。普段何気なく接している畳の素材にも、知らなかった特徴がいくつもある。

材料のイグサは、ディオール バンブー パビリオンのフィッティングルームと同じブルーに染め上げられたもの。

光井自身、普段は各地の職人たちと協働しながら作品を制作しているが、こうして参加者と一緒に手を動かす機会はほとんどなかったという。今回のワークショップについて、彼女は「みんなで市松柄を織りましょう、みたいなワークショップもいいかなと思ったんですけど、せっかく来ていただくし、人によって好きなポイントも違うだろうから、あんまり制約をつけない方がいいのかなと思って」と振り返る。「たった4色と3種類の織り機しかないのに、みなさん全く違うものができて、おもしろかったですね」とも。完成したコースターは、色の組み合わせも柄もそれぞれ。皆、自分で織り上げた作品を記念として持ち帰った。

1時間ほどで織り上がったコースター。

「コースター作りを通じて、自然素材の持つ豊かな風合いや香りを身近に感じることができ、とても貴重な体験となりました」とは、参加者のひとり。「ディオール バンブー パビリオンの圧倒的な空間美の中で、イグサの香りに包まれながらコースターを作る体験はとても贅沢で心に残りました」という声も。少人数で、講師である光井との距離が近く、ブランドの世界観を深く知ることができたという感想や、館内ツアーを通じて「お気に入りの場所がまたひとつ増え、幸せです!」との声も寄せられた。「ブランドをよりよく知り、ますますディオールが大好きになってしまいました」という言葉も印象的だ。

次回は11月16日、クリエイターである柴田あゆみを迎え、切り絵で作るペーパーリースのワークショップを開催予定だ。

ディオール バンブー パビリオン
東京都渋谷区猿楽町8-1
営)11:00〜19:00
03-6455-2286

  • photography: Aya Kawachi
  • text: Tomoko Kawakami