オートクチュールに仮装舞踏会! アンドレ・オスティエの写真展。

Paris 2023.11.13

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展覧会のインビテーションに使われたメインビジュアルは1946年にブローニュの森で行われた仮面舞踏会『プレ・カトランの夜』のエレーヌ・ロシャスだ。彼女のコスチュームは夫マルセル・ロシャスが手がけたのだろうか? ©André Ostier/Association des Amis d'André Ostier

世界各地からギャラリーが参加し、2年にいちど開催される「Paris Photo(パリ・フォト)」。写真コレクターや愛好家たちが集まる4日間で、今年は11月9日から12日までの開催だった。この期間中はパリ市内のアートギャラリーでもさまざまな写真展が開催される。

その中から、12月2日まで開催されている珍しい写真展をひとつ紹介しよう。シャルロット・ペリアン、ジャン・プルーヴェ、ジャン・ロワイエといった20世紀の家具を扱う8区のGalerie Jacques Lacosteで、11月6日に始まった『André Ostier Intime(アンドレ・オスティエ、アンティーム)』展だ。アンドレ・オスティエ(1906~1994年)が撮影した、20世紀を代表するアーティスト、クチュリエたち、そして戦後のパリで華やかに催された仮装舞踏会など合計37点が展示されている。16区のブルジョワ家庭に生まれたオスティエが写真家として活動するのは、1940年頃から。アンリ・マティスからアンディ・ウォーホルといったアーティストたち、ココ・シャネルやイヴ・サンローランなどのクチュリエたちのポートレートを撮影した。被写体の名前から彼の写真家として得ていた評価が察せられる。

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左: アンリ・マティス、1942年。 右: シャーリー・ゴールドファーブの肖像画を制作中のデイヴィッド・ホックニー、1975年。©André Ostier/Association des Amis d'André Ostier

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1959年、クリスチャン・ディオール時代のイヴ・サンローラン。©André Ostier/Association des Amis d'André Ostier

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左: ユベール・ド・ジバンシィの1955年春夏オートクチュールコレクション。©André Ostier/Association des Amis d'André Ostier 右: クチュリエ、オートクチュールのコーナー。photo:Mariko Omura

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しかし、アンドレ・オスティエならではの写真といったら、戦後のパリをグラマラスに彩ったカフェ・ソサエティたちの写真だろう。彼らが主に1950年代に催した贅を尽くした仮装舞踏会の雰囲気をいまも知ることができるのは、彼が写真に残してくれたおかげである。フランスのモード誌で「パリ・ライフ」という連載企画の写真を担当していた彼は、生まれ持っての優美さで社交界の人々の集まりにやすやすと溶け込めていたのだ。たとえば1951年にヴェネツィアで大富豪のシャルル・ド・ベイステギが世界中から貴族、ミリオネアなど1500名を自宅のパラッツォ・ラビアに集め、後世に残る話題の舞踏会を開催した際に、セシル・ビートン、ロベール・ドアノーとともに会場入りを許された数少ないカメラマンのひとりがオスティエだった。招待された社交界の女性たちはクリスチャン・ディオールやクリストバル・バレンシアガたちのクチュールドレスで出席。会場にはその時の写真も展示されているが、その一方、1949年にボーモン邸で催された「王と王妃の舞踏会」に動物のかぶりものをしたクリスチャン・ディオールの写真も見ることができる。オートクチュールとその顧客たちがゴージャスに賑やかにパリを輝かせていた時代の貴重な雰囲気を写し残したオスティエ。この機会に彼の仕事を発見してみよう。

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1951年、シャルル・ド・ベイステギが開催した舞踏会。ヴェネツィアの運河沿いの宮殿にゲストを乗せたゴンドラが次々と。仮面をつけていないのはブラック・エンジェルに扮したアーティストのレオノール・フィニだ。©André Ostier/Association des Amis d'André Ostier

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左: 1949年にエティエンヌ・ド・ボーモンが開催した「王と王妃の舞踏会」に、友人のクリスチャン・ディオールは動物の王様の扮装で出席。 右: 1957年、サンルイ島のランベール邸で開催された「ヘッド・ボール」でのイヴ・サンローラン。photos:Mariko Omura

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アレクシ・ドゥ・レデ男爵。1951年のパラッツォ・ラビアでの舞踏会にて。©️André Ostier/Association des Amis d'André Ostier

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会場では有名人に限らず、舞踏会でオスティエの目を捉えた個性的な仮装の男女の写真も。photo :Mariko Omura

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写真展の後は2階に上がって、ギャラリー所蔵の20世紀の家具も鑑賞。photos:Mariko Omura

『André Ostier Intime』展
Galerie Jacques Lacoste
19, avenue de Matignon
75008 Paris
開)11:00~13:00、14:00~19:00
休)日
www.jacqueslacoste.com
@jacqueslacoste

editing: Mariko Omura

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