メゾン・アルバール・ル・ヴァンドーム、パティオで一杯。

PARIS DECO

パリ・オペラ座近くに、また新しいホテルがオープンした。夏のお楽しみとして地上階のパティオのバー・レストランがとりわけ魅力なので、記憶しておきたい名前である。

かつて「Le  Lion d’Or(ル・リヨン・ドール)」という名で知られたキャバレー&ブラッスリーだったという建物。ファサードは歴史的建造物として、1880年当時のままの木彫りの見事な姿が守られている。通りに面したこの建物と後方の建物を繋げて完成した51室のホテルが「Maison Albar le Vendôme(メゾン・アルバール・ル・ヴァンドーム)」で、ふたつの建物の中間には緑豊かなパティオが設けられた。

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いまのパリで珍しい外観が目を引くホテル。photo : Mariko Omura

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ル・パティオ・デュ・ヴァンドームの営業は10時から23時。©Adrien food in paris 

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外観からは想像できない世界が待っている。©Adrien food in paris

ここ「Le Patio du Vendôme(ル・パティオ・デュ・ヴァンドーム)」ではランチもディナーもとれ、そして毎日10時から23時までの営業なので、朝食やティータイム、アペリティフ、それに半端な時間の食事のための利用もできる。たとえば、グラスワインは6ユーロから。界隈のなんということのないカフェと変わらぬ価格で、ずっとオシャレに味わえるうれしい場所なのだ。食事メニューには、いまパリで欠かせない料理が並んでいる。前菜にはブッラータにクートー(マテ貝)、メインにはカラフルトマトやハンバーガー、そしてタコのグリル。デザートには「Une Glace à Paris(ユヌ・グラス・ア・パリ)」のアイスクリームも。 

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シャンパンはメゾン・ジョゼフ・ペリエ。クープで14ユーロだ。前菜は8ユーロ〜。メインは16ユーロ〜。(写真右:©Adrien food in paris)

ホテルは5つ星。内装を手がけたのはファビアン・ロックで、建物が持つユニークな歴史へのオマージュとして、随所に金色の獅子(リヨン・ドール)のモチーフを散りばめた。客室のドアには獅子の顔、パブリックスペースの壁のフレスコ画には獣の斑を感じさせるゴールドの抽象的な模様というように。

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1階ロビー。パティオに面した側は、歴史を意識した通り側のインテリアと異なり明るい雰囲気に満ちている。Photo : MEERO

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客室フロアの廊下。©K_Pitures_Stefan _Kraus

客室には天鵞絨や大理石といった上質な素材が用いられ、エレガント&モダンのシンプルな内装でまとめられている。照明器具のゴールドもマットで全体に落ち着きのある色使いの客室は、パリの中心地にいながらも旅人には心休まる空間だ。最上階フロアの客室の中にはオペラ・ガルニエが眺められるテラスがあり、そこで朝食をとるのも悪くなさそうだ。

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最上階のスイートルームは、パリの建物らしく天井が勾配している屋根裏部屋だ。©K_Pitures_Stefan _Kraus

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客室例。©K_Pitures_Stefan _Kraus

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大理石の冷たさを生かしたミニマルで清潔なバスルーム。©K_Pitures_Stefan _Kraus

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最上階のペントハウス風客室はテラス付きだ。©K_Pitures_Stefan _Kraus

キャバレー&レストランであり、そしてホテルでもあったリヨン・ドールを利用していたのは、19世紀末から20世紀にかけての裕福なエリートたち。歴史を蘇らせたメゾン・アルバール・ル・ヴァンドームにはスパ、プール、ジム、バー、ビリヤード……リュクスな宿として必要な要素がすべて備えられている。リヨン・ドールの栄華の後は、スイス銀行が建物を占めていた時代があり、地下の金庫室への階段はモザイクで覆われていた。コンテンポラリーなスパ・スペースに降りる際にエレベーターではなくその階段を使うと、タイムトンネルを通りぬけてゆくような錯覚が味わえておもしろい。

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パティオでカクテルを飲むのとは違った雰囲気で、大人っぽくアルコールを楽しむバー。©K_Pitures_Stefan _Kraus

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最近のホテルにしては珍しくビリヤード台を備えている。©K_Pitures_Stefan _Kraus

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パリの中心地にしては、なかなか広いプールだ。©K_Pitures_Stefan _Kraus

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カリタのスパ。©K_Pitures_Stefan _Kraus

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モザイクで覆われた地下への階段。photo : Mariko Omura

Maison Albar Le Vendôme
7, rue  du Helder
75009 Paris
www.maison-albar-hotels-le-vendome.com

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大村真理子 Mariko Omura
madameFIGARO.jpコントリビューティング・エディター
東京の出版社で女性誌の編集に携わった後、1990年に渡仏。フリーエディターとして活動した後、「フィガロジャポン」パリ支局長を務める。主な著書は『とっておきパリ左岸ガイド』(玉村豊男氏と共著/中央公論社刊)、『パリ・オペラ座バレエ物語』(CCCメディアハウス刊)。
Instagram : @mariko_paris_madamefigarojapon

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