21世紀の都会人が集うギュスターヴ・エッフェルの建物。

PARIS DECO

1872年、ギュスターヴ・エッフェルが構想したカルマン・レヴィ出版社が完成した。場所はガルニエ宮と呼ばれることになる現在のパリ・オペラ座の脇。この劇場の工事が資金不足を含むさまざまな理由でストップされ、1875年に落成する前のことだ。出版社は文系インテリが集まる左岸のオデオン周辺に集中していた時代、創業者の息子が1870年に後継者となった折に地価が高くない場所を求め、右岸を選んだのである。出版社内に印刷所を併設し、書店も設け、図書館も……というようにこの時代にあって画期的なマルチ空間を彼はつくり上げた。その1500㎡の出版社の建物が、その革新的精神を受け継ぐ新しい持ち主によって「Le Shack(ル・シャック)」という名で6月にオープンした。木素材の巨大な書棚、インクや紙を運搬した荷台のためのレール……エッフェルの鉄柱とともに多くの歴史の跡が残された中に、時代の先端をゆくコンセプトで。

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ル・シャックの1階のラウンジ空間は、メンバー以外にも開かれたカフェレストランだ。© Julien KNAUB / Le Shack

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昔の書棚などを生かし、歴史とデザインをミックスした内部。photo : © Julien KNAUB / Le Shack (左)、Mariko Omura(右)

誰でも利用でき、都会のオアシスをうたうル・シャック。新型コロナ以降テレワークを選択する人や会社が増えたが、本来なら3月にオープンする予定だったル・シャックは偶然にもそういった新しい働き方を予感したようなノマドワーカーのための場所である。

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20近い仕事用個室が2〜3階を占め、部屋によっては家具の配置も借り手の自由にできる。ビジターによる利用はメンバー料金より少し高めの設定だ。© Julien KNAUB / Le Shack

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仕事のみならず、食事&カフェ、バー、ウェルビーイング、デザイン、ショッピングのための空間でビジターにも開かれている。仕事場、会議場となる上階の個室は機能的なだけでなく、部屋ごとにタイプを変えるという遊び心も。ポッドキャストのスタジオも装備され、3カ月交替のポップアップストアもあり、また“古美道”マッサージを受けることもできるというように、オーナーは時代のニーズをしっかりと把握してル・シャックをつくり上げたのである。

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地下のウェルビーイングのスペース。空中瞑想やエアロヨガのためのハンモックが用意されている。シャドーボクシングも。© Julien KNAUB / Le Shack

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シェアオフィスのメンバーもビジターも利用できるバーが2つある。写真のスピークイージー風バーのオープンは19時。photo : Mariko Omura(左)、© Julien KNAUB / Le Shack(右)

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3カ月ごとに内容が替わるポップアップストア。© Le Shack

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初回はヴィンテージのMary Pop。© Le Shack

19世紀後半ながら、エッフェルによる建物はいまの時代でもおおいにモダン。21世紀の新しい生活様式を実践する人々を受け入れ、魅了している。ル・シャックのメインスペースは天井まで吹き抜けの地上階。バリスタカフェ・レストランがあり、シェフは季節の素材の健全な食事を提案する。ル・シャックはフラゴナール博物館のすぐ近くなので、帰りにこのスペースに立ち寄ってみるのはどうだろうか。食事や休息、それに出張中にちょっと仕事を!という場合でも。ちょっと奥まった場所にあり、街の雑踏から隔離されているので、その静けさを味わうだけでも貴重な体験ができる。

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スーパーフードが待っている。© Le Shack

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界隈のホテルなどに比べ手頃な価格でとれる、ヘルシーな朝食も1階のおすすめ。

Le Shack
4, impasse Sandrié
75009 Paris
(サンドリー袋小路の入口は3, rue Auber。ブティックDysonとミュゼFragonardの間にある)
営)7時30分〜23時
休)日(8月末までは月火8時〜19時、水木金8時〜21時。土日休み)
https://leshack.fr

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大村真理子 Mariko Omura
madameFIGARO.jpコントリビューティング・エディター
東京の出版社で女性誌の編集に携わった後、1990年に渡仏。フリーエディターとして活動した後、「フィガロジャポン」パリ支局長を務める。主な著書は『とっておきパリ左岸ガイド』(玉村豊男氏と共著/中央公論社刊)、『パリ・オペラ座バレエ物語』(CCCメディアハウス刊)。
Instagram : @mariko_paris_madamefigarojapon

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