【パリのインテリア】パリジェンヌの個性が光る、アートの飾り方レッスン。

Interiors 2025.07.08

自分の感性をもとに、知恵と工夫を凝らして日常を楽しく過ごす、フランス流の暮らしの美学「アールドゥヴィーヴル」(Art de Vivre)は、パリジェンヌの住まいのあちこちに息づいている。幼い頃から、絵画や工芸品に囲まれた暮らしをしてきたパリジェンヌは、アート抜きに人生を語ることはできない。感性を磨き、毎日に彩りを添えてくれるアートを暮らしに馴染ませる手腕に長けた彼女たちから、飾り方のコツを学ぼう。


人気アーティストに依頼! リビングの壁一面をアート作品に。
ジュリー・ルヴューズ(「Dallas」PRオーナー)

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色鮮やかな植物画を得意とするジュリアン・コロンビエが、壁にジャングルを描く。ブルーのソファと淡いピンクのクッションの色とリンクした作品によって、空間に統一感が生まれて。photography: Mariko Omura

ホテル、インテリア、デザイン関連のPRを生業とするジュリー。モダンな内装のデザインホテルを多数手がけているだけに、自宅の内装もお手の物。リビングで真っ先に目に飛び込んでくるのは、壁一面に描かれたジュリアン・コロンビエによるチョークアートだ。「うちの壁をプレゼントするわ!」と作品を依頼したところ、すぐに意気投合。家の中で使われている色の中から、オークル、ブルー、ピンク、マロンの色でジャングルのモチーフをオイルパステルで描いてもらったが、個人宅とは思えないほどアーティスティックなスペースに生まれ変わった。

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コーティング加工は施されないため、触れないように壁の高い位置に描いてもらった。ジュリアンとは、「制作の間の3週間、私たちと同居してたのよ。すごく良い人で、娘たちともすっかり仲良しになったわ」photography: Mariko Omura

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たくさんの額やオブジェを重ねることに、美を見出す。
クレマンティーヌ・ラルーメ(クリエイティブスタジオ「サンラザール」共同創始者)

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リビングの壁には、大小の額が一定のリズムで配置され、棚にはたくさんのオブジェが並ぶが、そこに圧迫感はなく、心地よいハーモニーを生み出している。photography: Julie Ansiau

クレマンティーヌ宅のリビングは、実にさまざまなもので埋め尽くされている。祖母の水彩画、義理の姉が撮影した写真、娘の作った陶器や家族写真、押し花のコラージュ......。さらに現代アートもあれば、仕事で携わったアーティストたちのデッサンや写真もある。「私自身の気分や気持ちを表現するものです。どの額も、どのオブジェも、いつ、誰と過ごした瞬間だったかを思い出させてくれる、個人的な想い入れのあるものばかり」。彼女にとって、インテリアは自らのパーソナリティを映し出す展示デザインであり、作者の有名無名を問わず、すべてがひとつの世界を構成するパーツなのだ。

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オブジェとしての書物への愛着もひとしお。まとまった数の同じ装丁が揃うことで生まれるグラフィック性に惹かれ、棚に並べている。レインボー状になっているのは、自社で出版するアーティストによる都市別作品集『都市の肖像』シリーズ。

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写真や古い文書。思い出のひとつひとつを額に入れて飾る。

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色とりどりのパッケージを紐でまとめれば、ひとつのオブジェに。

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ミッドセンチュリーの家具×アートで、モダンな部屋作り。
エレナ・パヤレス(アーティスト)

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作品のインスピレーション源となるものを飾ったワークスペース。自然から着想を得て制作したポスターと一緒に、落ち葉のコラージュ、ヴィンテージのシューキーパー、フォトアートなどを並べて。photography: Mana Kikuta

スペイン出身で、グラフィックデザインのアーティストとして活躍するエレナ。フォトグラファーのボーイフレンドと暮らすアパルトマンでは、共通の趣味であるミッドセンチュリーの家具に、絵画や写真など、お互いが好きなアートを飾って、インテリアのスパイスにしている。彼女にしてみれば、道端で拾ってきた落ち葉だって額装すれば、立派なオブジェだ。概念に囚われることなく柔軟な発想で飾るから、部屋全体が自由で大らかなムードで満ちている。

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ダイニングのアクセントになっているペネロペ・クルスのコラージュは、エレナが手掛けたもの。ヴィンテージの椅子は、マスタード色に布を張り替えて、より自分好みに。

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花のモチーフを集めた、パリシックな暮らし。
マリー=アンヌ・ブルースキ(ジャーナリスト、シティガイド「re-voir Paris」創設者)

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リビングを飾る絵画は、どちらも薄ピンクの花がモチーフで、空間に華やぎをプラス。インテリア雑誌に携わる友人からのアドバイスで選んだ、ブルーグレーの壁の色がパリシックな印象。photography: Mariko Omura

夫と娘ふたりの4人で暮らすアパルトマンには、マリー=アンヌが旅先やブロカントで見つけてきたお気に入りが飾られる。あちこちで花の存在が感じられるため、インテリア全体がフェミニンな印象だ。「私、花が大好きなの。夫はそれにはちょっとうんざり気味なのだけど......。リビングの入り口にかけたクレール・バスレールの縦長の作品は、30歳の誕生日に自分でプレゼントをしたものよ。壁の作品はニナ・シルドレスの作品。ポラロイド撮影をしたものをプリントして絵の具でさらに......という手法ね。ひと目惚れしてしまって、2人目の出産を記念して自分で購入したの」

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玄関の隙間スペースに飾った、素焼きに彩色した6輪の花は、叔母から譲られた幸運アイテム。棚にはアジアなど旅先で見つけてきたものを収集する。photography: Mariko Omura

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自由な感覚で、インテリアの中にアートをそのまま飾る。
エミリー・マラン(「Studio Marant」創立者・アートキュレーター)

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大好きなクロエ・ワイズのトマト缶と青空のイラストは、額装せずに壁に貼り付け。テーブルには、マン・レイの写真やヒップ型の花器など、好きな作品を集めて独自の世界を生み出している。photography: Ayumi Shino

「アートの魅力は、"センシュアリテ"を感じること。眺めているだけで、五感を通じて力強さを感じる。そのパワーが、毎日の暮らしにとても大切なんです」と語るエミリーは、どこにいても目にするように、部屋のコーナーごとにアートを飾る。ただし飾り方は、考え過ぎずに好きな場所に置いてみるだけといたってシンプル。フレームなしでラフに壁に張ったり、ヴィンテージの椅子の上に置いてみたり。そうすることで、作品が自然とインテリアに馴染むようになると言う。では、アート選びの基準は? 「有名無名に関わらず、出合った瞬間のインスピレーションが重要!」

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家族から譲り受けたヴィンテージチェアの上に、イラストレーターのアゴストン・パリンコの絵をラフに飾る。

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ポエティックな感性にあふれるものを、白い壁と棚に飾る。
ティフェーヌ・マンガン(「Les Causeuses」クリエイター)

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ダイニングの壁を飾る、北欧製のイヤーズプレートとヴィッド・グルニエで見つけたツバメのオブジェ。棚に並べた額は、ロンドンに住んでいた時にポートベローで購入。photography: Mariko Omura

幼い頃から週末ごとにブロカントやヴィッド・グルニエ(個人宅の不用品一掃)、競売などに両親に連れられたというティフェーヌ。彼女のアパルトマンには、何十年もかけて集められた50~60年代の古い家具やロマンティックなオブジェがたくさん飾られている。絵や古いポートレートなど彼女が何かを買う時は、「その品が持つポエジーに惹かれて」ということがほとんど。状態の良い古い物を安く見つけることを楽しみにしているだけに、インテリアにお金をかけ過ぎないことを信条にしている。

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童心を取り戻すことができるから、動物、それも鹿がテーマのものを数多くコレクション。photography: Mariko Omura

*この記事は、madame FIGARO.jpの2016年11月~2023年2月の記事を再編集し、制作したものです。

editing: ERI ARIMOTO

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