オペラ・ガルニエで、新作『Arena』と『Etude』に観客が大興奮。

パリ・オペラ座の今シーズン2025/26のプログラムは、2022年12月に芸術監督に就任したジョゼ・マルティネスが初めて100パーセント手がけたものである。それまでは前芸術監督によって決定されていた作品を取り入れる必要があったからだ。このプログラムで彼はクラシック作品とコンテンポラリー作品の両方をバランスよく配し、さらに複数の作品で構成されるミックス・プログラムにこれまでのようにコレオグラファー名をタイトルにするのではなく、テーマをつけるという新しい試みを行った。『Racine』『Contrastes』、そして現在オペラ・ガルニエで3月28日まで開催されているのは''刻印''や''痕跡''を意味する『Empreintes』である。

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プログラム『Empreintes』を構成する2つの創作は『Arena』(アリーナ/ 写真左)と『Etude 』(エチュード/ 写真右)。photography:Yonathan Kellerman/ OnP

このミックスプロで踊られるのは、モーガン・ルナークル=テンプル&ジェシカ・ライトという女性デュオによる『Arena(アリーナ』とマルコス・モローによる『Etude(学び)』の2創作。前者は映画家としての活動も行っている振付家で、後者は写真を学んだ振付家である。私たちの網膜に焼きつくイメージは時に一瞬のもの。映画、写真の訓練を受けた彼らが、観客の想像力を刺激する視覚的および音響的な刻印(empreinte)を用いてイマーシブな作品をパリ・オペラ座バレエ団のために制作した。

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モーガン・ルナークル=テンプル&ジェシカ・ライト振り付け『Arena』(40分)

あるひとつのコミュニティ。その中で戦いがあり、誰が勝ち抜くか。ダンサーたちの衣装にはゼッケンがつけられている。その中のNo.81のルー・マルコー=ドゥルアールをステージ上、裏の小部屋、さらにガルニエ宮の大階段へとカメラが追いかけ、その映像がステージ上の巨大なスクリーンにライブで映し出されるという趣向だ。ステージ上のダンスを見るか、スクリーンの中のダンスを見るか......観客の眼の迷うところである。16名のダンサーに振り付けられた作品で、ソロを踊るのはルー、そしてナタン・ビソン。なお第2配役でのソロは女性にバトンタッチされ、キャロリーヌ・オスモンとイダ・ヴィイキンコスキーが踊る。音楽は『Play』のMickael Karlssonが担当。
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photography:Yonathan Kellerman/ OnP
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photography:Yonathan Kellerman/ OnP
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photography:Yonathan Kellerman/ OnP
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photography:Yonathan Kellerman/ OnP

これまでパリ・オペラ座のダンサーたちのためにさまざまな作品がクリエイトされてきた。しかし、これまでのコンテンポラリー作品以上にこの2作品ではダンスとビジュアルとサウンドが見事な三つ巴で展開する。最近パリ・オペラ座バレエ団のダンサーはクラシック組とコンテンポラリー組に分かれているように、観客も同様に分かれている感があり、特に『Play』以降、オペラ・ガルニエはクラシックバレエではなくコンテンポラリー作品を見にゆく場所と考えている観客たちが少なくない。この2作品はそんな彼らに受け入れられている。とりわけ『Etude』が残す痕跡は一瞬以上の強いもので、『Arena』以上にこちらにより熱狂的な拍手が送られているようだ。『Empreintes』の2作品と観客の反応に、これがいまのパリ・オペラ座、今後のオペラ座なのかとふと......。

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マルコス・モロー振り付け『Etude』(40分)

マルコス・モローはパリ・オペラ座バレエ団のアイコニックな要素を作品に盛り込み、ダンスの世界の果てしない日々の美の追求をテーマに創作した。男女31名のコスチュームはチュチュとティアラとハイソックス・シューズで、ボレロの赤い円卓を想起させる赤い円の中でダンサーたちは同じ動きを繰り返す。時に、『エチュード』『Seasons' Canon』を思わせる振り付けも。ドガの作品にインスパイアされたと思われるシーンは、照明の仕事でダンサーの身体が2次元のようでまるで絵画のよう。オペラ・ガルニエを象徴する巨大なシャンデリアもステージに登場し、後方の壁がミラーとなると客席がステージ上に映し出される。最後はステージ後ろの仕切りが取り払われ、ダンサーたちのデフィレでおなじみのシャンデリアが輝くフォワイエ・ドゥ・ラ・ダンスが姿を現す仕掛けだ。音楽は振り付けと同時進行でGustaveが作曲した。

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『Empreintes』(Arena, Etude)
開催中~3月28日
Opéra Garnier
Place de l'Opéra
75009 Paris
公演:20:00~21:50
料金:10~140ユーロ

editing:Mariko Omura

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