Promotion

VEUVE CLICQUOT

ピノ・ノワールの美学を追い求めて、長塚健斗、シャンパーニュへ。

FIGARO Wine Club

ヴーヴ・クリコのプレステージキュヴェ「ラ・グランダム ロゼ 2018」が誕生。ミュージシャン/シェフの長塚健斗が、本拠地ランスでその味わいの秘密に迫る。

Kento Nagatsuka/1990年、東京都生まれ。4人組ソウルバンド「WONK」のボーカリスト。料理人としての一面も持ち、大学在学中よりイタリアンやフレンチの有名店出身のシェフの下で修業、都内ビストロの立ち上げに料理長として携わる。現在も商品開発やイベントを開催、CHEF-1グランプリ2023にも出場。所属レーベルEPISTROPH ではwinestand TEO、Bar phase をプロデュース。@kentwits

「品質はただひとつ、最高級だけ」というモットーを掲げるシャンパーニュメゾン、ヴーヴ・クリコ。夫に先立たれたマダム・クリコは、女性では銀行口座も持てなかった1805年に「ヴーヴ(未亡人)・クリコ」という商標を掲げ、事業を継承。シャンパーニュ造りでいまも踏襲される数々の革命を生んだ彼女は、いつしか“ラ・グランダム(偉大なる女性)”と呼ばれるようになった。

その名を冠したプレステージキュヴェ「ヴーヴ・クリコ ラ・グランダム ロゼ 2018」がリリースされると聞き、ミュージシャンでありシェフでもある長塚健斗は、グラン・クリュ(特級畑)のヴェルジーへ向かった。標高が高く北向きの斜面で、黒ブドウ品種であるピノ・ノワールがゆっくりと成熟していくエリアだ。

美しいピノ・ノワールを育む、畑を取り巻く環境。

「“美しい”のひと言なのですが、同時に想像の何十倍も広大だったことに驚きました」と長塚。除草剤の使用は2018年に完全に廃止、耕した斜面の土が雨で流出するのを防ぐため、畝の2列のうち1列は天然の草花を被覆作物として残し、表土を安定させる。生物多様性も促進され、枯れた草花は天然肥料として循環していく。畑に足を踏み入れ、強い日差しに思わず目を細める。ところが木陰に入ると風の涼しさに驚く。丁寧な栽培、豊かな日照と寒暖差が、ピノ・ノワールを上質に育むことを肌で感じた瞬間だ。

ヴェルジーの畑の前に広がるヴーヴ・クリコの菜園。写真奥に見える温室は改修中だったが、元々ブドウの苗木を育てるために活用されていたのだという。

さらに感動するのは、このエリアを訪れた訪問者を歓迎するための荘園邸宅が備えられていること。ブドウ畑の前には、文献をもとに19世紀に存在していた菜園をほぼそのまま再現し、300種類以上のハーブや野菜、果物を栽培している。特別なゲストには、この畑で採れた野菜類を使用したガーデンガストロノミーを実現。栽培担当者の案内のもと、ハーブやタマネギを顔に近づけてみる。

「日本の野菜やハーブと、やっぱり香りの強さが違う感じがしますね。実は前日も、パリ在住のシェフの友人たちと現地の食材で料理をしていたんですよ」と長塚。“ワインは生産地で取れる食材に合う”という鉄則があるが、土壌も気候も同じような条件で育つ食材は、やはり相性が良いのだろう。こうして多様な植生が育まれることで、生物多様性はさらに上がっていく。

古代の回廊に広がる、シャンパーニュを熟成させる“クレイエール”。

翌日、ランスの中心部にあるメゾンのセラーを訪れた。地下への階段を潜ると、そこには広大なトンネルが広がっている。湿度と温度を一定に保つ石灰の壁には、第二次世界大戦の傷跡も刻まれている。“クレイエール”と呼ばれる、古代から石灰を採掘してきた回廊を活用した天然の保冷庫だ。

階段を下りていくと、石灰岩を切り出した天井高のある涼しくほどよい湿気の空間が広がる。ガイドの案内で順路を進む度、マダム・クリコがシャンパーニュで成し遂げてきた改革とメゾンの発展を学べる。
第二次世界大戦中、空襲を避けるために広大な地下空間を防空壕にしていたことも。壁には当時を忍ばせる赤十字のマークが。他にも、従業員が彫ったいたずら書きなどが随所に残り、この空間が重ねてきた時間を思わせる。

長塚は「手仕事の気配がありながら、静かにシャンパーニュが眠っている、荘厳な空間に来られたことがうれしい」と、歴史に触れた瞬間を愛おしむ。瓶内二次発酵後の澱を取り除くためボトルを傾けて固定し、日に数度回して澱を首元に集めるルミアージュという作業を行うためのピュピトルと呼ばれる台も、実はマダム・クリコの発明品なのだ。

現在主に使用されているピュピトルは2枚の板を貼り合わせ傾斜を付けたものだが、平面の机状の台がマダム・クリコの開発した当時のもの。

酵母の力で瓶内二次発酵させることにより、シャンパーニュは繊細な泡を得るとともに、澱との接触で旨味や独特の芳香を得る。しかしワイン本来のクリアな味わいや色調、そしてブドウ由来の香りを楽しむためには、熟成を終えたボトルから澱を取り除くデゴルジュマンという作業が必要になる。ピュピトルの完成前、砂を敷き詰めた箱や傾斜をつけた箱に立てかけることで澱を集めていたが、効率が悪く、また破損する瓶も多かったという。そんな中、安定性を保ち、一気に大量の瓶を保管・作業できる仕組みを開発した——。これだけでも、マダム・クリコのビジネス手腕がいかに優れていたかがわかるというものだ。

マダム・クリコが始めた「ふたつのこと」を経て造られる「ラ・グランダム」の味わい。

さらに今回特別に、醸造チーム用の試飲ルームを訪れ、実際の官能評価を体感した。25年に収穫したブドウから造られたベースとなるスティルワインから、香りと味わい、余韻の長さをチェックしていく。

まずはシャルドネから。「グレープフルーツのようなフレッシュな酸味」と表現した長塚。「アッサンブラージュしたワインに張りとエレガンスを与えます」と説明するのは醸造チームのエマニュエル・グヴェルネ。イエローラベルではシャルドネが全体の約30%、ラ・グランダムでも約10%を構成しており「味わいのバランスに寄与するのです」と彼は語る。

醸造チームのひとり、エマニュエル・グヴェルネと。手にするのはラ・グランダムにとって最重要な、ヴーヴ・クリコが所有する最古の区画クロ・コランで造られたピノ・ノワール100%の赤ワイン。シルキーなタンニンと深い果実味、スパイス感が特徴。

そして酸味を感じながらもアプリコット、ピーチのような香りが特徴のムニエを確かめた後、ピノ・ノワールの味わいをチェック。若い段階でも質感とタンニンが明確だ。

「余韻で香りが5秒から7秒ほど発展します。ヴーヴ・クリコの『要』として、骨格とキャラクターを担うのです」とグヴェルネ。醸造チームはこれに加え、保管しているワインの中から毎日25〜40ものベースワインを試飲し、評価をメモしていく。彼らはこの時点で二次発酵後の味わいや熟成のポテンシャルを具体的に想像し、ワインをどのキュヴェに使うか選別しているというのだから驚きだ。「市場で食材を見てメニューを組み立てていく、シェフの作業にとても似ています」と長塚。

さらにこの日、ラ・グランダム ロゼの味わいの要となる、ブジー村にある単一畑「クロ・コラン」で採れたピノ・ノワール100%のスティルワインを、特別に試飲できることに。チェリー、ラズベリー、後味にシナモン、ナツメグ、そして優美なレザーの余韻……。美しいまでに丸みを帯びたシルキーなタンニンで、これだけで味わいたくなるほどのバランスの良さが漂う。理論と感覚を研ぎ澄ませる工程を確認し、あらためてシャンパーニュを味わった。

ピノ・ノワール90%、シャルドネ10%のアッサンブラージュ比率。ピノ・ノワールのうち13%はマダム・クリコが最も愛したクロ・コランで収穫されたものを使用。「ヴーヴ・クリコ ラ・グランダム ロゼ 2018」750ml ¥48,070/モエ ヘネシー ジャパン

マダム・クリコが始めた「素晴らしい年のブドウだけを使用したシャンパーニュを造る」「赤ワインと白ワインをアッサンブラージュ(ブレンド)してロゼワインを生み出す」というふたつの要素を組み合わせた「ラ・グランダム ロゼ 2018」。極めて温暖で日照に恵まれたピノ・ノワールの当たり年である2018年というヴィンテージを裏付けるように、豊潤な果実味があふれる。グレープフルーツやブラッドオレンジを感じる柑橘の酸味の後、熟したラズベリーやチェリー、コショウやシナモンが旨味を伴い、長い余韻が途切れない……。旅を終えて、長塚健斗はこう語った。

「シャンパーニュを味わう度、一瞬のおいしさの中に重ねてきた時間や生産者の情熱を感じるようになりました。そう思うことで、自分も勇気をもらえたり、前向きな気持ちになれる。ラ・グランダム ロゼ 2018はそんなシャンパーニュだと思います」

問い合わせ先

モエ ヘネシー ジャパン
Instagram YouTube

  • photography: Takumi Kawashita