タペストリー作家、ジャン・リュルサの一軒家をパリ旅行の新たな目的に。

Paris

Maison-Atelier Lurçat
メゾン・アトリエ・リュルサ
[ アレジア ]

モザイク床が印象的な2階の部屋。ベッドは備え付けだが、棚部分は可動式になっている。

モダンな色彩感覚に魅了されて。

1951年にジャンと詩人パトリス・ドゥ・ラ・トゥール・デュ・パンが共作したリトグラフ。中世の動物寓話をモチーフに絵から詩を生み、その詩をカリグラフィに仕立てた。

20世紀、タペストリー文化を復活させた芸術家ジャン・リュルサ。タペストリー作家であると同時に画家で陶芸家でもあった彼が暮らした自宅兼アトリエが、25年夏より一般公開された。

イエローの壁や家具にブロックチェックの床がアクセント。

パリ14区の石畳の小道ヴィラ・スーラに佇む、4階建ての一軒家。ジャンが1925年から亡くなるまで暮らした場所であり、弟である建築家アンドレが手がけたもの。モダニズム建築の傑作として、フランスの歴史的建造物に指定されている。建物内にある装飾や家具は、ほぼ当時の状態を再現。壁や天井は鮮やかなブルーやイエローに彩られ、色彩が重視されている。

1階のブルーの部屋にはジャンのポートレートや肖像画が飾られ、彼の生涯を辿ることができる。

特に大理石の床が際立つ2階の部屋はモダンな印象。ベッドや机、本棚などの家具が空間を仕切る役割として建築に組み込まれ、機能性と美しさを兼ね備えたデザインからは同時代のル・コルビュジエの影響もうかがえる。この空間に、シュルレアリスムから着想を得たジャンの絵画や、その作品をもとに当時の妻が刺繍したテキスタイルが温もりを添えている。

  • 2階まで吹き抜けになり、天井のガラス窓から自然光が降り注ぐスペース。

  • タペストリーがリビングの主役。フランス西部アンジェでアポカリプスタペストリーに触れたことが動植物モチーフを取り入れるきっかけに。

  • 4階のテラスから街を見渡し、かつての暮らしに思いを馳せて。

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一方で3階のリビングは、より色彩に満ちた華やかな雰囲気。壁一面を覆うのは、彼の代名詞である壮大なタペストリー。繰り返し描かれた自由の象徴である太陽や月、地球、動物など、自然のモチーフが幻想的で力強いエネルギーを放つ。隣のキッチンはイエローで彩られ、晩年に制作の中心となっていた陶器がおおらかな表情で並ぶ。

4階の部屋には、絵画やタペストリー、陶器など、生涯を通して創られた作品が集う。マチュー・マテゴのモダニズムチェアの横には、ジャンが人魚を描いたテキスタイルのソファを配置。色彩と温もりを添えながら空間に溶け込み、生き生きとした生活の息吹まで感じさせる作品たち。この家には、現代建築に調和するタペストリーを提唱したジャンの美学が宿っている。

大作絵画が並ぶ4階。タペストリーのヒョウと人間が融合した絵は、当時の有名ギャラリストを揶揄したものだとか。

Maison-Atelier Lurçat
メゾン・アトリエ・リュルサ

101, rue de la Tombe Issoire 75014
01-57-95-35-17
ⓂALÉSIA、PORTE D’ORLÉANS
開)10:00~17:00(金、土)
休)月~木、日
料)一般15ユーロ
※要予約、45分間のガイド付き見学のみ
https://www.maisonatelierlurcat.fr/

  • photography: Mari Shimmura
  • coordination & text: Momoko Suzuki
  • ●1ユーロ=約184円(2026年3月現在)
  • ●日本から電話をかける場合、フランスの国番号33の後、市外局番の最初の0を取ります。フランス国内では掲載表記どおりかけてください。
  • ●各紹介アドレスのデータ部分のⓂは地下鉄の駅を示しています。 
  • ●掲載店の営業時間、定休日、商品・料理・サービスの価格、掲載施設の開館時間やイベントの開催時期などは、取材時から変更になる可能性もあります。ご了承ください。

*「フィガロジャポン」2026年5月号より抜粋