イタリアの素顔に触れる、内田洋子の珠玉のエッセイ。

Culture

辺境のイタリア、ほろ苦い人生の光と影。

『サルデーニャの蜜蜂』

内田洋子著 小学館刊 ¥1,870

ミラノ在住40年余の著者が描くイタリアは、陽気なイメージとは異なる素顔を垣間見せる。旅先で出会った女性に打ち明けられたのは、ホロコーストを生き延びた少女時代の過酷な思い出。美しい花嫁の耳元を飾る真珠が物語る両親の想い。舌先に甦る戻れない故郷の味。記憶の中の過去と現在が結ばれる時、名もなき人々の小さな歴史が浮かび上がる。誰かの孤独に触れたようなゾクリとする余韻。生きることの滋味を味わわせてくれる珠玉のエッセイ。

*「フィガロジャポン」2020年9月号より抜粋

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réalisation : HARUMI TAKI

この記事の元URL: https://madamefigaro.jp/culture/200905-livre-02.html