マリア・グラツィア・キウリが故郷ローマに捧げた、ディオールの2026年クルーズ コレクション。

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さまざまなホワイトのルックが中心となったディオールの2026年クルーズ コレクション。©LAURA SCIACOVELLI ©FONDAZIONE TORLONIA

去る5月27日、ディオールは2026年クルーズ コレクションのランウェイショーをマリア・グラツィア・キウリの故郷ローマにあるヴィラ アルバーニ トルロニアにて発表。キウリによる本コレクションは、彼女のある時代の自伝的な集大成とも言える。彼女自身の体験や感情が深く反映され、想像力が広がる束の間の場所ーー。それは脚本家のエンニオ・フライアーノがフェデリコ・フェリーニ監督の映画『8 1/2』のために提案したタイトル “Bella Confusione(美しき混乱)”を彷彿とさせる、そんな空間だ。

ランウェイショーの舞台となったヴィラ アルバーニ トルロニアの庭園。18世紀中頃に建てられ、19世紀後半にトルロニア家の所有となった歴史的な建造物。photography: Adrien Dirand ©FONDAZIONE TORLONIA

キウリにとってこのコレクションの始まりとなったのが、20世紀にローマ、パリ、ニューヨークの社交・芸術界で活躍したカリスマ性あふれる人物、ミミ・ペッチ=ブラント伯爵夫人との出会いだった。ミミの世界に没入し、彼女がかつて主宰していた舞踏会のひとつである”Bal de l’Imagination(想像の舞踏会)”を通じてその世界を蘇らせることをキウリは決意し、あらゆる芸術様式の視覚的融合が生まれた。

そこに登場するのは、ルールを破り、自分自身から解放するための変装。実際の意味でも、比喩的な意味でも、生きている人物と幽霊との間の曖昧な境界線を越えること(”幽霊”については、ぜひコレクションの動画を観てほしい)。コレクションは、隠喩的な作品で構成され、ファッションとコスチュームの歴史から引用した洋服の要素が、コンテンポラリーな表現方法と融合している。クルーズ コレクションの中でオートクチュールとプレタポルテの作品が組み合わされているのも新しい。

ファーストルックは、メンズのワードローブから取り入れられたベストにテールコート、ロングスカートのルック。ダブルフェイスカシミアのアンサンブルは、シンプルなデザインに見えるが実はオートクチュール。©DIOR ©FONDAZIONE TORLONIA
マスキュリンとフェミニンの融合。©DIOR ©FONDAZIONE TORLONIA

クリエイティブなビジョンは、カシミアなど比較的厚手のものからシアーなレースの軽いものまで、さまざまな素材で表現されるホワイトを中心に展開。

ピーコートとテールコートが一体化したホワイトのコート。©DIOR ©FONDAZIONE TORLONIA
植物モチーフを立体的に際立たせたレースのドレス。©DIOR ©FONDAZIONE TORLONIA
ミニマルなドレスにクチュールメゾンの矜持が光る。©DIOR ©FONDAZIONE TORLONIA
シャツドレスを繊細なレースでロマンティックに仕立てて。©DIOR ©FONDAZIONE TORLONIA

フェミニンなフリルやレースといったディテールとともに、肩を尖らせたドラマティックなトレンチコートや海軍の制服を連想させるジャケットなど、ミリタリーの要素を取り入れたルックも登場。いずれにしても、ロマンティックなロングスカートやドレスとスタイリングし、コントラストを際立たせている。

マントのように羽織るトレンチコートは、シアーなレースのドレスと合わせて。©DIOR ©FONDAZIONE TORLONIA
海軍のユニフォームを思わせるハンサムなジャケットのボトムにはブラックレースのスカート。©DIOR ©FONDAZIONE TORLONIA

永遠の都であり、キウリの故郷でもあるローマ。本コレクションではローマへの愛と、ところどころにそれを表現するための遊び心が宝石のように光る。例えば、コンクラーベのニュースが記憶に新しいが、枢機卿の衣装を思わせるミニドレス、フェリーニの映画『甘い生活』でヒロインのドレスをデザインしたフォンタナ姉妹へオマージュを捧げたベルベットのドレス、歴史的な建築物のレリーフや庭園の草花をスケッチしたようなプリント……。キウリは彼女ならではのユニークな方法で、ローマの人物、風景、芸術、物語、そして神話を再構築したのだ。

枢機卿のカズラ(祭服)に着想を得たようなミニドレス。©DIOR ©FONDAZIONE TORLONIA
『甘い生活』の衣装デザインを手がけたフォンタナ姉妹へオマージュを捧げたベルベットのドレス。©DIOR ©FONDAZIONE TORLONIA
バロック様式を思わせるスケッチのプリントをストリート風ルックに昇華。©DIOR ©FONDAZIONE TORLONIA
古代ローマの女神の彫刻の衣装をトロンプルイユのように表現したドレス。©DIOR ©FONDAZIONE TORLONIA
ショーのラストルックは鎧のドレスをまとった女戦士。©DIOR ©FONDAZIONE TORLONIA

 

すべての道はローマに通ず。ショーのために世界中のセレブリティが集合。ドレスコードは、やっぱり「ホワイト」!

ハン・ソヒ photography: Getty Images
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貴族ボロメオ家出身のイタリアのソーシャライト。現在はモナコ公室の一員でもあるベアトリーチェ・ボロメオ photography: Getty Images
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問い合わせ先:
クリスチャン ディオール
0120-02-1947(フリーダイヤル)
https://www.dior.com/ja_jp

text: Natsuko Kadokura

この記事の元URL: https://madamefigaro.jp/fashion/250530-dior-cruise-collection2026.html