
【シャネル19】城を舞台に、クリエイションが花開く。
シャネルの魅力にクローズアップ
12月4日、フランス時間午後7時に2020/21年 メディエダール コレクション“貴婦人たちの城”が発表され、ショーの映像が世界に向けて発信された。2002年以降、このメティエダール コレクションをとおして、シャネルはメゾンと職人たちの間で交わされるクリエイティブな対話を軸に、熟練のサヴォアフェール(唯一無二のノウハウ)を讃えた、比類なきプレシャスなピースを世に送り出してきた。
世界に向けて発信された2020/21年 メディエダール コレクション“貴婦人たちの城”のダイジェスト版。©CHANEL
シャネルのアーティスティック ディレクターであるヴィルジニー・ヴィアール独自の創造性と、刺繍、羽根細工、コスチュームジュエリーに靴や帽子などを手がける職人たちの卓越した技術を擁するシャネルのメティエダールアトリエのものづくり。そのふたつが見事に融合して生まれる類稀なるクリエイションこそ、メティエダール コレクションなのだ。
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Discover about 2020/21 Métiers d'art Collection
今回、そのコレクションの舞台に選ばれたのがフランス・ロワール渓谷に佇む古城、シュノンソー城。フランス国王アンリ2世を取り巻く、ディアーヌ・ドゥ・ポワティエとカトリーヌ・ドゥ・メディシスというふたりの貴婦人たちが設計に携わり、住居としても使っていた城は別名“貴婦人たちの城”とも呼ばれている。シュノンソー城とシャネルとの関わりについて、ヴィルジニーは次のように語っている。
「シュノンソー城でショーを開催するというのは、必然的な選択でした。この城からは、いまでも人の息づかいが感じられます。またカトリーヌ・ドゥ・メディシスの紋章にはふたつの『C』の文字を交差したモノグラムが描かれており、そこにはシャネルのCCマークとの共通点が見られます。
ガブリエルが直接、カトリーヌ・ドゥ・メディシスからインスピレーションを得ていたかはわかりません。しかし、ガブリエルはルネサンス期の女性たちを称賛していたので、その可能性は高いのではないでしょうか。レースのひだを寄せた襟を好んだことや、彼女がデザインしたいくつかのジュエリーに宿る美しさは、この時代から影響を受けたといえます。深いところで、この城はシャネルの歴史の一部となっているのです」


Look 1、3 ©CHANEL


Look 10、16 ©CHANEL
実際にランウェイショーが行われた城内のグランド・ギャラリーに広がる黒と白の市松模様は、スパンコールをあしらったミニスカートや、モノトーンのジャカードのセーターに合わせたロングスカートにも取り入れられた。さらには、ツイードケープの温かみのある色合いは、城に飾られている有名なタペストリーの柄が着想源に。
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Look 14、25 ©CHANEL


Look 47、59 ©CHANEL
そして、ショーの後半に並んだブラックのルック、なかでもペールカラーのツイードのボディスーツがインナーから覗く、ブラックベルベットのロングコートの装いは、ヴェルジニーいわく「『黒衣の花嫁』のような雰囲気を醸し出していますが、これはフランス国王であり、自身の夫であるアンリ2世が亡くなって以来、カトリーヌ・ドゥ・メディシスが黒い服しか身に着けなかったといわれていることに所以します」
シュノンソー城を背景に、ヴィルジニー・ヴィアールと最新コレクションを纏ったモデルたち。 photo : JUERGEN TELLER ©CHANEL
メゾンが誇る手仕事の技術が詰め込まれた最新のメティエダール コレクション。「メゾン ミッシェルが手がけた大きなブラックハットはまさに貴婦人のような雰囲気。そしてアトリエ モンテックスには、ストラスを取り入れながら子どものおもちゃのような白の刺繍を施すように依頼しました。私は、ルネサンス期からロマン主義という異なった時代や、ロックテイストからガーリーなものまで、あらゆるものをミックスするのが好きです。それこそが、まさにシャネルなのです」とコメントする。
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フィッティングのひとコマ。ルマリエが手がけたブラックレースのロングドレスは、スタッズをアクセントにした格子模様で表現されている。 photo : BENOIT PEVERELLI ©CHANEL
シュノンソー城の両側に位置する、貴婦人たちにより造られたふたつの庭園に咲く花々が、ジャケットの大きなラペルにあしらわれた花の刺繍のインスピレーション源に。 photo : BENOIT PEVERELLI ©CHANEL
バッグに施された城の刺繍は、まるでおもちゃのような愛らしい雰囲気。 photo : BENOIT PEVERELLI ©CHANEL
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広告キャンペーンのミューズはクリステン・スチュワート。
このロワール地方の美しい古城で開かれた贅沢なランウェイショーに唯一、ゲストとして招待されたのがシャネルのアンバサダーでもある女優のクリステン・スチュワート。まるで等身大のチェスボードを想起させる市松模様のフロアが広がるグランド・ギャラリーで新作を纏い、行き交うモデルの姿を熱心に見つめていた。そして、クリステンは、フォトグラファーのユルゲン・テラーにより、シュノンソー城を舞台に撮影される広告キャンペーンのミューズにも抜擢されている。
全世界のゲストを代表し、現地でコレクションを目の当たりにしたクリステン・スチュワート。コレクションをどのように表現してくれるのか、期待が膨らむ。©CHANEL
www.chanel.com/ja_JP/fashion/collection/metiers-art-2020-21.html
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texte : TOMOKO KAWAKAMI, graphisme du titre : SANKAKUSHA