誰もが自分らしい眉を手に入れられる時代へ。水野未和子と福井仁美の眉オタク談義!【私にいちばん似合う眉。番外編】

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その人の眉の特徴を生かしながら、メイクアップアーティスト水野未和子がベストな描き方を公開レクチャーする連載「私にいちばん似合う眉」。vol.18に登場したHBL代表の福井仁美と水野はそれぞれ、サロン施術とメイクアップから、眉への熱い思いを育み発信してきた。そんなふたりの“オタク級”眉談義を、連載の番外編としてお届け!


―「骨格や筋肉に沿った眉を描く」「剃らない、切らない、抜かない」「毛流れを生かす」など、眉づくりの基本理念が同じ水野さんと福井さん。そもそも、眉に特化したサービスやプロダクトを作ろうと思ったきっかけは?

福井仁美(以下、F):眉は顔の中で最も“生きている”部位なんですよね。伸びるし、方向も動くし、意思とも連動する。素の眉にはその人の信じてきた歴史も刻まれている。そこにおもしろさをずっと感じていて。精神性までもはらんだ、ほかのパーツとは一線を画す部位だということを理解して作っているサービスやプロダクトが足りていないと思ったことがきっかけです。HBLの製品は世間では「アイブロウコスメ」なんですけど、真髄はちょっと違うジャンル。

水野未和子(以下、M):私はメイクアップアーティストの立場として、撮影現場で急いで正確にメイクを仕上げなきゃいけない時、一発で決まるようなものが欲しかったんだよね。自分へのメイクで使うにしても、鏡を正面から見たまま、顔を傾けなくても両眉のバランスを仕上げられるものが。ディファインブラシが生まれたきっかけはそこだけど、ずっと以前からファッションやメイクのページを手がけるうえで、眉の重要さを感じていたこともあって。極細眉の人に赤リップを塗るのと、しっかり生えた眉の人が赤リップをつけるのって、同じアイテムを使っても女性像が完全に変わるじゃない?そのくらい、眉って印象を左右する。でも「眉の描き方」特集でモデルを例に描き方のテクニックを語ったところで、読者が自分の眉を生かせないと絶対にうまくいかない。だから誰でもなるべく簡単に描けて、失敗しないようなプロダクトを作ろうと思ったの。

メイクアップアーティストでディファインブラシ主宰の水野未和子(左)とHBL代表の福井仁美。

F:「自眉を最大限に生かす」というのが水野さんと私たちの共通項ですよね。いままであまり指摘されていなかったんですけど、日本人は眉の生え方に癖がある人が多いんです。みなさん、髪の毛はサロンでプロの手を借りながら、自分の毛質や量、癖に合わせたお手入れをして、日々のスタイリングをキープしますよね。眉もそれに近くて、サロンで縮毛矯正のように眉を扱いやすくする土台をつくっておけば、水野さんのようなメイクのプロのメソッドも生きるんです。

M:そうだよね。HBLの施術、みんな一回やってみて!っていう感じだもん。毛流れがぐんと良くなる。特に、生え方に癖がある人やゲジゲジ眉の人は、まったく別物になると思う。眉に必要のない毛は一本もない。それがよくわからなくて、眉毛を切ったり、剃ったりする人はいまだに多いんです。私がポップアップイベントで会うお客さんたちも、「伸ばすのが怖い」「いつもの癖で切っちゃう」ってよく言ってる。こびりついた習慣は変えられないから、私はその不安を吹き飛ばすほどのメリットを示さなきゃいけないし、新しい価値観や文化を作ることの難しさを感じているところ。

眉は「形」ではなく「毛」と捉えるべし!

―「似合う眉」を育てるために、切る、剃る以外にやめてほしいことといえば?

F:切ったり剃ったりはまだいいけれど、抜かないで! 抜いてしまったら、元に戻るまでに最低5〜6カ月もかかってしまうんです。サロンでもとにかく伸ばしてほしいと伝えていて。元々どのくらいの毛量や毛流れがあるのかを見極めて施術やアドバイスをしたいけれど、その原型がわからないとベストな提案がしづらいから。

M:半年もかかっちゃうんだね! しかも、毛は抜いてしまったら戻ってこないかもしれないじゃないですか。いったんボーボーに伸ばしきったほうが全体像がわかって、足りないところも、どこに描くべきかも見えてくるし、本当は楽なんだけどね……。しかも、そうやって自分で抜いたり剃ったりした毛を、メイクでまた描いてるんでしょ!? 一生、眉迷子を脱出できないループを自ら作っていることに気付いてほしい!

F:眉毛を「形」だと思ってる人も多いんです。目や唇は「形」だけど、眉毛は髪の毛と同じ「毛」のジャンルなんですよ。「形」だと思って接するから、枠を作って塗り絵するみたいな感覚になっちゃう。

M:そう。「毛」なんだよ!

F:私たちは眉周りの産毛を残すことも提案してます。眉下に残っている産毛なんかは、陰影を作るのにすごくいいんですけど、みんな取りたがりますね。

M:産毛、私も大好き!絶対に剃らないほうがいい。ツルッとすると、どんどんつまらない仕上がりになっちゃうんです。眉の話だけじゃなくなりますけど、シワもそばかすも、その人だけのアクセサリー。自分の顔とその変化を受け入れられるようになるまでトライ&エラーです。誰かの正解をそのまま自分に持ってくるのは通用しないし、若く見せようと頑張るのって、ちょっと神経質ぽくない?

F:あ、すごいわかる! ヘルシーじゃないっていうか。

M:そうそう。あと私の経験上、アートメイクもおすすめしないなあ。皮膚の中に色が入るから、光が当たっても透けないし、写真を撮るとベタっと塗りつぶしたように見えるの。立体感、生命感が出せない。安易にアートメイクを入れて後悔している人も結構いるんです。眉がなくて本当に困っている場合は、毛を一本一本描くタイプのアートメイクで、本当に上手な施術者がやっているものならいいと思うんだけど……。

F:最近は上手な先生もいて、そういう方と話してみると、毛流れのことがちゃんとわかっているんですよ。アートメイクも本当に必要な5本くらいしか入れず、すっぴんでも自然に見えるように仕上げる。たまに「先に毛流れを確認してください。その後、本当に必要なところだけ入れます」って、患者さんをHBLに送ってくれる先生もいるほど。慎重になったほうがいいということを、美容医療側でも知っているんですよね。

リアルな声と向き合って見えてきたもの。

―お互いのプロダクトを使ってみて、お気に入りはどのアイテムですか?

F:ディファインブラシのベントアイブロウブラシは、ゲームチェンジャーだったと私は思います。先端が曲がっていることで、頑張って力を入れなくても簡単に色をふわっとのせられる設計になっていることに感動しました。水野さんのプロダクトはプロ仕様に見えるけれど、技術がない素人が使ってもプロの仕上がりに近づけることができる。

穂先の手前をブラシごとに角度を変え、ブラシ先端はドーム型に設計。凹凸のある場所にもフィットして描きやすい。左から、ベントアイブロウブラシS002 ¥5,720、ベントアイブロウブラシL003 ¥6,380/ディファインブラシ

M:うれしい! 私はHBLではアイブロウ スタイリングマスカラ 02 クリアブラックが好きなの。半透明のマスカラなんだけど、ブラシがすごく細くて、仕上がりがパリパリに固くならない。いい仕事をしてくれるアイテムなんだよね。一本一本をコーティングして毛の存在感をちょっと出すと、おしゃれに見える。それゆえファッション業界の人たちから支持されているよね。福井さんも、アイテムひとつひとつが出来上がるまで、自分でかなりこだわって確認してるんでしょ?

クリアベースに黒を配合し、さりげないツヤを与える眉マスカラ。3mm×12mmの極小マイクロブラシが短い眉毛や産毛までしっかりキャッチする。アイブロウ スタイリングマスカラ 02 ¥3,960/HBL ビューティ

F:そうです。これまで、世の中に眉コスメはたくさんあったけれど、人々の意識が変わらなかったから、単なるコスメではない、「眉スタイリング用コスメ」みたいな新ジャンルを出すぞ、という気持ちで。ファンデーションって、クッションファンデ以降でちょっと時代が変わったじゃないですか。それまでリキッドかパウダーかクリームかの選択肢しかなくて、肌をカバーするために塗るものだったけど、クッションが出たことでツヤ重視やスキンケア発想にも展開していって、逆に「塗らない」という選択肢も増えた。そこで初めてファンデは既成概念からひとつ抜けられたと思うんですよ。だから私たちは眉において、そういうクッションファンデみたいな視点を提示するブランドをやりたいと思って。最近は大手のブランドからも私たちの視点と近しいものが出てきたし、競合ではあるけれど、こちらの良さに気付いてくれたことはありがたいことです。

M:前例にないことをしようとする時、「やったことないからやらない」ではなく「そこにマーケットがあるんじゃないか」っておもしろがってくれる仲間がいるのはいいね。

F:私たちの強みは、サロンで毎日たくさんのお客様の眉毛を見て、直接お話しているセラピストがいること。普段のお客様がどんな眉コスメを使っていて、それを使うとどんな眉毛になるのかを知っているんですよ。そんなお客様がアンケートで教えてくれる「困っていること」を排除するためのものづくりをしています。たとえばマスカラだったら、ダマになるのが嫌。だったら、そうならないブラシをゼロから開発したりとか。知識やテクニックが一切なくても、道具が解決してくれる。

M:私も、ディファインブラシを始めて、イベントやポップアップでお客さんに直接会うようになってから、みんながどんなことで困っているか、何がわからないのかが見えてきた。それは大きかったよね。

―眉業界を牽引しているおふたり。今後、どんなことに挑戦したいですか?

F:眉毛難民のための合宿! 参加者は、家にある眉鋏を持ってきて、入り口でまず捨てる。そうしたら参加できるというもの(笑)。

M:おもしろい! 合宿やりましょう。1泊2日でとことん眉毛レッスン、いいね。私はやっぱり、もっと広い層に眉の毛流れを整えるという意識を定着させたい。眉毛の形は男性も女性も一緒だし、同じくらい大事なパーツなんだけど、特にメンズはまだまだ理容室で刈り込まれすぎている人たちも多いから。ちょっと時間はかかるだろうけど。

F:「自分の眉毛が嫌い」と言う人をなくしたいですよね。流行や美の概念はいろいろあって当然だけど、そもそも眉を整えるのが面倒とか、描き方がわからないとか、ネガティブ感をなくしたい。「肌がきれいだね」っていうくらい気軽に「今日の眉毛いいね」と褒め合う文化ができればいいな。


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  • photography: Kei Kondo(3rd)