フレーバー・バター専門店「オ・ブール・ロワイヤル」、まるでマリー・アントワネットの世界!
地下鉄12番線バック通り駅のすぐ近くの小道に、なんとも魅力的なバター専門店「Au Beurre Royal(オ・ブール・ロワイヤル)」が10月7日にオープンした。これからのパリ土産は、間違いなくここに直行だ。

一年の準備期間を経て、オ・ブール・ロワイヤルを開いたのはアンナ・ローランソーとセバスチャン・ローランソー兄妹で、二人ともまだ20代だ。彼女がクリエイションを、彼が経営面を担当している。二人のアイデアは単にパンに塗るというバターではなく、18世紀に酪農場で作られていたバターが得ていた高い評価を21世紀に蘇らせようというもの。王妃マリー・アントワネットはプティ・トリノンとランブイエに2つの酪農場を有し、またシャンティイにはコンデ公の酪農場があった。神聖なるバター。彼らのインスピレーションはこうした18世紀の王室の酪農場だ。淡いブルーのコードカラー、マリー・アントワネットが愛した花の矢車菊や小花のパッケージやお皿、王冠をあしらったロゴ……オ・ブール・ロワイヤルのノーブルな世界をブティック内にクリエイトしたのは、パリの著名な室内建築家&デザインコンサルタントのミカエル・コーレンゲルである。その空間で、アンナは三角巾、淡いブルーに染めた昔のコットンや麻の寝間着、それにエプロンという姿で世界各地からやってくる客を18世紀の酪農場さながらに出迎えるのだ。


販売しているのは、6種のフレーバーのバター。ローランソー家の本拠地があるのはメーヌ・エ・ロワール地方で、そこにある工房でアンナは旬の食材を用いたフレーバーをクリエイトするのだ。ベースとなるバターは、100年以上同じレシピで製造されている地元の酪農協同組合から仕入れている。アンナには料理人を目指す弟がいて、クリエイションには彼が彼女のレシピをヘルプ。ファミリーのこの工房で、製造から梱包まで全て手作業で行われている。

ブティックではクラシックなブール・ドゥミ・セル以外のフレーバーについて、テイスティングが可能。どんな料理に合うかなど、アンナが英・仏語でひとつずつ解説してくれる。メゾンのスペリシャリティはブール・フュメつまりスモーク・バターだ。これはテイスティングに際して、まずは香りを嗅ぐことから始める。ブナ材でスモークされたバターは、例えばマッシュポテトやベークドポテトに。魚料理にも向いている、という。子どもが喜びそうなのはチョコレートチップス入りの、ブール・ペピット・ショコラだろう。ブール・アイユ・デズルスはギョウジャニンニクが細かく刻み込まれ、独特の香りを放っていて……サーモンのステーキの上に乗せたらおいしそう!と思わせるのだが、もうじきエストラゴン・エシャロットに変わるフレーバーだという。これからの季節、牡蠣を食べるときに嬉しくなる味だろう。このようにオ・ブール・ロワイヤルでは季節に応じて品揃えが変わるので、通うのが楽しくなる。


ひとつでも贈られたら嬉しい、愛らしい小花の鞘に包まれたオ・ブール・ロワイヤルのバター。自由に選んだフレーバーの4個のバターを買うと、コードカラーのブルーが美しい箱に詰めてくれる。ディナーのお呼ばれにパフューム・キャンドルを持ってゆく、というのもいい加減飽きた!という人が大勢のパリ。これからはまるでチョコレートでも入っていそうな、このバターのギフトボックスが大活躍しそうだ。真空パック詰めも行なっているので、遠方へのお土産にもぴったり。

新しいバターの世界を提案するオ・ブール・ロワイヤルは待ち望まれていた存在だったのだろう。あまりの人気に用意されたバターが売り切れてしまって週末は店がクローズ……ということも、すでにあった。オープンしてすぐに、インスタグラムなどを通じ、あまり耳慣れない通りである7区の小さなポール=ルイ・クーリエ通りのブティックに国際色豊かな買い物客が集まってくるのだ。ちなみにこの通りは、1657年に設立された女子の修道院である聖母訪問会があった場所。1775年に修道院の礼拝堂が再建された際には、マリー・アントワネット王妃が礎石を据えたそうだ。フランス革命中に修道院は閉鎖。その後建物は売りに出され、少しずつその区画内に道が作られてゆき……そのうちの一本がこのポール=ルイ・クーリエ通り。アンナとセバスチャンのプロジェクトは偶然に導かれて、“あるべき場所”を得たのである。修道院の酪農場と書かれた扉をあけて、ブティックに入ろう。

Au Beurre Royal
5, rue Paul-Louis Courier
75007 Paris
営)11:00〜19:00(火~土)、12:00〜19:00(日)
休)月
https://www.aubeurreroyal.com/
@aubeurreroyal