美術館、博物館もついに再開! ロンドン市長、観光誘致へ。

Culture

文/坂本みゆき(在イギリスライター)

昨年一年に渡って、パンデミックによる感染者数や命を落とした人の数など、さまざまなデータでヨーロッパ最悪と言われ続けてきたイギリス。だがこの半年間にワクチン接種を急速に推し進めて成人の過半数以上に第1回目の接種を終わらせただけでなく、1日の検査数も150万件に届くほどに激増させた結果、現在はかなりの落ち着きをみせている。

1月5日に始まったロックダウンはようやく3段階目の緩和を迎え、3月28日の学校再開、4月12日の食材店や薬局などの必要最低限の店以外の店舗の営業再スタートに続き、5月17日以降はレストランやバーの通常営業、映画館や劇場、ホテルなどの行楽施設が再びその扉を開くこととなった。このまま順調に進めば、6月下旬にはすべての制約が解除されるとされている。

photo:GLA

5月6日の地方選挙で晴れて再選を果たしたロンドンのサディク・カーン市長は、これを受けて2期目スタート初日の10日に、「レッツ・ドゥ・ロンドン」キャンペーン開始を宣言。市内の文化、商業施設などと連動しながらロンドンに住む人たちはもちろん、イギリス国内の他のエリアの人々へもロンドンの魅力を最大限に伝え、観光誘致に結びつけて経済復興につなげていこうというものだ。

ヴィクトリア&アルバート博物館のインスタグラムにアップされた「レッツ・ドゥ・ロンドン」のキャンペーンフィルム。同博物館は5月19日から開館となる。ロンドンの博物館やギャラリーはすべて、昨年3月から7〜11月の4カ月と12月の約2週間を除き、ずっと閉まったままだった。劇場やコンサート会場は14カ月閉鎖。文化に再び触れる喜びに溢れた映像に心が踊る。

「『レッツ・ドゥ・ロンドン』は、ロンドンのビジネス、文化、興行施設を盛り立てる、かつてないほど大がかりなキャンペーンです。ロンドンを訪れる人々にインスピレーションを与えるための準備はすでに整っています」とカーン市長。

まずはその立ち上がりとして、ロンドンの中心地ピカデリーサーカスの地下鉄駅には、イギリスが誇る今世紀を代表する現代芸術の巨匠、デイヴィッド・ホックニーが手がけた駅名のプレートが登場。ホックニーの大々的なエキシビションがこの駅から至近のロイヤル・アカデミー・オブ・アーツで5月23日から開催されることと連動している。

今年84歳になるいまも、精力的に活動を続けるデイヴィッド・ホックニー。イギリス国内でも絶大な人気を誇り、エキシビションは常に満員御礼に。今回はこのプレートの前を抜けて展覧会に足を運ぶ人も多いはず。

今後も数々のロンドンやイギリスを代表するアーティストやデザイナー、シェフなどとコラボした企画が目白押しだという。

また音楽の祭典として知られるプロムス、ロンドン・ファッションウィーク、ロンドン・デザイン・フェスティバル、ロンドン・フィルム・フェスティバルなど、街を挙げての大がかりな文化イベントも順次開催の予定だ。

一年以上にわたって閑散としてしまっていたロンドンに再び活気が戻ってくるのはうれしい。しかしウイルスの感染拡大は現在のところ抑えられているものの、やはりいまだに不安は続いているのが正直なところだ。

最初のロックダウン解除後の昨年9月、ターミナル駅のロンドンブリッジにて。以前は帰宅ラッシュ時だった午後5時過ぎなのに駅のホームは閑散としていて、空の虹を見上げる人もいなかった。この14カ月間、ロンドンではこのような風景が日常だった。

そのため、感染対策は国のガイドラインを遵守して万全を期し、行列の工夫や入場者のコントロールでソーシャルディスタンスを確保。マスクやハンドサニタイザーの使用、さらには順番が回ってきたらワクチン接種をするようにとも呼びかけている。

出口の見えない長く暗いトンネルを黙々と歩き続けたような日々だった14カ月。誰もがこの間に、友人たちと囲むおいしい食卓や心を満たしてくれる芸術の数々が、いかにかけがえのないものだったかを痛感したはず。この先もまだ分からないから心配はある。しかし配慮をしながらであれ、再び楽しい時間を持てることを多くの人は歓迎していると感じている。

坂本みゆき MIYUKI SAKAMOTO

東京生まれ。95年に渡英後、ブライトン大学院にてファッション史を学びながらファッション業界紙やファッション誌への寄稿を始める。現在は男性誌、女性誌、専門誌など多方面に渡ってイギリスに関する記事を執筆。好きな分野は英国文化と生活、アート、音楽、食べ物&飲み物。サセックス州在住。ティーンエイジャーの母。madame FIGARO.jpで「England’s Dreaming」を連載中。

texte:MIYUKI SAKAMOTO

この記事の元URL: https://madamefigaro.jp/culture/1210513-letslondon.html