フィガロが選ぶ、今月の5冊

人生の変わり目を描いた、綿矢りさの8つの短編。

Culture

『意識のリボン』

綿矢りさ著 集英社刊 ¥1,404

綿矢りさという作家は、こじらせ女子のリアルなつぶやきを描くのがうまい。女は心の中で悪態をつく。デトックスに行ったはずの岩盤浴で聞くともなしに耳に入ってくる女たちの会話にモヤモヤを募らせる女がいる。結婚して、いい妻、いい母をやっているが、独身時代の自分との齟齬をスルーできない女がいる。若くして作家になった著者自身を思わせる女もいる。女の人生はステージが何度も変わるから、過去の履歴に上書きしたみたいな後ろめたさを誰もが抱えているのだろう。独白のような8つの短編には、女たちの口には出せない思いが渦巻いている。

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*「フィガロジャポン」2018年4月号より抜粋

réalisation : HARUMI TAKI

この記事の元URL: https://madamefigaro.jp/culture/180412-livre-02.html