テレビドラマ、拾い読み!
ドラマ「ラストノート」に期待大! 年齢差のある恋愛を描いてきたドラマを振り返る。
文・小林久乃
夏ドラマのラインナップに内田有紀&寺西拓人(timelesz)ダブル主演の「ラストノート」(フジテレビ系)を見かけた。49歳の女性が30歳の男性と出会い、恋に落ちていくラブストーリーだそう。これまで「昼顔~平日午後3時の恋人たち~」(2014年)、「あなたがしてくれなくても」(23年)、「わたしの宝物」(24年)を手がけてきた三竿玲子プロデューサーによる作品なだけに、期待値も高まる。さらに主人公となるふたりの約20歳の年齢差に、注目が寄せられている。

つい最近では「パンチドランク・ウーマン−脱獄まであと××日−」(日本テレビ系・26年)で、約22歳差の刑務官と未決拘禁者のドラマが放送されたばかり。平成トレンディドラマ時代は“女性が年上”という設定だけで話題に挙がったのに、いつの間にか親子関係の年の差でも違和感が減ってきた。いったい、いつ頃から男女の年齢差は大きく開いていったのだろう。ドラマオタクの私の大脳皮質(海馬で選別された重要な記憶)にストックされた、厳選作品を振り返りたい。
まずは1996年、平成に口火を切ったのが、もう日本人には説明不要の「ロングバケーション」(フジテレビ系/FOD、Netflix配信中)。ピアニストの瀬名秀俊(木村拓哉)24歳、モデルの葉山南(山口智子)31歳の7歳差でこの作品こそ、女性が年上の恋愛ドラマの先陣を切った。しかもあまりにもナチュラルにふたりが演じるものだから、年齢差は全く感じず、むしろ瀬名のほうが南を「ハイハイ」とたしなめているイメージ。昔から年下の異性のほうが心地良かった私にとって「こんな夢みたいな世界があるんだ……!」と、軽い衝撃だった。なんせいまから30年前の日本ときたら、女性が年上のカップルはちょっとしたアウトサイダー扱い。結婚式の披露宴ではどこぞの知らない親父が「年上の女房は金の草鞋を履いてでも探せ、と申しますが……」と、会場の笑いを取る材料にしていたほどなのだ。そんな時代だっただけに「ロンバケ」は、個人的なユートピアだったと記憶している。
愛は年齢も格差も超えてしまった。
その後、4年ほど経過したミレニアムイヤーには、平均すると9歳差が主流になってくる。1999年「魔女の条件」(TBS系)は高校教師の広瀬未知(松嶋菜々子)26歳、生徒の黒澤光(滝沢秀明)17歳で、9歳差。設定だけで禁忌の恋、いや未知は犯罪者扱いだった。2003年「きみはペット」(TBS系)ではキャリアウーマンの岩谷スミレ(小雪)28歳、拾われたペットの合田武志(松本潤)20歳で、8歳差。2005年「anego」(日本テレビ系/Hulu配信中)はOLの野田奈央子(篠原涼子)32歳、新入社員の黒沢明彦(赤西仁)22歳で10歳差。いずれも名作で台詞を覚えるほど繰り返し観た。「きみはペット」は漫画原作を何度も読み返して、雨の日になると自宅の前にダンボールはないかと探した(第一話より)思い出がよみがえる。
そして8年ほど経過すると、一気に年齢差が開く。2013年「ラスト・シンデレラ」(フジテレビ系/FOD配信中)は、美容師の遠山桜(篠原涼子)・39歳、BMXライダーの佐伯広斗(三浦春馬)・24歳と15歳差に到達。このジャンルのドラマにはめっぽう強い、篠原によるさすがの手腕が光っていた。
2018年「中学聖日記」(TBS系/U-NEXTなど配信中)は中学生教師の末永聖(有村架純)25歳と、黒岩晶(現・水上恒司)15歳の10歳差からドラマは始まった。年齢差は10歳でも前述の「魔女の条件」と比べると、女性教師の恋愛対象が中学生になったのは大きな変化。恋愛において、年齢はただの数字に過ぎないと作品も示し始めた。2023年「マイ・セカンド・アオハル」(TBS系/Prime Videoなど配信中)は、夢をあきらめきれずに大学に入学した30歳の白玉佐弥子(広瀬アリス)と、大学生の小笠原拓(道枝駿佑/なにわ男子)・20歳で10歳差。拓がまるで世代差を気にしていない素振りを見て、令和だなあと改めて感じたものだ。
昨年放送の「愛の、がっこう。」(フジテレビ系/FOD、Netflixなど配信中)では高校教師の小川愛実(木村文乃)・35歳と、ホストのカヲル(ラウール)・23歳で12歳差。年齢差はもちろん、身分格差のハードルも超えてしまった。いままでドキュメンタリーでしか見かけなかった道ならぬ恋は、もうないらしい。こんな趣味のようなコラムをしたためている私も、思い返すと40代前半で17歳年下の男性と交際した経験がある。特に若さが目当てで交際に発展したわけでもないし、好きになった相手がたまたま年下だっただけだ。実際にドラマのような悲劇やロマンティックが起きたかといえば特になく、普通の恋だった。これから恋をするとしてもこちらの知天命を迎えたので、どんどん年齢差=飛距離は伸びていくと思う。これでいいのだ。 この作品遍歴を経て「ラストノート」が、どんな世界観を見せてくれるのか。放送スタートを楽しみに、首を長くして待つ。