大村真理子の今週のPARIS
本誌でおなじみのイラストレーター、イリス・ドゥ・ムーイがまたまたチャーミングな本を出版した。題して、「En route pour la Tour Eiffel(エッフェル塔道中)」(hélium 刊)。
パリ市内、子供用書籍を扱う書店にて購入できる。14.90ユーロ
桃太郎が鬼退治の旅の途中で得たお供は、犬、サル、キジだったが、この本の主人公である幼いパリジェンヌのブリューヌは、エッフェル塔に行くまでに犬2匹、鳩一匹、そしてサル1匹をお供に迎える。一人と4匹がエッフェル塔を探し求めて、パリ市内のあちこちに立ち寄る珍道中を描いた絵本だ。
どこで調達したのやら、ある時はキックボードで街をかけまわるブリューヌとその仲間たち。
フランスの4歳以上の子供を対象にしているが、可愛いもの好きの日本人にもたまらなく魅力的な1冊といえる。ブリューヌが一人で留守番することに退屈したところから始まる物語。ブリューヌたちがエッフェル塔をみつけるまで、いかにもパリ!という場所があちこち登場する。バスチーユ広場でデモ行進を眺め、サン・ルイ島ではベルチヨンらしきアイスクリームを頬張り、ポンピドーセンターではロベール・ドローネー作のエッフェル塔を発見し、ジャルダン・デ・プラントではなんとオラウータンと草上のティータイム!と、楽しい寄り道ばかり。
セーヌ河岸に並ぶ古本売り(ブーキニスト)も登場。
どこにあるかわからないエッフェル塔を高いところから見物しようと、ポンピドー・センターへ。
表紙は、夜になってやっとエッフェル塔に昇って感激しているブリューヌ。その昔、エッフェル塔でシルクのロングドレスの裾をたなびかせるモデルを撮影したアーウィン・ブリューメンフェルドのファッション写真、あるいは塔の鉄骨の上でまるで踊ってるかのように見えるペンキ職人をとらえたマルク・リブーの写真を思い出させるカバーイラストだ。いつの時代にも人気の衰えないエッフェル塔への素晴らしいオマージュ。パリの旅の思い出にも相応しい一冊では?