「齊藤工 活動寫眞館」について

齊藤工とシネマバード in 北海道。後編

「齊藤工 活動寫眞館」について

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齊藤工さんが初めてシネマバードを開催したのは2014年。場所は東日本大震災の影響がまだ多く残る宮城県石巻市だった。

発端は、劇場体験をしたことのない子どもたちや、劇場のない地域の人たちに、同じ空間で映画を観て感動を共有する体験を届けたい、という思い。その後、福島県広野町、大分県豊後大野市、福島県南相馬市、熊本県山鹿市、そして昨年11月には沖縄県うるま市で開催。今回の北海道むかわ町が7回目となる。

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高校生以上を対象とした「シネマバード in 北海道」第2部も、齊藤さんとシンガーソングライター古賀小由実さんによるウェルカムライブで幕を開けた。「to U」や「八月のテクニカラー」、「カントリーロード 」の弾き語りで来場者を迎えた。

昨年、映画評論家や監督などの任意団体「日本映画ペンクラブ」が主宰する「第47回日本映画ペンクラブ賞」特別奨励賞を齊藤さんが受賞した。長編初監督作『blank13』(17年)の発表に加え、シネマバードを通して映画を共有する場所の大切さを発信し続けてきたことに、映画関係者からエールが贈られたのだ。

その受賞の挨拶で、「俳優は英語で“Actor”、行動する人という意味。これからも論ずるより行動し、映画の可能性に自分なりに関わっていきたい」と語っていたが、その言葉どおり、今回も多忙を極めるスケジュールの中で齊藤さんは行動し、映画とライブという極上のエンターテインメントを携えてむかわ町を訪れた。

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イベントMCであり、急きょバイオリニストとしてライブにも参加することになったUHB北海道文化放送のアナウンサー、千須和侑里子(ちすわゆりこ)さん(中央)が途中から演奏に加わる。

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北海道にまつわる思い出をシェア。

第1部が子どもたちを対象にしていたのに対して、第2部の客席にいるのは高校生以上の大人たち。トム・ブラウンは、高校の先輩である布川ひろきさんが、お笑いコンビを組まないかと後輩のみちおさんを誘ったが、プロのスノーボーダーになりたいからと一度断ったのだとか。札幌出身のふたりは、むかわ町方面にはドライブや山菜採りで来たことがあるので懐かしい、と話した。お笑いライブでは、名前に数字のつく有名人を合体させて盛り上がった。

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左から、千須和アナウンサー、サプライズゲストの女優・板谷由夏さん、北海道出身である女優・モデルの大政絢さん、トム・ブラウンのふたり、齊藤さん。

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カミナリの竹内まなぶさん(左)と石田たくみさん(右)は高校の校歌のネタを。イベントの最後の挨拶で、実はこれは新しいネタだったけれど受けていてすごくうれしかった、と明かした。

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永野さんは第2部もハイテンションで、“ラッセン”の後に客席へ。

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劇場体験が、素晴らしいものとなるように。

齊藤さんは、自身が舞台に出ていない時も、舞台袖でずっと出演者と客席を見守っていた。シネマバードが皆にとってかけがえのない体験になるようにと、心を砕いているのが伝わってくるようだった。

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そんな齊藤さんや出演者の皆さんに申し訳なく感じつつ、フィガロ編集者ふたりは会場の四季の館の「お食事処 たんぽぽ」でランチをいただいた。「いろいろまざった揚げ物定食」¥1,290は揚げたてのフライがとてもおいしくて癒やされた。地元の名産であるホッキ貝フライやホッキ丼など目移りするラインナップ!

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心にじんわり染みわたる古賀小由実さんのライブ。第1部と同様、「ヒカリ」や「この街のマーチ」を弾き語りで客席に届けた。

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談笑する出演者たち。大政絢さんは子どもの頃に劇場版『美少女戦士セーラームーン』を観て泣いて、ふと見ると一緒に行った叔母さんも隣で泣いていた、とのエピソードを紹介。

第2部のために齊藤さんがセレクトした映画は『スウィート17モンスター』(16年)。「17歳の高校生の女の子が主人公ですが、30を超えたおじさんの僕が観て号泣しました。女子高生に感情移入して、わかる!と、自分のことを見ているような気持ちになった。皆さんも、“いま”の自分の気持ちで観てみてください」と伝えた。

上映中、齊藤さんたちは取材を受けたりして、終始行動していたが、齊藤さんやシネマバードのスタッフたちは、四季の館の売店で販売されるソフトクリームがおいしいとウワサを聞いたとか。むろん編集KIMと編集YUKIも売店でちゃっかり見つけて、ホワイトとブラックのミックスをおいしくいただいた。齊藤さんとすれ違った時、「白がおいしいと聞いたから」と、誰かへの差し入れのようにふたつ手に持ち、楽屋のほうへ戻っていった。

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映画の感想を尋ねるため、舞台を降りて来場者に近づく出演者たち。

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共有した時間はそれぞれの中に残っていく。

第2部でもMOROHAについて、齊藤さんは“とにかく感じてください、出会ってください”とだけ伝え、ライブが始まった。

MOROHAのふたりは昼間に子どもたちに向けてパフォーマンスを行った際、何かを感じ取ろうとする子どもたちの表情が印象的だった、と語っていたそうだ。齊藤さんからリクエストのあった2曲のうち、今回は「革命」を披露した。

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MOROHAのMCアフロさん(左)とギターのUKさん(右)。

「革命」はアルバム『MOROHA II』と『MOROHA BEST〜十年再録』に収録されている。

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トム・ブラウンのみちおさんがエプロン、大政絢さんがTシャツなど、シネマバードのオリジナルアイテムを出演者たちも纏って。

「(客席降りで)皆さんの近くに行って触れ合うことができた。みんないい笑顔で、元気をもらいました」(永野さん)

「みなさんの温かい眼差しと拍手で、私のほうがたくさんのものをもらいました」(古賀さん)

齊藤さんは最後に、昨年の北海道胆振東部地震についても触れた。「大政さんやトム・ブラウンさんら北海道に所縁のある方々と、やっと北海道でシネマバード を実現できました。昨日北海道に着いて町を歩き、まだ震災の痕が残っていることも肌で感じました。今回、言葉にできないコミュニケーションができて、皆さんの表情からいろいろなものをいただいた。この後、会場の扉を開け、外に出て日常に戻る。その時に、今日の断片が皆さんの中に残り、共有した時間がみなさんの細胞の一部になっていたら」。そう思いを語った。

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劇場の扉の外に出演者全員が並び、来場者をひとりひとり送り出す。丁寧に手を重ねる姿が印象的。魂を揺さぶるようなライブを見せたMOROHAのふたりも、清々しい笑顔。

来場者全員を送り出した後、出演者・スタッフ皆が劇場内に戻ってきた。東京から駆けつけたスタッフも、地元のボランティアの方々も、全員が集まって記念撮影。

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地元のスタッフの方々と一緒に。

そして翌日がカミナリの竹内まなぶさんの誕生日とのことで、ケーキが用意されていて、みんなでお祝い。盛りだくさんな1日の終わりに、素敵なサプライズ!

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カミナリ竹内さんは、まさか今日お祝いしてもらえるなんて、とびっくりしながら、とてもうれしそう。

齊藤さんは皆に向かい、「今日の結果は来場者の皆さんひとりひとりの表情が物語っています」と伝えた。鳥のように、自由に、映画体験を届けるプロジェクト「シネマバード」のいちばんの原動力は、その土地で出会う人たちとの交流なのだと、今回訪れて実感できた。次回の開催地にも同行して、その土地の風景や空気とともに、シネマバードが届ける笑顔いっぱいの劇場体験について伝えてみたい。

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cinéma bird(移動映画館)
http://cinemabird.com

むかわ温泉 四季の館
北海道勇払郡むかわ町美幸3-3-1
tel:0145-42-4171
※営業時間は館内の施設により異なります。詳細は下記公式サイトをご参照ください。
www.shikinoyakata.com


〈むかわ町へのアクセス〉
東京・羽田空港から新千歳空港まで約1時間30分、新千歳空港からJR快速エアポートで南千歳駅まで約3分、南千歳駅から北斗で苫小牧駅まで約20分、苫小牧駅から日高本線で鵡川駅まで約30分。
または、東京・羽田空港から新千歳空港まで約1時間30分、新千歳空港からリムジンバスで大谷地駅まで約35分、大谷地駅から浦河ターミナル行きバスで鵡川四季の館前まで約1時間5分。
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TAKUMI SAITOH
移動映画館cinéma bird主宰。長編初監督作『blank13』(18年)が国内外の映画祭で8冠獲得。台湾、韓国でも公開された。昨年末、パリ・ルーヴル美術館のアート展にて白黒写真作品が銅賞受賞。日本代表として監督を務めたHBO Asia “Folklore” 『TATAMI』が10月30日、11月2日に東京国際映画祭にて上映。同企画第2弾“Foodlore”にも参加。企画・制作・主演を務める『MANRIKI』が11月29日に公開。企画・脚本・監督・撮影の『コンプライアンス』が来年2月公開予定。21年公開予定の『シン・ウルトラマン』では主演を務める。

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