マチュー・ブレイジーがシャネル2027年春夏コレクションで辿った、ガブリエル・シャネルの一生。
マチュー・ブレイジーが最新コレクションで描いたのは、ガブリエル・ シャネルというひとりの女性の人生と、その内に存在するさまざまな自分。その若き日から、自由を手にしたシャネルへ。過去と現在を行き来しながら、メゾンのコードをいまの時代へとつなぐ2027年春夏コレクションが発表された。
巨大な鳥が舞う空間で、シャネルの人生を辿る
2026年10月5日、パリで発表されたシャネルの2027年春夏コレクション。会場となったグラン・パレに足を踏み入れると、頭上には95羽もの巨大な白い鳥が舞い、月のオブジェが浮かぶ幻想的な光景が広がった。今季、ファッション部門のアーティスティック ディレクターを務めるマチュー・ブレイジーが見つめたのは、ガブリエル・シャネルの人生と、ひとりの女性の中に存在するさまざまな自分。

「かつて子どもだった頃の私は、今も私とともにいます」と語ったガブリエルは、幼い頃の自分こそが美意識や厳格な基準の源だったと振り返っている。そんな彼女についてマチューは、「歴史を再現するためのコレクションではなく、ガブリエル・シャネルがたどった人生のさまざまなフェーズにおける物語を描きました。鳥のように飛翔を遂げた彼女の人生は、その歩みとともに、自由に向かってひらかれていきました」と語る。
ガブリエル・シャネルという女性が、やがて“シャネル”になっていく。その軌跡を、過去から現在、そして未来へとつながるファッションを通して描いたコレクションとなった。




女性たちの身体を束縛から解放し、自由に!
ショーは、若き日のガブリエル・シャネルを思わせるジャージー素材のボディウェアでスタート。そこから戦後を象徴するスーツへと移り、彼女の人生を辿るようにルックが展開していく。エドワード朝時代の身体を締めつけるコルセットやテーラリングは、コルセットワイヤーが描くラインやペプラム、襟もとのひだ飾りなどに姿を変え、現代のワードローブに昇華。さらに構築的なデザインと脱構築的なデザインが交錯するメンズウェアでは、フォーマルなアイテムをエッジが切りっぱなしのベストに仕立て、パンツやペンシルスカートと組み合わせる。



一方、1930年代を想起させるイヴニングドレスは、スパンコール刺繍を飾ったバイアスカットやビーズ刺繍のニットを取り入れて驚くほど軽やかな印象に。Tシャツのようにさらりと纏えるドレスでは、ガブリエルが追い求めた身体の解放と自由を表現した。なかでも目を奪われたのが、厚みの異なる透明なプリントシルクを幾重にも重ね、流れる雲を表現したルック。朝から夜へと移ろう空のように、柔らかな生地が身体の動きに合わせてドラマチックに揺れる。



自由を想起させる鳥のモチーフを散りばめて
そして、会場の空を舞っていた鳥たちは服の上にもあしらわれた。自由を象徴するアマツバメやツバメが、ボタンやジュエリー、立体刺繍となって随所に登場。ショーの終盤には、伸縮性のあるスモッキング ツイードを使った新しいスーツがお目見え。


メゾンの原点となる第二の肌のようなボディウェアで始まったショーは、最後にスモッキング ツイードを用いた、しなやかに身体とともに動くスーツへとたどり着く。さらにバッグにもシャネルらしい遊び心が満載。ウォッチチェーンを思わせるクラスプを配したフラップ バッグや時の移ろいを表現したクラウド バッグ、鳥かご型のミノディエールなども目をひく。ショーの最初と最後を飾ったモデル、ディアニラ・ハーブッシャーが手にしていたのは、なんとメゾンのアーカイブに収蔵されているガブリエル・シャネル自身の「2.55」バッグ。


フロントロウには、アンバサダーのニコール・キッドマン、アンジェル、ペドロ・パスカル、デュア・リパをはじめ、松村北斗、CORTISのゴンホ、ILLITのウォンヒらも集結。ニコールは娘のフェイスとともに姿を見せるなど、華やかなゲストたちもショーに彩りを添えた。
シャネル カスタマー ケア センター
0120-525-519(フリーダイヤル)
- photography: Chanel
- text: Tomoko Kawakami
- edit: フィガロジャポン編集部