「いま」を輝かせる日常着。スポーティとエレガンスが交差する、ミュウミュウ2027年春夏コレクション。

Fashion

2026年10月4日(現地時間)、ミウッチャ・プラダ率いるミュウミュウの2027年春夏コレクションが、パリにて開催された。今季のテーマは「HERE AND NOW(ヒア・アンド・ナウ)」。スポーツウエアやニット、レザー、ヴィンテージアイテムといった、“いま”を生きる人々の身近な日常着に着目し、美しさや洗練、エレガンスという要素を取り入れ、見慣れたいつもの装いが磨き上げられ、新たな姿へと変容していく──そんな日常着を根本から捉え直すワードローブを打ち出した。

パープルに染め上げられた会場では、スポーティな要素とヴィンテージライクなムードが交錯し、相反する要素をあえて掛け合わせることで、その間に生まれる摩擦や緊張さえも新たな魅力へと昇華していった。

スポーティなジャージーやニットから、端正なテーラードスーツや刺繍を施したイブニングドレスまで、多彩なアイテムが登場。過去のコレクションやポップカルチャーを想起させる幾何学模様のプリントも取り入れられ、スエードには意図的にひび割れや経年変化を思わせるワックス加工を施し、素材にも新たな表情と変化をつけていた。

ショーのなかでも注目は、今季を象徴する“クロスド・レーシング”。ファスナーに代わって紐を交差させたこのディテールは、デニムやプリーツスカート、カクテルドレス、シューズなどにもあしらわれ、装飾としてだけでなく、衣服が身体の動きに寄り添うための機能も担う。そんな機能とデザイン性を両立させた、ミウッチャらしい遊び心が随所に光る。

さらに、ジャージー素材を用いた高性能スポーツウェアに装飾的なブラトップをレイヤリングしたスタイルや、シルクのリボンで素肌を飾る大胆な肌見せも。

また、ショーにはジジ・ハディッドをはじめ、オリヴィア・コールマン、エマ・コリンら多彩なキャストが登場。世代やバックグラウンドの異なる面々が、それぞれの個性でコレクションを彩った。

そして、ヴィンテージウエアを再構築する取り組み「Miu Miu Upcycled」から、ラングラーとの協働によるヘリテージデニムが登場。20世紀末のヴィンテージデニムに、今季を象徴する“クロスド・レーシング”を施し、新たな表情に。ブランドが継続して取り組む循環型デザインへの姿勢も映し出され、ショーでもひときわ存在感を放った。

さらに注目したいのが、コラボレーション5年目を迎えたニューバランスとの新作「New Balance × Miu Miu RC150」。わずか150グラムという軽量設計に由来するレーシングスニーカー「RC150」を、テクニカルメッシュを用いて脱構築した。外側のループに通したコントラストカラーのシューレースをつま先で緩く結ぶデザインが、スポーティな一足にミュウミュウらしいキッチュなひとひねりを加える。

今季の“立ち返り、見つめ直す”というテーマはショーの舞台装置にも反映され、フランス人映画監督アリス・ディオップが手掛けるプロジェクト「Geste de Consolation(慰めのしぐさ)」の土台に。同プロジェクトは、アート・バーゼル・パリ2026の一環として発表される予定だ。

見慣れた日常着に立ち返り、その価値を見つめ直すことで、新たな美しさを見出していく──。スポーツとエレガンス、機能と装飾、過去と現在。異なる要素の境界を軽やかに行き来しながら、“いま”を映し出すワードローブを更新するミュウミュウらしい提案が詰まった、華々しいコレクションとなった。

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  • text: Mika Mukaiyama