老化の最も顕著な変化が起こるふたつの年齢をスタンフォード大学が発表。

Lifestyle 2024.10.03

スタンフォード大学医学部が発表した研究によると、急に老化が進む年齢というものがある。しかもそれは人生で1回だけでなく、2回も起こるそうだ。

これは想像の産物などではない。ある年齢に達すると「老い」が襲ってくる。しかもそれは2段階でやってくる。スタンフォード大学医学部は、2024年8月に発表した老化をテーマにしたオンラインジャーナル「Nature Aging」に発表した研究論文で、そう結論づけた。

研究の前提として、アルツハイマー病や心血管障害のリスクは60歳になるまで徐々に増加し、その後数年で急激に上昇するという観察結果があった。研究チームは、25歳から75歳の人々の何千種類もの細胞分子とマイクロバイオーム（体内や皮膚に存在する細菌、ウイルス、真菌）を分析したうえで、腎臓、肝臓、代謝、免疫系が個人ごとに異なる速度で老化することを示す4つの「エイジオタイプ」（老化のタイプ）を推論した。

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急激に起きる老化の2段階

さらにまだある。参加者の生体サンプルを数年にわたって分析した結果、採取した細胞分子や微生物の約81％が、時間の経過とともに非線形に増減していることがわかった。また、最も顕著な変化は多くの場合、特定の年齢、すなわち44歳と60歳で起きることもわかった。

この研究の筆頭筆者であるマイケル・スナイダー遺伝学教授は、プレスリリースの中で次のように語っている。「人間は単純に時間の経過に伴って徐々に変化するのではありません。驚異的な変化が起きる時期があります。40代半ばと60代前半は、この驚異的な変化の時期であることがわかりました。そしてこれは、我々が研究したどの細胞分子クラスであっても同じでした」

より具体的に40歳から60歳の間に観察された最も顕著な変化は、アルコールとカフェインと脂質の代謝、心臓血管疾患、皮膚と筋肉に関係する細胞分子数に関するものであった。60代では、炭水化物とカフェインの代謝、免疫調節、腎臓機能、心血管系疾患、皮膚と筋肉に関連する細胞分子数に関するものであった。

40代にとっては衝撃的な事実。

60歳代にとって、こうした変化は特に驚くことではないとマイケル・スナイダーは言う。「人生のこの段階で、加齢に伴う病気のリスクが高まり、さまざまな加齢現象も起きることが知られているからです」。しかし、40代半ばで大きな変化が観察されることには驚いたそうだ。

研究チームは最初、研究対象の女性に起きた閉経や更年期が大きな変化をもたらし、サンプル全体の結果を歪めていると考えた。しかしながら研究グループを男女別にわけたところ、このような変動は女性だけでなく、同年代の男性にも起こっていることがわかった。

スタンフォード大学医学部の元ポスドク研究員で、現在はシンガポールの南洋理工大学に在籍するシャオタオ・シェン助教授は、「40代半ばの女性に見られる変化には、閉経や更年期が関与している可能性がある一方で、男女ともに、これらの変化に影響を与えている重要な要因がおそらくほかに存在することを示唆しています」と述べると、「これらの要因を特定し、研究することが今後の研究の優先課題です」と指摘した。

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アルコールを減らし、運動量を増やす。

これは自然が人間の身体をそう作ったからなのだろうか。必ずしもそうではないかもしれない。生物学的要因というよりも、個人のライフスタイルに関連している可能性があることをマイケル・スナイダーは上述のプレスリリースで示唆した。たとえば、アルコール代謝の機能不全は、40代半ばでのアルコール摂取量の増加から生じている可能性がある。

今後の研究を待つ間、研究チームは、40代と60代の人々が自分の健康に留意する大切さを強調し、特に「これらの年齢では、心臓を守り筋肉量を維持するために身体活動を増やす」、あるいは「40代でアルコールの代謝能力が落ちるので、アルコール摂取を減らす」ことを提案している。