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MAISON MUMM
グラン・クリュのテロワールを伝える、シャンパーニュ「RSRV」の味わい。
1827年にシャンパーニュ地方の中心地、ランスに創業したメゾン マム。レジオン・ドヌール勲章の赤いリボンになぞらえた「マム コルドン ルージュ」でおなじみのグランメゾンである。そんなメゾン マムが200年におよぶ叡智を駆使して造り上げた一連のシャンパーニュが「RSRV(アール・エス・アール・ヴイ)」だ。その卓越した品質について掘り下げていこう。

まるでなにかの暗号のごとき「RSRV」の4文字。これは「Réservée(レゼルヴ)」の略号で、日本語に訳せば「お取り置き」という意味である。かつてメゾンでは、親しい友人や賓客のため通常の販売アイテムとは異なる特別なシャンパーニュを醸造し、それをセラーの一角に保管していた。メゾンのごく一部の人だけが知る、秘蔵のボトルに付けられたコードネームがRSRVだったのだ。当時はこの特別なシャンパーニュを贈るにあたって、右上を折り曲げたメッセージカードを添える習慣があったという。今日、各アイテムのエチケットの右上が斜めに切り取られているのはその名残である。
偉大なピノ・ノワールが生まれるグラン・クリュへ。
RSRVの最大の特徴は、最上級のグラン・クリュ(特級畑)のブドウのみを使用していること。現在シャンパーニュ地方に広がる3万4000ヘクタールのブドウ畑のうち、グラン・クリュの面積は4500ヘクタールで、わずか13%に過ぎない。RSRVを名乗る一連のアイテムは、限られたグラン・クリュのブドウを使うことによって、「Sense of Place」すなわちその土地ならではのキャラクターを明確に表現することができる。

たとえば、モンターニュ・ド・ランスのピノ・ノワールでも北向き斜面にあるマイィ・シャンパーニュやヴェルズネと、南向き斜面にあるブージーやアンボネイとは個性が異なる。前者は繊細さと優美さが際立ち、後者は力強さと骨格で勝る。
メゾン マムが所有するブドウ畑は218ヘクタールあり、そのうち160ヘクタールがグラン・クリュだが、RSRVにはそのうちの30ヘクタールのみが使われる。このRSRV向けのブドウ畑では、10年前からリジェネラティブ・ヴィティカルチャー(再生型ブドウ栽培)を実践。ライ麦やソラ豆、クローバーなどの植物を畝間に生やして土中の微生物を活性化させ、土壌の団粒構造を促したり、さまざまな植物の生垣や野鳥の巣箱、養蜂箱を設置することで生物多様性を促進している。所有する自社畑において、再生型ブドウ栽培の完全導入を2030年までに完了する見込みだ。

こうした持続可能なブドウ栽培の取り組みは、グラン・クリュのテロワールからそのポテンシャルを100%引き出させ、「Sense of Place」をより克明に表現することを可能にする。グラン・クリュのブドウ畑はいずれも母岩が白亜紀のチョーク層。太古の昔は海の底で、円石藻という植物プランクトンが堆積し、化石化して出来上がった。チョークはスポンジのような役割を果たし、過剰な雨水を溜めない一方、水不足の時には蓄えていた水分でブドウ畑を潤してくれる。さらにシャンパーニュの熟成には高い酸が不可欠だが、それにもチョーク質の土壌が大きな役割を果たす。ただ、こうした特徴も健全なテロワールがあってこそ。そのためにもリジェネラティブ・ヴィティカルチャーは不可欠の取り組みなのだ。
RSRVが名付けられた、5つのシリーズ。
RSRVには5つのキュヴェがある。まずクラマンのシャルドネから造られる「ブラン・ド・ブラン」。通常のシャンパーニュが6気圧のガス圧のところ、4.5気圧に抑えているのも大きな特徴で、クリーミーなテクスチャーが味わえる。その対局にあるのがヴェルズネのピノ・ノワールによる「ブラン・ド・ノワール」だ。モンターニュ・ド・ランス北斜面ならではの緊張感を伴い、優美なスタイルとなっている。

そして5つのグラン・クリュをアッサンブラージュし、最低4年間熟成させた「4.5」。ベースワインの一部はオーク樽で熟成、パーペチュアルリザーヴ(過去のワインに新しいワインを注ぎ足し続けたリザーヴワイン)が20~30%加わることで、複雑な風味が味わえる。さらにメゾンと結びつきの深い芸術家、レオナール・フジタこと藤田嗣治にオマージュを捧げる「ロゼ・フジタ」。アンボネイ産の赤ワインがもたらす赤い果実のアロマと力強い味わいが特徴だ。最後にメゾンのフラッグシップ「キュヴェ・ラルー」。際立って優れたヴィンテージにのみ造られるこのキュヴェは、メゾンが歴史的に所有する12のグラン・クリュの中からその年に応じて最良のブドウ畑が選ばれる。澱とともに寝かされる期間は10年以上にも及び、フレッシュネスと複雑性を両立した、至高のフレーバーが味わえる。
ガストロノミックなペアリングがふさわしい、RSRVの味わい。
偉大なシャンパーニュほどガストロノミックなシチュエーションがふさわしく、メゾン マムの「RSRV」もその例外ではない。フレンチの名門・ひらまつが恵比寿に新しくオープンした「HRMT STAGE(エイチアールエムティー ステージ)」で、マネージャーの宮﨑竜也からペアリングについて聞いた。
「RSRV 4.5」に合わせたのは「オシェトラキャビア マッシュポテトのクルスティアン」。春巻きの皮で巻いたマッシュポテトをかりかりに揚げ、オシェトラキャビアをトッピングした前菜の一品だ。

「シャンパーニュとキャビアは鉄板の組み合わせです」と宮﨑。
「ポテトの柔らかな食感と春巻きのクリスピーさが、このキュヴェのクリーミーな泡立ちと弾ける気泡とも共鳴し合います。アクセントにハーブを添えていますが、ハーブの香りも4.5に共通するアロマのひとつです」
そして、「RSRV キュヴェ ラルー2013」には「信州プレミアム牛のロースト 赤ワインソース」。

このお店は、メインの魚料理や肉料理に合わせて、複数のソースから好みのものを選べるスタイル。赤ワインソースのほかに黒トリュフとフォンドヴォーで仕上げたソース・ペリグーも選べるが、「複雑なものよりもシンプルなソースがおすすめ」と宮﨑は言う。
「赤身の肉料理にはロゼと思われるかもしれませんが、キュヴェ ラルーの圧倒的存在感ならまったくひけをとりません」
「4.5」も「キュヴェ ラルー」も、「RSRV」のすべてのキュヴェはグラン・クリュのブドウが使われる。
「グラン・クリュのブドウはミネラル感が強いので、魚介類との相性が特によい。けれども、今回はあえてチャレンジングな組み合わせを試してみました。肉には赤ワインという枠組みからはずれても、RSRVなら楽しめます。前菜を赤ワインから始め、メインでキュヴェ ラルーを持ってくる、なんて粋じゃないですか」

メインと合わせるなら大きめのグラスに注ぎ、温度は高級白ワインと同じ13℃くらいまで上げたほうが、複雑なフレーバーがより楽しめるという。メゾン マムのRSRVはガストロノミックな喜びに満ちあふれたシャンパーニュだ。

HRMT STAGE
東京都渋谷区恵比寿西1-17-13 コルティス恵比寿 1F
営)11:30〜13:00L.O.(土、日、祝)17:30〜21:30L.O.(月、火、木〜土)17:30〜20:00L.O.(日、祝)
休)水(祝日の場合は翌日) ※ほか不定休あり
予約:https://www.tablecheck.com/ja/hrmt-stage/reserve/
※支払いはクレジットカードのみ対応
https://www.hiramatsurestaurant.jp/hrmt-stage/
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問い合わせ先:
ペルノ・リカール・ジャパン
tel:03-5802-2671
- photography: Yu Nakaniwa(restaurant) text: Tadayuki Yanagi