ザンビア・マザブカの市場の人々のランチタイムを覗いてみたら。

Lifestyle

写真家の在本彌生が世界中を旅して、そこで出会った人々の暮らしや営み、町の風景を写真とエッセイで綴る連載。今回はザンビア・マザブカの旅。

西陽に照らされるマザブカの市場の一角。野菜は根菜から葉物まで豊富、豆の種類がとても多く初めて見るものもあった。JICAに勤められていたお父さまのザンビア赴任によって、ルサカで幼少期を過ごしたという作家の千早茜さん。著書『わるい食べもの』の中で、当時のルサカやほかのアフリカの地での食べ物体験が綴られていて興味深い。

市場の人々のランチタイム。

vol.45 @ ザンビア・マザブカ

アフリカ大陸の東、内陸に位置する国ザンビアで、JICA海外協力隊の活動に触れ撮影する機会を得た。私にとっては初めて訪れる国、体感することすべてが新鮮で、瞬きする間も惜しいくらい。目の前で繰り広げられる光景を夢中になって視続けた。

飛行機で降り立った首都ルサカは華やかな都会で、モダニズム的な高層建築も道すがらでいくつか見かけたが、滞在したマザブカの町は幾分長閑な雰囲気。自然にも恵まれていてバランスが良い印象だ。マザブカに暮らす人々は実に朗らかで感じが良い。城野隊員の案内で地元の市場を歩くと、野菜や豆を売る女性たちと客のテンポの良い掛け合いを見た。市場はその土地の鏡のような存在。人々の姿も産物も嗜好も流行も見て取れるから楽しい。炎天下、笑顔でコミュニケーションを交わす城野隊員と市場の女たちの姿が健やかで眩しかった。 炭火で炒ったばかりのピーナッツを売っていたのでさっそく買ってみると、小粒ながらその濃厚な味と香ばしさにやみつきになった。
野菜を売りながらランチボックスを広げていた女性が何を食べているのか気になって覗き込んでいると「食べてみる?」とうれしいお誘いを受けた。食いしん坊丸出しの私、こんな時は遠慮なく一口いただく。粘りのある葉物を細かく挽いたピーナッツで和えたそのおかずは、塩味控えめながら調和の取れたよいお味。アクセントに刻んだトマトも少しだけ入れたという。よい野菜を売る人はもちろん料理も上手、というわけだ。

市場の食堂でザンビアの国民食、シマを食べてみた。トウモロコシ粉を加熱しながら水と練り上げたもちっとした主食を野菜のおかず、鶏肉のトマト煮と合わせて。
市場で見かけた女性たち、健やかであたたかい笑顔が美しい。

『わるい食べもの』
千早 茜著  集英社文庫 ¥660

Yayoi Arimoto
東京生まれ、写真家。
夏の初め、短くも大変充実したザンビア滞在だった。未舗装の道を歩くと足が喜んだ。野性が目覚める感覚があった。

Yayoi Arimoto
東京生まれ、写真家。アリタリア航空で乗務員として勤務する中で写真と出会う。2006年よりフリーランスの写真家として本格的に活動を開始。

  • photography & text: Yayoi Arimoto

*「フィガロジャポン」2026年11月号より抜粋