移住で見つけた、アール・ドゥ・ヴィーヴルな暮らし。

Travel 2022.12.07

沖縄に魅了され、移住したフードコーディネーターの根本きこ。うちなーんちゅ(地元の人)が受け継ぐ生活の知恵を知り、移住者の視点で、その魅力を伝えている。これまでのキャリアを生かして楽しむ、素敵な暮らしを拝見!

【 今帰仁村 】身近な人々と地元食材で紡ぐ、手作りの田舎暮らし。

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中央に作業台を置き、動線を意識した自宅兼波羅蜜のキッチン。

根本きこ|フードコーディネーター 波羅蜜オーナー

逗子でカフェブームの先駆けとなった店を営みつつ、フードコーディネーターとして活躍し、数多くのレシピ本を出版してきた根本きこ。東日本大震災をきっかけに、2011年に都会を離れ、家族で沖縄県北部のやんばる、東村に移住した。ジャングルのような森での生活は自給自足に近い。友人の手を借りて夫婦で家を建て、生活水は山の上の水源地からホースを繋ぎ、沸かして使う。米作りにも挑戦した。不便をあえて楽しむ約5年のやんばる暮らしの後、今帰仁村に引っ越し。本島北部の本部半島に位置し、人口約9000人の小さな村には大型の施設はないが「海も山も近くて、逗子と通ずるところも。大らかなご近所さんがたくさんいるのも魅力」と根本は微笑む。

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店のダイニングであり、一家の食卓。木工所だった空間は、天井高があり開放的。

引っ越しを機に「人が集まる場を作りたい」という夫・西郡潤士の想いから、波羅蜜の名でカフェを再開。やんばる時代の経験を生かし木工所をリノベーションし、カフェ兼自宅に。柔らかな光が入る台所は、パイナップルやバナナが吊るされ、甘い香りが漂う。今帰仁村は国頭マージという酸性土壌のため、南国果物の栽培に適し、古くから農業が盛んだ。

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ドリンク担当の夫の西郡は、遠赤外線の効果を利用した土鍋でコーヒー豆を焙煎。透明感のあるピュアな味わいのコーヒーが店では楽しめる。コーヒーの実の収穫の手伝いもしている。

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波羅蜜で提供する「ハーブソーダ」¥600。庭のハーブがたっぷり入り、甘味は加えていないので清涼感だけが口に残る。根本が調合する県産スパイスを使った料理とも合う。 

「在来種の島バナナなど、この土地ならではの食材が豊富だし、同じゴーヤでも本州のものより苦味が強かったり、レシピ作りの刺激になります。そういった近場のもので食事できるのは幸せです」

店で提供するカレーやハーブソーダに使うのも、ホーリーバジル、レモングラスなど庭で育てたもの。月1回開催する地元の豚や島豆腐を使った「水餃子の日」など、波羅蜜でご近所さんが集えるイベントも催す。土地のものを食べ、土地に委ねて暮らす。地産地消を大げさに掲げずとも、今帰仁村だからこそ、自然に心地よい暮らしが実現できた。

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今帰仁村には「スナックパイン、サンドルチェなど、パイナップルだけで種類もたくさん!」と根本。凍らせて豆乳と合わせてスムージーにしたり、食卓で大活躍。

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波羅蜜のエントランス前で。根本と、夫の西郡、やんばるの自宅で生まれた7歳の次女・縫衣ちゃんと一緒に。

Kiko Nemoto
1974年生まれ。2003年にカフェ、コヤを夫の西郡潤士と逗子で始める。11年春、家族で沖縄に移住。いまは夫婦でカフェ、波羅蜜を営みながら、家族5人と家猫2匹、常連の外猫2匹と暮らす。近著は『沖縄 今帰仁「波羅蜜」の料理 カレー、ときどき水餃子』(KADOKAWA刊)。

波羅蜜|Paramita
沖縄県国頭郡今帰仁村仲宗根278-3
tel:090-8511-0607 
営)11:30~16:00L.O.
休)火~木
Instagram:@paramitajunji

*「フィガロジャポン」2022年12月号より抜粋

●掲載施設の開館・営業時間、閉館・定休日、価格、料理、商品などは、取材時から変更になる可能性があります。
●施設によって、別途サービス料や宿泊税、入湯税などがかかる場合があります。
●取材・撮影時はコロナ対策に十分配慮し、少人数で行っております。また、写真でマスクを外している場合がありますが、通常スタッフはマスク着用のうえ感染対策を行っております。

photography: Wataru Oshiro (camenokostudio)

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