ピカソ美術館と軍事博物館で異色のピカソ展が開催中。【前編】

Paris

1. 軍事博物館『ピカソと戦争』展

アンヴァリッド(廃兵院)の軍事博物館。武器など軍事に興味がないと、素通りしてしまう場所ではないだろうか。ここでピカソ美術館との共同企画で『ピカソと戦争』展が開催されている。

ジョルジュ・ブラックのユニフォームを着たピカソ。ブラックが1911年に撮影した。©RMN-Grand Palais(Musée national Picasso- Paris) / Franck Raux / Adagp, Paris 2019 / Succession Picasso 2019

軍事博物館へは、広場に面した小さな入り口から入る。

パブロ・ピカソ(1881〜1973年)の91年という長い人生の間、複数の戦争があった。彼が亡くなった時も、ベトナムでまだ戦争は続いていた。兵士として参加した戦争はひとつもなく、パリ暮らしのスペイン市民として戦争を体験した彼。展覧会は「歴史絵画の製造」「第一次大戦の周辺で」「不可聴から不可視まで:ゲルニカ」「アトリエにおける戦争」「同胞ピカソ」「戦争反対、平和に賛成」「歴史の絵画、絵画の歴史」の7つのテーマでほぼ時代順に構成され、戦争がピカソの作品にどんな題材を与え、どのように影響を及ぼしたかを来場者に見せるものだ。よく知られた彼の作品をはじめ、戦争をキーワードに集めるとこれほどの数が集まるのか、と驚かされる。彼が“創作は自分の日記”とよく言っていたように、戦争が彼の作品の題材になるのも自然のことなのだ。もっとも『ゲルニカ』を除いては、戦争を直接描いた作品は残していない。

従軍したギヨーム・アポリネールにピカソが宛てた手紙。©RMN-Grand Palais(Musée national Picasso-Paris) / Thierry Le Mage/Succession Picasso 2019

パブロ・ピカソ『泣く女』(1937年10月18日)。モデルはドラ・マール。© RMN-Grand Palais (Musée national Picasso-Paris)/Jean- Gilles Berizzi/Succession Picasso 2019

パブロ・ピカソ『戦争』(1951年10月5日)。©RMN-Grand Palais (Musée national Picasso- Paris) / Succession Picasso 2019

1945年9月1日にロバート・キャパが撮影。第二次大戦終了時、ピカソのアトリエで絵を手に取るアメリカ兵。©Robert Capa/International Center of Photography / Magnum Photos / Succession Picasso 2019

ピカソのアトリエの階段の鳩を1943年にブラッサイが撮影。展覧会ではピカソの有名なコロンブをテーマにしたコーナーが設けられている。©RMN-Grand Palais (Musée national Picasso- Paris)/Franck Raux/Estate Brassaï – RMN-Grand Palais

パブロ・ピカソ『サビーヌの出来事』(1962年11月4〜8日、ムージャンにて)。©Centre Pompidou, MNAM-CCI, Dist. RMN- Grand Palais/Christian Bahier/Philippe Migeat/Succession Picasso 2019

1954年アルジェリア戦争が勃発。その翌年に描かれたパブロ・ピカソ『アルジェの女たち』(1955年1月24日、モナコにて)。1950年代、ピカソは過去の巨匠の作品をもとに作品をよく描いていて、これは1834年のドラクロワの『アルジェの女たち』がベース。© Nahmad collection/ Succession Picasso 2019

この展覧会では特別なイベントが2種用意されている。どちらも軍事美術館内で、日頃は一般公開されていない部屋での開催というおまけ付きだ。

ひとつめの料理のマスター・クラスは、戦時下の料理をアラン・パッサールが再現するというもの。これはエドゥアール・ドゥ・ポミアンヌが出版した『料理と配給制度』の中の料理で、クラスの最後に参加者は試食ができる。ちょっと言葉に自信がなくても、最後にしっかり胃袋で理解できるのでご安心を。開催は5月14日、6月4日、7月2日。18時30分から。料金は展覧会とセットで55ユーロ(26歳以下は45ユーロ)。

もうひとつはピカソが書いた演劇作品の中のひとつ、「Le Désir attrapé par la queue」の上演である。これは1944年、アーティスト仲間たちとのプライベートな集まりで、アルベール・カミュが演出して初演された。占領下のパリを舞台に飢え、寒さ、愛をテーマにした20分の作品。開催は7月14日までの毎週土、日曜日。上演は12時、14時30分、16時。

銀行の金庫内のピカソをドラ・マールが撮影。1932年。©RMN-Grand Palais(Musée national Picasso- Paris)/Mathieu Rabeau/ADAGP, Paris 2019/SuccessionPicasso 2019

『Picasso et la guerre』展
会期:開催中~2019年7月28日
会場:Musée de l’Armée
Hôtel national des Invalides
129, rue de Grenelle
75007 Paris
開)10時〜18時(火 〜21時、土日 〜19時)
無休
料金:12ユーロ

réalisation:MARIKO OMURA

この記事の元URL: https://madamefigaro.jp/paris/190513-picasso-et-la-guerre-01.html