【パリ夏の展覧会 2】ピカソ美術館で巨匠の地中海時代を。

Paris

現在パリのピカソ美術館で開催されているのは『Picasso Obstinément Méditerranéen(断固地中海人のピカソ)』展。ピカソに “地中海時代” があったなんて!!を知る展覧会だ。会場の入口で、南仏の海岸で昼寝する水着のピカソに出迎えられる。撮影したのは当時の恋人で “泣く女” のモデルとして知られるドラ・マールである。ピカソ美術館でこの展覧会が始まった6月5日、奇しくもポンピドゥー・センターで『ドラ・マール』展もスタート。写真家として、また画家としての彼女の仕事を紹介する大規模な展覧会で、これは7月29日に好評のうち終了した。

展覧会の入口。ドラ・マールがムージャンの海岸で撮影したこの写真は、ポンピドゥー・センターが所蔵している。

ピカソはスペインのマラガに生まれ、南仏のムージャンで亡くなった。このように、彼の生涯を語る際に不可避なのが地中海地方との深い関わり。彼が実際に暮らした地中海沿岸地方と夢見た地中海沿岸の土地に焦点をあて、6つのテーマで展覧会は構成されている。ピカソの展覧会は過去にたくさん観たという人にも珍しい作品や珍しい写真の数々が待っている。

1960年代にデヴィッド・ダグラス・ダンカンが撮影したピカソと2人目の妻ジャクリーヌ。その右側に地中海沿岸諸国の地図が描かれている。

テーマのひとつ目は「複数のスペイン」。彼は1881年にマラガに生まれ、1917年に婚約者オルガとバルセロナを訪問し、そして最後に母国に滞在したのは1934年である。ふたつ目は「避暑地」。パリに暮らしていた彼は、1910年代後半から静養と仕事で頻繁に南仏に赴くようになった。1920年代に社交場と化したコート・ダジュールを彼も体験している。

第1室「複数のスペイン」。このテーマでは写真、絵葉書などでピカソが生きたスペインの複数の土地を紹介。コリーダを描いた作品も展示されているが、これらは最後のスペイン滞在から12年後の作品である。

『船のある景色』は1930年8月28日にジュアン・レ・パンで制作された。砂や海藻などを素材に用いている。

パートナーのフランソワーズ・ジローや写真家ルシアン・クレルグなどが撮影した、年代さまざまな海辺のピカソをスライドで展示。リラックスしたお茶目な巨匠の姿が見られる。

3つ目の「アンティーブとヴァロリス、陽に恵まれた日常」ではパリを離れ、フランソワーズ・ジローとともにアンティーブに暮らして絵画制作に励み、ついでヴァロリスに居を移し、4000点近い陶器を……という時代である。4つ目のテーマは「ラ・カリフォルニーのアトリエ」。ヴァロリスを去った彼はカンヌとゴルフ・ジュアンの中間の地に立つヴィラのラ・カリフォルニーに身を落ち着け、制作に励み、友を迎える。5つ目は「南仏の景色」がテーマ。1958年にヴォーグナルグ城を入手し、その後、終の住処となるムージャンの農家に暮らした時代だ。そして6つ目のテーマ「ホライゾン」が展覧会を締めくくる。

第3室「アンティーブとヴァロリス、陽に恵まれた日常」では、1948年から暮らしたヴァロリスで制作した陶器の数々に圧倒される。

ピカソが制作したミニ女性像(1950年)。ロベール・ピコとともに仕立てたセットの中で、この像を撮影したシリーズをスライドで楽しめる。

第4室「ラ・カリフォルニーのアトリエ」では、アメリカの写真家デヴィッド・ダグラス・ダンカンがピカソとジャクリーヌの日常を1年間撮影した写真からの展示。特殊技術によってピカソが動いているように見える。

第5室「南仏の景色」より。ピカソが所蔵したセザンヌの4点から、エスタックの海を描いた作品を展示。

南仏のパルミエを描いた珍しいピカソの風景画。パルミエは栄光の象徴でもある。

ピカソと地中海の関係を物語る展覧会は2017年から世界各地で開催されている。今秋、ベイルートでピカソの作品が初めて紹介される展覧会があり、これでシリーズは終了するそうだ。会場のエントランスの壁を埋めるのはこれら展覧会のポスターで、その数に驚かされる。この「ピカソ/地中海」のプロジェクトの一環として、現代アーティストのジャン=クリストフ・ノーマンが作品を制作。今回それらも展示されている。なおピカソ美術館では8月25日まで『カルダー/ピカソ』展も同時開催中だ。

2017年からのピカソと地中海に関する展覧会のポスターが、地下の会場へと向かう階段の壁を覆う。

ピカソが暮らした街の空、光。ジャン=クリストフ・ノーマンが撮影した140点の写真で構成された作品。

『Picasso Obstinément Méditerranéen』展
会期:開催中~2019年10月6日
会場:Musée Picasso
5, rue de Thorigny
75003 Paris
営)10時30分(学童休暇と週末は9時30分)~18時
休)月
料:14ユーロ
www.museepicassoparis.fr/en

réalisation et photos:MARIKO OMURA

この記事の元URL: https://madamefigaro.jp/paris/190810-musee-picasso.html