【新世代の女性オペラ歌手5人】「子どもの頃から歌が好き」──強さも弱さも併せ持つ表現が魅力、サビーヌ・ドゥヴィエル。

Paris

アールドゥヴィーヴルへの招待 vol.13
モード、カルチャー、ライフスタイルを軸に、豊かに自由に人生を謳歌するパリジェンヌたちの知恵と工夫を伝え続けてきたフィガロジャポン。
アールドゥヴィーヴルの結晶であるフランスの美学を、さまざまな視点からお届け。

卓越した才能を持ちながらも決して傲慢ではない新世代の歌姫たちは、オペラ界に新風をもたらしている。クラシックなレパートリーに情熱を注ぎながら、モダンな感性で舞台を彩り、観客と共鳴し、役柄を超えて感動を生み出す。そんな“リリック世代”と呼ばれる5人のうちのひとり、サビーヌ・ドゥヴィエルに注目。

Sabine Devieilhe/サビーヌ・ドゥヴィエル

強さも弱さも共存させる、信念の人。

――あなたにとってオペラとは?
音楽劇です。音楽がドラマツルギーとストーリーを前面に押し出します。

――なぜ歌うのか?
自己表現のためです。子どもの頃から歌が好きで、童謡は私の表現手段のひとつでした。いまでも舞台でなくてもよく歌を口ずさんでいます。

――生まれて初めて芸術に衝撃を受けた体験は?
7歳の時、フランス北西部カーン市郊外のイフ音楽学校の先生が、ロストロポーヴィチ演奏のドヴォルザーク「チェロ協奏曲」を聴かせてくれました。その夏、私はずっとその曲を聴き続けました。

――あなたはどんな声?
軽やかで、人間の声が持つ強さと弱さが共存しています。コロラトゥーラソプラノとして求められる敏捷
性があります。そして、声は語る時も歌う時も、言葉と同時に何かを伝えるものですが、その意味において前向きな声です。

――あなたのルーティンは?
子どもふたりが生まれてから変わりました。睡眠、良質な食材、充実した社会生活を優先しています。

――いちばん好きなオペラ作品は?
モーツァルトの『魔笛』です。ずっと私とともにあった作品で、おかげで多くの扉が開き、閉められたことはありません。さまざまな解釈が可能です。

2025年12月27日までパリ・オペラ座ガルニエで上演されていた、モーツァルトの『フィガロの結婚』©Franck Ferville ‒ OnP ©Franck Ferville ‒ OnP
『モーツァルト&R.シュトラウス:歌曲集』ワーナークラシックス

Sabine Devieilhe
ソプラノ歌手。フランス生まれ。チェロと音楽学を学んだ後、声楽に転向し、2011 年にパリ高等音楽院を首席で卒業。在学中から舞台に出演して話題に。13 年のデビューアルバム『ラモー:壮大なる愛の劇場』も高い評価を受ける。
@sabinedevieilhe

※4月30日~5月10日、パリのオペラ=コミックにてドニゼッティ『ランメルモールのルチア』に出演した。

*「フィガロジャポン」2026年6月号より抜粋

  • photography: Laura Stevens (Madame Figaro)
  • text: Laetitia Cénac (Madame Figaro)

*「フィガロジャポン」2026年6月号より抜粋