Promotion
DIOR
【黒木華のDIOR探訪 Vol.5】透明なカナージュというTAKT PROJECTのものづくりへの挑戦。
東京・代官山に出現した「ディオール バンブー パビリオン」は、多くの日本のクリエイターが関わりディオールのコードと和の美意識を穏やかに共鳴させている、ディオールのコンセプトストア。
ガラス繊維を編み、焼き、樹脂に封じ込める。吉泉聡が手がけた什器には、光を纏ったカナージュが、時間を止めたように浮かんでいる。

ディオールを象徴するカナージュ柄をかたどったガラス繊維をアクリルの中に封じ込めた椅子、テーブル、そしてサイドテーブル。ディオール バンブー パビリオンの中で一層輝くこの什器を手がけたのが、吉泉聡が率いるデザインスタジオ、TAKT PROJECTだ。

「領域を決めず、デザインを通して何ができるかを大切にしています。ディオールとの対話を続けていく中で、カナージュには長い歴史があり、形を変えながら広がったことがわかりました。その部分が自分たちのやっていることと重なる気がしました」と吉泉。
TAKT PROJECTは、産業用繊維のグラスファイバーをプロダクトへ展開する研究を5~6年続けている。
「カナージュは線が積み重なっていくので、ガラスの中に入れることで、光との関係が重層的になるおもしろさがあるんじゃないかと。制作には、途方もなく手がかかりました。まず、産業用のグラスファイバーをスタッフが手作業でカナージュ柄に編んでいくのですが、テーブルの天板ほどの大きさになると編み上がるまでに1週間以上かかります。次に編み上がったものを耐熱石膏の型に巻きつけ、電気窯に入れて一晩かけて焼く。急に温度を下げるとガラスが割れてしまうので、ゆっくりと冷まさなければいけません」
焼成することによって、しなやかだった繊維は硬いガラスへと変わる。しかし、制作途中で繊細なガラスが割れてしまうこともしばしば。無事に焼き上がったパーツは、次にアクリルを扱う職人のもとへ運ばれる。
「液体のアクリルに入れ、真空に近い状態で気泡を抜きながら硬化させます。ただ、アクリルとガラスでは熱による伸縮の仕方が違うので、割れずに封入できるか、最初は手探りでした」硬化後は成形し、表面を磨く。素材を編み始めてから完成まで、全工程が順調に進んでも約2カ月を要する。

「アクリルは工業的な素材に見えますが、封入する作業は、ほぼ工芸的といっていい手仕事の連続です。日本を意識したわけではないけれど、こうした繊細な技術には、結果的に日本らしさが表れてくる。日本でなければできなかったものづくりだと思います」

自然光が入り、和紙の壁面に囲まれたタイムレス ルームに什器は置かれている。
「光によって見え方が変わる什器です。ガラスっぽく輝く瞬間もあって、いい場所に置いていただきました」と吉泉。俳優の黒木華も「見え方がおもしろくて。透明な網の目に、届きそうで届かない感じに思わず引き込まれてしまう作品ですね」と目を輝かせて言葉を重ねた。
Satoshi Yoshiizumi
山形県出身。東北大学で工学を学び、その後デザインの世界へ。nendo、ヤマハを経て、2013年にTAKT PROJECTを共同設立。異なる領域を学んだ約10人のチームを率い、デザインの可能性を探るリサーチを軸に、領域を横断して活動する。
Haru Kuroki
1990年、大阪府出身。映画『小さいおうち』でベルリン国際映画祭最優秀女優賞を受賞。初の著書となる『はるの献立日記』(飛鳥新社刊)が発売中。出演映画『本当にあった話(の話)』の公開が10月2日に控えている。
「ディオール バンブー パビリオンは自然光が綺麗な場所。この空間で光を受け、さらに空間を照らす作品だと感じます」と語る。
Recommend
- photography: Hiroko Matsubara
- styling: Mana Yamamoto
- hair: Waka Adachi(Eight Peace)
- makeup: Ayana Awata(Ota Office)
- text: Tomoko Kawakami