外出制限のフランス、マチュー・ガニオの過ごし方。

パリとバレエとオペラ座と。

外出制限令が出されたフランス。3月17日以降、パリ・オペラ座バレエ団のダンサーたちは公演もリハーサルもなく、ガルニエ宮でクラスレッスンすらもとれない毎日を送っている。彼らはどんな日々を過ごしているのだろうか?

2月27日から3月8日まで東京文化会館で行われた来日公演『ジゼル』『オネーギン』の舞台で大きな感動を観客に与えたエトワールのマチュー・ガニオに、現在の暮らしについて、日本での思い出とともに少し語ってもらおう。

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『オネーギン』より。photo : Michel Lidvac

来日ツアーについて。

―― 公演について、どのようなよい思い出がありますか?

パートナーと舞台で分かち合えた感動。
新型コロナウイルスにも関わらず会場に集まってくれた大勢の観客の温かさ。

―― 公演以外での日本での思い出は?

『ジゼル』と『オネーギン』の合間のオフ日に訪れた鎌倉。
ツアー中、ともに参加していた妹マリーヌ(※『ジゼル』でペイザンのパ・ド・ドゥに配役)の誕生祝いをしたこと 。

―― 東京での新発見は?

中目黒。
レオノール(・ボラック)が薦めてくれたとてもおいしいお寿司屋さん。

―― 残念に思ったことは?

あちこちの美術館が閉館していたこと。不安に満ちた雰囲気、状況がどう展開するかの予知のしづらさ。

―― 機会があったら、日本の観客を前に踊りたいと思う作品は?

『マノン』全幕を踊れたらうれしいですね。そしてジェローム・ロビンスの『イン・ザ・ナイト』も。

―― そのほかに付け加えたいことがあれば……。

新型コロナウイルスのせいで特別な状況にあり、仕事のリズムは激しかったにも関わらず、ダンサーたちの間ではふざけ合ったり、よい雰囲気がツアー期間中保たれていました。

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鎌倉にて。photos : Courtesy of Mathieu Ganio

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外出制限について。

―― 外出制限期間をどこで過ごしていますか?

パリの自宅。

―― ダンスのレベルを保つために行っていることは ? オンラインでのレッスンに参加していますか?

常にしているエクササイズ、そして実況やYouTubeでバー・レッスンをよく行っています。またメソッドのバリエーションを増やすことができ、気分転換にもなるのでピラティスやヨガを少し。

―― 外出制限以降に始めた新しいことは?

ヨガ、徐々にですが。 新しいことではないけれど、 ガーデニング、整頓に通常よりも時間をかけています。

―― いまの時期のいちばんの関心事、気がかりは?

僕の近親者はもちろん、みんなが健康であること。現況から早く抜け出せること。

―― この状況下での喜びは?

時間や予定に追われて駆け回らずに済むこと。

―― この時期、何が恋しいですか?

外出。自由にあちこち移動すること。
自然。

―― 外出制限期をよりよく過ごすために、自身に課していることは?

身体を動かすこと。

―― 自由に外出できるようになったら、最初にしたいことは?

友達に会う、レストランで食事をする。ただし感染の再来を招かぬよう、用心深くしていようと思います。

―― 怪我という理由ではなく、踊れない日々が続いています。自分にとってダンスが何であるかを考え直す機会となりましたか?

自分にとってダンスが何かについて考える機会は、過去、怪我で休んでいる時期にすでに十分にありました。

―― そのほか、付け加えたいことがあれば……。

家族や友達の近況を知るように努めています。この恐ろしい状況から、ポジティブで建設的な何かが生まれることを願っています。

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鎌倉にて。photos : Courtesy of Mathieu Ganio

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大村真理子 Mariko Omura
madameFIGARO.jpコントリビューティング・エディター
東京の出版社で女性誌の編集に携わった後、1990年に渡仏。フリーエディターとして活動した後、「フィガロジャポン」パリ支局長を務める。主な著書は『とっておきパリ左岸ガイド』(玉村豊男氏と共著/中央公論社刊)、『パリ・オペラ座バレエ物語』(CCCメディアハウス刊)。

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