マレ地区で、仲良しの家感覚で泊まるホテル・ソーキー。
PARIS DECO
6月にオープンしたオテル・ソーキー。客室は4タイプ、150ユーロ〜。photo:Nicolas Anetson
ファッション関係者ならショーや展示会が開催される会場がある通りなので、マレのコミンヌ通りと聞いたら、すぐに場所が思い浮かぶだろう。周辺にはアートギャラリー、ファッションブティック、カフェやレストランが多数見つかる。6月、その通りの2番地bisに4つ星の「Hôtel Sookie(オテル・ソーキー)」がオープンした。31室のこぢんまりとしたホテル。1階には一日中営業し、ホテル宿泊客以外も利用できるコーヒーショップがある。朝食は7時から12時と時間帯は長く、また21時まで、シャルキュトリー(これはMaison Montaletから)やタパス、カクテルなどで小腹を満たせる。ケーキやケークサレなどはホームメイドだそうだ。ホテルのルームサービスもこのカフェが担当だ。
ホテル1階のカフェは、朝から21時まで営業。宿泊客以外にも開かれている。12時までの朝食メニューにはアボカドトーストなどもあるので早めの軽いランチにも使えそうだ。photos:Nicolas Anetson
ホテルのフロントの後方、南仏気分が感じられるオブジェなどで飾られた50年代調の棚。photo:Nicolas Anetson
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なんだか不思議な響きのこのホテルの名前は、1970年のブルーノートのジャズのヒット曲“Sookie, Sookies”から。以前にもホテルがあったこの建物は1800年代は修道院だったそうで、今回ソーキー開業にあたり3年がかりの大規模な工事が行われた。ここは以前紹介した8区のホテル・プレイと同様、若いオーナーが率いるグループMADEHOのホテルで、オテル・ソーキーの内装はドロテ・ドゥレイユにほぼ白紙依頼された。彼女は以前、ダフネ・デジュウと組んでDesjeux Delayeというデュオとして、リシュリュー通りのルーヴル・ピエモンほか、パリ市内で複数のホテルを手がけている。今回から単独で活動というドロテによる内装は、得意とするコンテンポラリーとレトロの組み合わせ。木、大理石、サイザル麻といった自然素材を多用し、サフランやテラコッタ、アーモンドといった温かみを感じさせる落ち着いた色でまとめられ、客室には穏やかさが漂う。家具は彼女によるデザインとヴィンテージからのピックアップのミックスだ。エレガントだけどフレンドリーな雰囲気。マレ的アール・ドゥ・ヴィーヴルを旅人も満喫できそう。
ドロテ・ドゥレイユはベッドのヘッドボード、陶製のランプ、ナイトテーブルなど家具もデザインした。カフェのテーブルと同じように、ヘッドボードの木のフレームにも装飾がほどこされている。photos:Nicolas Anetson
エムリーヌ・ピックスに託された、ホテル内のヴィンテージ家具やオブジェの掘り出し。これらの品が自宅的雰囲気を室内に作り上げている。photos:Nicolas Anetson
左:オーガニックな素材が客室にあふれる。ドロテがデザインした収納の扉にはサイザル麻を使用。 右:鏡は籐のフレーム。アメニティはヴィーガンブランドのTerre de Marsだ。photos:Nicolas Anetson
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客室のコージーな雰囲気は、1階の奥に広がるヴァロリスの陶器なども飾られたサロンでも感じられる。ここはゲストが寛ぐスペース。ターンテーブルが置かれ、90点近く揃えられた昔のレコードからゲストは自由に音楽を楽しめる。まるで、友達の家に遊びに来たような感じで、雰囲気のよい空間。希望すれば、ここでも朝食がとれるそうだ。インスタグラムで“マレのホテル”で検索したという若い旅人たちで開業と同時に賑わい始めたホテル、ぜひ覚えておこう。
暖炉のあるスペース。この右手にレコードのジャケットを並べたミュージックサロンが広がる。photo:Nicolas Anetson
コンテンポラリーとレトロが見事にマッチしたサロン。photos:Nicolas Anetson
エントランスホールから後方のサロンへの通路。デコレーターのドロテ・ドゥレイユ(右)は女性画家にホテルのために4点の絵画をオーダーした。photos:sNicolas Anetson
editing:Mariko Omura