パリで、東京で、CHICO SHIGETAに聞く「豊かな働き方」。

ホリスティックな美を追求し、パリでSHIGETA PARIS（シゲタ パリ）を立ち上げ、植物の力を生かしたオーガニックコスメとともにセルフマッサージや食事法、呼吸法などのケアメソッドを提唱してきたCHICO SHIGETA。2018年からのタイでの暮らしを経て、今年再びパリを拠点に選び、新たな活動をスタートした。時代が変化しても、環境が変わっても、次々とアイデアを形にしていくバイタリティあふれるCHICOさん。キャリアの限界を感じさせない彼女の原動力とは？

CHICO SHIGETA
SHIGETA PARIS主宰、ホリスティックビューティーコンサルタント。
美しい肌と身体を育むためには心身のバランスこそが不可欠と考え、長年フランスおよび日本にてビューティーメソッドを探求。その経験と実績をもとにバイタリティー・コーチングを考案。現在は、パリのセレブリティやアーティストのためのパーソナルコーチとして活動するほか、大手化粧品会社や美容機器会社のコンサルティングおよびブランドスポークスマンとしても活躍中。

― CHICOさんと家族の暮らしは連載「オーガニックな子育て」でも綴られてきましたが、今回パリに戻ることを選んだ理由は？

「コロナ後、人々の環境意識が変化したことが大きくて。特にフランスでは、若い人が立ち上げたスタートアップ企業のビジネスが必ず環境への還元に繋がっていたり、生活に身近なところでは使い捨てプラ容器が禁止され、生ゴミの分別回収が始まったりもしました。これから先、日本もフランスのような意識がスタンダードになっていくはずですが、シゲタが時代をリードするものづくりをしていく時に、フランス以外に住んでいていいのかな？現場にいないと見えない景色があるのでは？と思ったことが、パリに戻るきっかけになりました。子どもたちの年齢的にもちょうどいいタイミングで。シゲタのパリのショールームも昨年リノベーションを終えたばかり。私はここでフェイシャルトリートメントを再開し、これからプロのセラピスト向け講習もスタートします」

― CHICOさんが教えるセラピストへのレッスン、とても気になります。どんな内容になるのですか？

「オンラインとオフラインの2種類を予定しています。オンラインで伝えるのは、技術そのものより、どんな手法でも10倍くらい効果が変わる方法。それはセラピストのマインドセットであったり、トリートメントを始める前の準備への心がけであったり、セラピスト自身のセルフケアや、コミュニケーションの考え方であったり......。技術に厚みを出すための独自のノウハウです。オフラインのほうは、その心構えを踏まえたフェイシャルトリートメントの技術そのものを伝えます」

― メソッドが受け継がれていくんですね。

「はい。私は施術がいちばん好きで、自分自身も満たされる時間なんです。お客様を迎える準備の段階からワクワクが止まらない（笑）。その大好きな仕事をしながら、自分のいちばんの強みを皆の豊かさに繋げ、喜びを共有できたら......と。セラピスト同士のコミュニティづくりにもなるし、技術が上がればお客様の満足度も上がり、施術の単価も上げられる。そうすればセラピーで頑張っている人の生活も良くなる。循環させていくことができますよね」

リノベーションしたパリのショールームは、シックで寛ぐ空間。

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ラ メゾン シゲタの新しい形。

― 東京での活動も大きく変わるそうですね。

「はい。実店舗のラ メゾン シゲタをクローズして、新しい形で"シゲタの考えるウェルネス"を届けていきます。というのも1年間店舗を運営してみて、来店された方とは直接コミュニケーションができても、遠方に住んでいる方のリクエストにはこたえられないという課題が見えてきました。私たちがもっと情報を届けたいのは、ケアを必要としているけれど、忙しくて仕事と家庭以外の時間を取るのが本当に難しい人たち。そういう方々に向け、ラ メゾン シゲタはオンラインに形を変え、9月末に再スタート予定です」

― ライフスタイルに合わせてラ メゾン シゲタのサービスを体験できるようになるのですね。コンテンツはどのような内容ですか？

「みなさんがどんなものを喜んでくれるかを探っているところですが、店舗で人気があったブリージング（呼吸法）のレッスンは、今後も続けられるよう動画として配信します。そのほかにもカフェで提供していたメニューのレシピ公開、シゲタ製品に限らずおすすめのツールの紹介、季節に合わせた心と身体のケアを提案していきます。新たなサービスとしては、専属コーチによるパーソナルカウンセリングも実施予定です」

― ひとりで頑張るのではなく、伴走してもらえるのは心強いです。

「ラ メゾン シゲタに参加した人同士のコミュニティが発展していくことも期待しています。それって、私たちから一方的に伝える以上の効果がありますよね。コーチングに関しては企業向けサービスとしても展開していきます。シゲタ パリの専属インストラクターが定期的にオフィスに出向き、業務や日常生活でのさまざまなお悩みに沿ってケア方法をお伝えするという内容なので、福利厚生的にも活用してもらえたら」

シゲタのエッセンシャルオイルは、ブランド創立時にCHICOさん自らがブレンドしたマスターピース。100%ピュア＆ナチュラルな植物のエッセンスが、心身のバランスを整える手助けをしてくれる。

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CHICOさんに学ぶ"豊かな働き方"。

― フィガロではアール・ドゥ・ヴィーヴル（暮らしの美学）を大切に考えていて、この要素を働き方にも取り入れる提案をしているのがBusiness with Attitudeのプロジェクト。CHICOさんはそのロールモデルのような存在ですが、仕事をするうえで迷いや悩みが生じた時は、どうしてきましたか？

「その時の自分のプライオリティを考えて、何が本当に大切かを見極めるようにしています。私の場合は、自分を鼓舞するような仕事をしていたいから、それが選択の基準。プライオリティは人生のフェーズによって変わるし、モヤモヤや違和感を感じた時はチャンスだと思います」

―やりたいことを形にするために、アドバイスがあればお願いします。

「タイムラインを作ることをおすすめします。たとえば6カ月の期限を設けて、その間に自分は何ができるか？と考える。漠然とした思いを日付に落とし込んで整理することで、次にやることが見えてくるはずです。だけど自分で何かを始めようとしている人は、高い志のまま24時間働き続けてしまう傾向にあるので、ウェルネス面とどう折り合いをつけるか。そんな時にシゲタを頼ってほしいですね」

現在は6月のセラピスト向け講座のスタートに向け、パリで準備を進めているCHICOさん。