ルーヴル美術館のピラミッドの下、オペラ座エトワールたちの身体が空間に舞った。
オペラ・バスティーユで踊られている『ロミオとジュリエット』。4月17日の公演の次は4月24日と1週間近く間が空いている。オペラ・ガルニエで進行中の『椿姫』のリハーサルにも休日があり、この間、束の間の休暇とばかり海外に遊びに出かけるダンサーもいれば、海外のダンスのガラに参加するダンサーも。
この期間中、4月18日と19日にルーヴル美術館のピラミッドの下のホールで『ミケランジェロとロダン ― 生きた身体』展の開催に合わせて、珍しいダンスの公演が4回行われた。『Des Etoiles sous la Pyramide(ピラミッドの下のエトワール)』と題され、身体の動きが生み出す表現の強さ、動きが身体にもたらす美しさ、ダンスと彫刻が交わす親密な会話を讃えようというものだ。

予定されていたダンサー8名中、あいにくなことにギヨーム・ディオップ(エトワール)とアントワーヌ・キルシェール(プルミエ・ダンスール)が降板し、6名での公演に。プログラムの始まりはレオノール・ボラックとユーゴ・マルシャンによる『トロワ・グノシエンヌ』(ハンス・ヴァン・マーネン振付)、ついでシルヴィア・サンマルタンがマルク・モローと『ラプソディ』(フレデリック・アシュトン振付)を踊り、降板したギヨームに代わってユーゴがドロテ・ジルベールと『ル・パルク』(アンジュラン・プレルジョカージュ振付)、そして締めくくりは展覧会との対話としてパリ・オペラ座のダンサー、イヴォン・ドゥモル(コリフェ)がクリエイトした新作『Supercorps』。これは創作したイヴォン自らが降板したアントワーヌに代わって、カン・ホヤンをパートナーに披露した。特別な空間をステージに、しかも4作品ともパリ・オペラ座のオーケストラからの音楽家たちによる生演奏で踊られる、というとても贅沢な催しだった。



ホールの中央にリノリウム・カーペットを敷き、その3方を観客が囲むというスタイルで前2列は床に置かれたクッションという低い位置からの鑑賞。ダンサーたちの鍛え上げられた身体、ふたつの身体の密な絡み合い、空にそびえる三角のピラミッドの天井の下で、高々とリフトされたダンサーの身体とそれを支えるダンサーの身体の緊張などを劇場とは異なる視点で観客が観察できる機会となった。なお演目がパ・ド・ドゥで構成されていたのは、ミケランジェロとロダンの対話という展覧会に由来している。


約45分の公演の後、来場者たちは『ミケランジェロとロダン』展の鑑賞へと。4世紀隔たりのある2名の巨匠が対話し、ふたりの違い、共通点などが語られ、そして彼らが後世の芸術家たちに及ぼす影響にも着目させる企画だ。展示されている彫刻は大理石をはじめ、素材もいろいろ。点数についてはミケランジェロより圧倒的にロダンが多く、ヨーゼフ・ボイスやジュゼッペ・ペノーネといったアーティストの作品も。また彫刻の創作工程にもスペースが割かれ、見どころの多い展覧会である。



また、この展覧会との対話として美術館のオーディトリアムでは4月24日から6月16日までの間、「身体からスクリーンへ」と題してジャック・リヴェット監督『美しき諍い女』、クレール・ドゥニ監督『美しい仕事』、ピエル・パオロ・パゾリーニ監督『王女メディア』、ライナー・ヴェルナー・ファスビンダー監督『マリア・ブラウンの結婚』など映画を上映。さらに6月5日には、『ロダンとミケランジェロ、彫刻の歌』の上映があり、その前にはロダン美術館とルーヴル美術館それぞれの展覧会関係者によるトークも行われる。
Michelangelo and Rodin Living bodies
会期:開催中〜2026年6月20日
ルーヴル美術館
Rue de Rivoli, 75001 Paris
https://www.louvre.fr/en/exhibitions-and-events/exhibitions/michelangelo-and-rodin