【新世代の女性オペラ歌手5人】「舞台が好き!」──低音から高音まで自在に響かせる、エヴ=モード・ユボー。

Paris

アールドゥヴィーヴルへの招待 vol.13
モード、カルチャー、ライフスタイルを軸に、豊かに自由に人生を謳歌するパリジェンヌたちの知恵と工夫を伝え続けてきたフィガロジャポン。
アールドゥヴィーヴルの結晶であるフランスの美学を、さまざまな視点からお届け。

卓越した才能を持ちながらも決して傲慢ではない新世代の歌姫たちは、オペラ界に新風をもたらしている。クラシックなレパートリーに情熱を注ぎながら、モダンな感性で舞台を彩り、観客と共鳴し、役柄を超えて感動を生み出す。そんな“リリック世代”と呼ばれる5人のうちのひとり、エヴ=モード・ユボーに注目。

Éve-Maud Hubeaux/エヴ=モード・ユボー 

低音から高音まで響く、異彩の主。

――あなたにとってオペラとは?
神聖でも神秘的でもない、単なる娯楽音楽です。オペラという言葉に身構えてしまうと、観客が離れてしまいますから。

――なぜ歌うのか?
舞台が好きだからです! 道化師とかお笑い芸人でもよかったのかもしれません。生の舞台が大好きなのです。

――生まれて初めて芸術に衝撃を受けた体験は?
オーストリアのウィーンでデビューしたことです。ヴェルディの『ドン・カルロ』でした。ウィーン国立歌劇場はほかの歌劇場とはまったく違います。観客は「通」なんて言葉で片付けられないほどハイレベルで、大きなメディアの反響がありました。

――あなたはどんな声?
メゾソプラノです。女性の中心的な音域で、最も感情を表現する声でしょう。ドラマティックな低音域から、キラキラと輝く高音域まで出ます。

――あなたのルーティンは?
リハーサルや公演期間中は“カルメル会修道女”のごとくです。楽器である自分の身体を大切にします。つまりよく眠り、毎日運動し、食生活を管理します。特に胃酸が逆流するようなことは避けます。

――いちばん好きなオペラ作品は?
聴くならヘンデルの『ジュリアス・シーザー』。歌うならヴェルディの『アイーダ』と『ドン・カルロ』です。

2025年11月30日までパリのオペラ座バスティーユで上演されていたワーグナーの『ワルキューレ』©Herwig Prammer ‒ OnP

Éve-Maud Hubeaux
メゾソプラノ歌手。スイス・ジュネーブ生まれ。ローザンヌ音楽院でピアノを学んだ後、声楽を学び、ラン国立歌劇場のオペラスタジオでキャリアを築く。2022年ザルツブルク音楽祭の『アイーダ』でアムネリス役を務め、注目される。
https://evemaudhubeaux.com/

※ドイツ・ドレスデンのザクセン州立歌劇場にて、5月1日~6月1日はビゼーの『カルメン』、6 月11 日~28 日はヴェルディの『アイーダ』に出演した。

  • photography: Laura Stevens (Madame Figaro)
  • text: Laetitia Cénac (Madame Figaro)

*「フィガロジャポン」2026年6月号より抜粋