【2027年春夏コレクション】ヘルノが2027年春夏コレクションで示す「選択」の本質。

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ヘルノが、2027年春夏ウィメンズコレクションを発表。会場に広がったのは、ブランドのものづくりをマーケットに見立てたプレゼンテーション。ただし、マーケットはあくまでも演出の舞台であって、コレクションそのもののテーマではない。ヘルノが大切にしてきた、素材を見極める力、観察すること、経験や知識を最優先する姿勢——それらに重なるメタファーとして、マーケットという場が選ばれた。

マーケットとは、単に「選ぶ」のではなく「見分ける」ことを教えてくれる場所。観察し、比較し、見極める。そこには経験と教養、そして判断力が求められる。今シーズン、ヘルノは欲望よりも審美眼を、即断よりも選択への深い考察を優先し、私たちに物事の本質を問いかけた。

「私たちは、セットデザインを考える前に、ある手法を伝えることに重点を置いていた」と、ヘルノ プレジデントのクラウディオ・マレンツィ。素材を選び、技術を磨き、プロポーションを定義する——その積み重ねの基準こそが、ヘルノにとっての「選別」だ。何もかもが即座に手に入る時代だからこそ、何が絶対的に優れているかではなく、何が本当に価値あるものかを見極める力に、あらためて意味が生まれている。

コレクションは、軽さ、エレガンス、機能性を融合させたワードローブで、女性らしさの多様な表現を受け入れるようにデザインされた。「Origin(オリジン)」、「Excellence(エクセレンス)」、「Advanced(アドバンスト)」という3つの世界で構成。

「Origin」はヘルノの原点を体現する軽量レインコートが象徴だ。1980年代のシルエットとカラーパレットを、光沢と鮮やかな色彩で再解釈し、ボンバージャケットにもミリタリークラシックをポップに読み替えた表情を与える。

「Excellence」は、上質なピーチ加工の生地やレザーディテールが際立つミニマルなシルエットが軸となり、透かし編みの「アジュール」を取り入れたリネンのドレスなど、伝統的な職人技への探求が息づく。

そして「Advanced」では、モダニズム建築を思わせる厳格なフォルムと、流れるような生地が対話を交わす。白、クリーム、黒という限定的なカラーパレットが、ダブルコットンコートやクリンクル生地のレインコートのボリュームと仕立てに視線を集めた。

見極めるとは、選ぶ以前に、見つめ、理解する行為である。目に映るものだけでなく、心の目で本質を見抜く——そんな”心眼美”とも呼べる感性が、マーケットという舞台を通して、コレクションそのものの奥行きを静かに物語っていた。

  • photography: Herno text: Akiko Mizuguchi