Paris City Guide - Eat Restaurant

パリ近郊「ラ・メゾン・フルネーズ」で味わう、ルノワールの名作『舟遊びの人々の昼食』の食事。

2026.04.24

7月19日までオルセー美術館で開催されている『Renoir et l’amour(ルノワールと愛)』展。その話題のひとつは、現在ワシントンのフィリップス・コレクションが所蔵する『le Déjeuner des Canotiers(舟遊びの人々の昼食』(1880~81年)がパリで久しぶりに公開されていることだ。

オーギュスト・ルノワール作『舟遊びの人々の昼食』は130.2×175.6cm と大きな作品である。人々の表情、食卓の賑わい、水辺の雰囲気……じっくり鑑賞したい魅力的な作品だ。Auguste Renoir(1841〜1919).『Le  Déjeuner des Canotiers』(1880〜1881)。photography: Courtesy of The Phillips Collection, Washington D.C.

この作品をルノワールが描いたのはパリ郊外のシャトゥ、印象派の島と呼ばれるセーヌ川の中洲に建つレストランLa Maison Fournaise(ラ・メゾン・フルネーズ)においてだ。1857年にパリ-シャトゥ間を結ぶ列車が開通し、週末にブルジョワのパリっ子たちがやってくる憩いの地となったシャトゥ。船大工でボートのレンタル業も営んでいたアルフォンス・フルネーズが船着場を設け、ホテル・レストランを開いた。1877年に大改装が行われ、ルノワールの絵に見られるようにストライプのテントに覆われたテラスが設けられた。シスレー、ギュスターヴ・カイユボット、エドガー・ドガ、モネ……印象派の画家たちが集まり作品を制作。ルノワールも10点近くをここで描いている。現在は歴史的記念建造物に指定されている名所ではあるが、20世紀初頭には存続が危ぶまれたそうだ。

セーヌ河に面して建つラ・メゾン・フルネーズ。アクセスはパリ市内からSaint-Germain-en-Laye行きの高速地下鉄RER Aに乗り、Chatou-Croissy駅で下車。Charles de Gaulle Etoile駅からなら、35分で着く6つ目の駅だ。駅から徒歩で約13分。
ルノワールの絵画のように、テラスの庇は赤×白のストライプ。

『舟遊びの人たちの昼食』ではルノワールの大勢の知り合いがモデルを務めていて、カンカン帽を被って立つオーナーの息子の姿も左端に見ることができる。オルセー美術館ではこの作品をモデルリスト、構図、当時の批評などと共に展示。あいにくと、昼食の光景として赤ワインやぶどうなどが食卓に描かれているもののメニューには触れられていない。でも、展覧会期間中にラ・メゾン・フルネーズに行けば、シェフがこの作品の食卓にインスパイアされて用意した、セーヌ河の恵みが活かされたメニューの食事ができる。食事と水辺の散歩を求め、パリから足を伸ばしてみよう。シェフは2014年からフォーシーズンズホテル・ジョルジュ・サンクの星付きレストラン『ル・サンク』のシェフを務めているクリスチャン・ル・スケール。『舟遊びの人々の昼食』メニューは“絵画の感覚的体験”と銘打たれ、前菜+メイン+デザートで39ユーロだ。

セットメニューは39ユーロ。前菜は小魚のフライ(写真)か舟遊びプレート(セロリ・レムラード、ニシンのスモーク、マルチカラービーツ、ラディッシュ、ジャンボン・ド・パリのシフォナード)、メインはザリガニソースのクネルのグラタンか野菜のポトフ添え鶏肉、デザートはワイン煮込み洋ナシとヴァニラアイスクリームからアマレット漬けチェリーを添えたフロマージュ・ブラン。
セットメニューだけでなく、アラカルトでもフレンチ・クラシックの食事が取れる。
19世紀のガンゲットの気分を味わえるラ・メゾン・フルネーズ。
特別ランチ・メニューの終了後でも、印象派たちが愛した場所での食事は旅の良い思い出になる。
INFORMATION
Maison Fournaise|メゾン・フルネーズ

住所:

3, rue du Bac, Ile des Impressionnistes 78400 Chatou

 営:

12:00~15:00、19:00~22:00(火~土)、12:00~16:00(日)

 休:

大村 真理子

madameFIGARO.jpコントリビューティング・エディター

東京の出版社で女性誌の編集に携わった後、1990年に渡仏。2006年から「フィガロジャポン」パリ支局長を務めた後、フリーエディター活動を再開。主な著書は『とっておきパリ左岸ガイド』(玉村豊男氏と共著/中央公論社刊)、『パリ・オペラ座バレエ物語』(CCCメディアハウス刊)。