写真家・三部正博が、パピエラボとの作品展を開催。

Culture 2022.05.17

写真家・三部正博と、「紙と紙にまつわること」をテーマに店、デザイン、印刷のディレクションなどを行うパピエラボによる展示『PRINT MATTERS(プリント マターズ)』が5月17日より、高田馬場の「BaBaBa(バババ)」にて開催される。

220516_BaBaBa-Exhibiton02.jpgphotography : Masahiro Sambe

三部とパピエラボが数年にわたって共に取り組んでいるのが、三部が近年撮りためているランドスケープの写真を素材として、パピエラボの江藤公昭がデザインと印刷ディレクションを行い、製作するプロジェクト。本展では、毎年ニューイヤーカードとして継続しているこの共作を発展させて、活版印刷、リソグラフ印刷、シルクスクリーン印刷による印刷物10点と、印刷物の素材となった写真を含むクロモジェニックプリント10点の展示販売を行う。

日本国内で撮影されるランドスケープの連作を通して三部が捉えようとするのは、ありきたりな風景に潜む人間と自然の曖昧な境界の生々しさや、自然の中に垣間見る人為の跡や去った人間たちの残像や気配……。本展で発表する印刷物は、三部の写真に写るわずかな違和感を手がかりに、両者の視点で連作をすべて見通し、像として写っているものと写っていないものの均衡を見極めながら、各印刷技術の特徴を踏まえて適した写真を厳選して製作。写真家としての立場から三部は、第三者であるパピエラボが自身の写真を印刷物に転換する過程で、単色での表現や紙の選択など、撮影者である自分が意図しない要素が加わることで、現像処理によって印画(PRINT)として可視化される写真とは異なるあり方が可能になることに興味があると言う。

両者がこのプロジェクトで目的とするのは、印刷のプロセスを経ることによって写真の見え方や在り様が変わる可能性、また写真を素材にすることで印刷技術の潜在力を引き出せる可能性について、お互いの立場から考察すること。被写体の忠実な再現ではなく、写真の諸要素を削ぎ落とし、被写体を表すのに不可欠な輪郭や色彩、質感、陰影のみを残してなお見える像を浮かび上がらせる印刷物の面白みを追求している。そうしたアプローチによって同時に、写真の中で像にはならずに漂っている気配を示せると考えているのだ。内向的な欲求で撮影された写真が「印刷」という手段によって解放され、紙という形態になることで展開が広がる可能性も、写真と印刷物の往来がもたらす産物だと期待している。

220517_tuika1.jpgphotography : Misa Sakuma

220517_tuika2.jpgphotography : Misa Sakuma

『PRINT MATTERS  MASAHIRO SAMBE & PAPIER LABO.』

会期:2022年5/17(火)〜5/31(火)
会場:BaBaBa
東京都新宿区下落合2-5-15 1F
tel : 03-6363-6803
開)12:00〜19:00
休)5/23(月)

text: Natsuko Kadokura

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