【篠原ともえ連載Vol.33】500パーツのキルティング。立体ポスターをつくる。
石川県・国立工芸館で開催中の「ルネ・ラリック展 -ガレ、ドームから続く華麗なるフランスの装飾美術-」。華やかなフランスの装飾美術を楽しむことのできるこの展覧会。アンバサダーとしての参加にあたり、新作を発表させていただきました。

ラリックが1927年に発表した《花瓶 オラン》から着想を得た立体ポスター。光そのものを素材の中に閉じ込めたようなラリックの表現を、私自身も創作で届けたいと想いを込めて。

グラフィックでも新しい表現をしたいと考え、作品に光を背面から当てる透過撮影をフォトグラファーの堀内麻千子さんとともに挑みました。

およそ500を超えるパーツを仕上げ、とても根気がいる手作業でした。ラリックが大切にした”光”を意識したこの作品。現場でも微調整し最後まで制作と向き合いました。

前回のコラム「『ルネ・ラリック展』光を宿すガラスの花のドレスをつくる。」でもご紹介しましたが、花弁の部分に厚みを持たせたガラスの立体感を布で表現したいと考え、ブティという南フランスの伝統的なキルト技法を大胆にアレンジして取り入れています。

手作業で起伏を生み出し、生地に光を透過させると表面に光と影の陰影が浮かび上がり幻想的な世界が広がるのです。このキルト技法の集大成として「ルネ・ラリックへのオマージュ」4部作を完成させました。

花弁には柔らかな綿、葉の部分にはキルト用の芯、枝には毛糸など、模様に合わせひとつひとつ手作業で生地の裏から道具を用いて厚みを表現しています。私の公式インスタグラムでも制作動画を公開しております。

風合いのある美しい生地は、石川県で織られたもの。オリジナルロゴはデジタル刺繍で仕上げました。ラリックの世界観と共にぜひ間近で本作品をお楽しみいただけたらうれしいです。

『ルネ・ラリック展 -ガレ、ドームから続く華麗なるフランスの装飾美術-』
開催中~6/14
国立工芸館(石川県金沢市出羽町3-2)
開)9:30~17:30(最終入館17:00)
休)月、5/7 ※3/30、4/6、4/27、5/4は開館
料)一般¥1,200ほか
https://www.momat.go.jp/craft-museum/exhibitions/568