ブラジル、イギリス、アメリカから。いまこそ注目したい、ワールドミュージック3選!

Culture

サッカー ワールドカップ2026で世界中が盛り上がりをみせる中、強豪国であるブラジルやイギリス出身のアーティストが奏でる音楽にもいま注目したい。


メロウでダンサブルなブラジリアンビート。

『マリア』
モイゼス・ドス・サントス

Unimusic ¥2,970

ストリートの空気感を伝えるサンバから、ビーチでチルアウトしているかのようなメロウなチューンまで。ジャズとダンスミュージックを横断する心地いいサウンドを生み出したのは、ブラジル出身でロンドンを拠点に活動するエレクトリックベーシストだ。多数のサポートで活躍する一方、本作では母国ブラジルへのリスペクトを色濃く反映した内容へと昇華。トランペット奏者テオ・クローカーや、ブラジルの巨匠アルトゥール・ヴェロカイらを迎え、国際的な視点からも評価できる作品に仕上がっている。遊感の秘密。

地質学に基づいた、静かで美しい没入音楽。

『リシック』
ローラ・ミッシュ

ビッグ・ナッシング¥3,630

夢なのか現実なのか、その狭間を行き来するように響く音楽。そんな印象を受けるのは、トム・ミッシュの姉としても知られる、ロンドンを拠点に活動するマルチアーティストによるセカンドアルバムだ。浮遊感をたたえたエレクトロニクスを基調にして、サックスやパーカッションを重ね、神秘的な歌声を聞かせる。洞窟や採石場でのフィールドレコーディングを取り入れている点も特徴で、「石」を意味するタイトルが示すように、大地と呼応するようなイメージのもと、繊細で精緻な世界観が構築されている。

サックスから歌へ、魂の深部を掘り起こす。

『アイズ・フル』
ゾー・アンバ

ビート¥3,080

USインディーの奥深さを知るには、最適の一枚かもしれない。フリージャズなどアヴァンギャルドシーンで活躍するサックス奏者が、一転してギターを弾きながら歌うという、オーバーダブなしの一発録音によるアルバムである。しかも、アパラチアンフォークやブルースといったアーシーな感覚で内面的な世界を歌っ
ていく。ただ、ハードでノイジーなエレクトリックギターが挿入されるなど、オルタナティヴロックの様相もあり、そこから立ち上る荒々しくエモーショナルなボーカルが強烈な印象を残す。

  • text: Hitoshi Kurimoto

*「フィガロジャポン」2026年8月号より抜粋