アリアナ・グランデは不調? 新ミュージックビデオ公開後、物議を醸す。

Culture

7月31日(金)に公開されたアメリカ人歌手アリアナ・グランデのミュージックビデオは、SNS上でコメントが殺到するなど大きな反響を呼んだ。作品の芸術性以上に、30代の彼女の体形が、いまやあらゆる議論の中心となっている。

photography: Aflo

7月31日に公開されたアリアナ・グランデのミュージックビデオ「Petal」は、本来は8枚目のアルバムのリリースに合わせて発表された作品だった。しかし、公開されるやいなや、話題は音楽からまったく別の方向へと移った。それは、彼女の容姿だった。実際、公開からわずか数時間のうちに、Xやインスタグラム、TikTokでは、多くのユーザーがアリアナ・グランデのかなり痩せた体形に注目し、そのことを巡る投稿が相次いだ。

「彼女は調子が良くない」と、あるユーザーは投稿した。別のユーザーは「ここまで痩せているのは普通ではない」と書き込み、「彼女には助けが必要だ」という声も上がっている。中には、2020年にがんで亡くなる前に著しく体重が減少していた『ブラックパンサー』でティ・チャラを演じたチャドウィック・ボーズマンや、依存症の影響で体重が何度も大きく増減していたマシュー・ペリーと比較する人までいる。こうした比較がアリアナ・グランデの健康状態をめぐるさまざまな憶測を呼んでいるが、それらを裏付ける事実は何ひとつ確認されていない。

批判の一方で、擁護の声も広がる

こうした反応に対し、一方では、これは新たなボディシェイミングだと非難し、アリアナ・グランデの体をいつまでも議論の対象にし続ける世間の姿勢を批判するユーザーも少なくない。「アリアナ・グランデの体をめぐる論争には、もううんざり。あなたたちは、自分には関係のないことまで好き勝手に言っている。彼女のことは放っておいてあげて」と、あるユーザーは投稿している。

一方で、この問題を有名女性全体に向けられる扱いへと広げる声もある。「セレーナ・ゴメスでなければアリアナ、アリアナでなければまた別の女性……。いつだって女性の体ばかり批判している」と、あるユーザーは嘆いた。また、多くのユーザーは、アリアナ・グランデが過去にも、自身の容姿について公の場であれこれ論じるのをやめてほしいと訴えていたことを改めて指摘している。「ここまでの事態になってしまったことが悲しい。たとえ有名人であっても、体形を理由に誰かを執拗に攻撃するのはあまりに酷い。彼女が自分を守ろうとするのは当然のこと。何よりも大切なのは彼女の心の健康。」このコメントは、多くの共感を集めながら広くシェアされている。

周囲の関係者の対応にも疑問の声

こうした賛否とは別に、アリアナ・グランデを取り巻くプロフェッショナルな関係者の責任や対応に疑問を投げかけるユーザーもいる。「彼女の様子に驚いた私たちを非難する一方で、明らかに日に日に体調が悪そうに見えるポップスターをレコード会社が宣伝し続けていることには目を向けない。そのこと自体が多くを物語っている」と、あるユーザーは投稿した。また、音楽業界そのものが、アーティストの健康よりもイメージや利益を優先していると批判する声も上がっている。「彼女は明らかに体調が良くない。それでも、彼女のレコード会社にとって何より大事なのはお金。」こうした投稿もSNS上で見られている。

イギリス人女優のジャミーラ・ジャミルも、インスタグラムでこの件について発言した。「彼女は、私たちの目の前で死につつあるのかもしれない」と彼女は書き込み、そのうえで、若い世代の目に触れる形で彼女の体形を強調するようなイメージを認めたチームの判断を「完全に無責任だ」と批判した。しかし一方で、ジャミーラは自身の発言に一定の留保も加え、誰かの体についてコメントすること自体が、その人のメンタルヘルスに影響を及ぼす可能性もあると指摘している。

「Petal」の公開以降、このミュージックビデオをめぐる議論は、音楽作品としての側面を大きく超えて広がっている。そこから改めて浮き彫りになったのは、一部の女性アーティストにとって、自身の作品と外見への批評を切り離して受け止めてもらうことの難しさである。

突然の発表

こうした世間の反応は、決して影響がないとは言えないのかもしれない。8月2日、公演プロデューサーを通じて、アリアナ・グランデが、2027年にロンドンで上演予定だったミュージカル『Sunday in the Park with George』への出演を最終的に見送ることが明らかになった。この作品は、彼女にとって初めてウエストエンドの舞台に立つ機会となるはずだった。その一方で、歌手の代理人は、アリアナが「健康な状態」であると説明しながらも、現在行っているツアーを終えた後、公の場から「距離を置きたい」と考えていることを明らかにした。数多くの公の場への登場が、「世間から絶え間なく、そして執拗なコメントを受ける状況につながっていた」としている。

翌日には、ポップスター本人が自ら言葉を発した。シカゴでのコンサート中、短いスピーチを読み上げたアリアナは、こう語った。「昨日の発表は、衝動的な決断でも、思いつきで取った行動でもありません。ずっと前から考え、準備してきたことです」

さらに彼女はファンに向けて、「ネガティブな声が自分のすべてを台無しにしている」というわけではないと伝えた。「どんなうわさがあったとしても、私たちが分かち合っているこの愛ほど、私にとって確かなものはありません。何かがそれを変えたり、揺るがしたりすることは決してないのです。」そう語り、ファンへの思いを伝えた。

From madameFIGARO.fr

※この記事は、フランスの新聞社「Le Figaro」グループが発行する「madame.lefigaro.fr」で掲載されたものの翻訳版です。データや研究結果はすべてオリジナル記事によるものです。

  • text: Lovelly Ndinga Ikobo (madame.lefigaro.fr)
  • translation: Hanae Yamaguchi