ファッション史上初! マルタン・マルジェラがパーソナル・アーカイブの特別オークションを開催。

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デザイナー、マルタン・マルジェラのパーソナルアーカイブを出品する歴史的オークション「Martin Margiela Personal Archives Auction」が7月のパリ・オートクチュール期間中に開催される。パリの「Maurice Auction」が、「Kerry Taylor Auctions」と協業し行う予定だ。

FIRST “DOSSIER” 1987 マルジェラがイタリアでメーカーを探しはじめていた頃に、自分のクリエイションを可視化するために描いたドシエ(資料)。

本オークションは、マルタン・マルジェラが1984年アントワープで発表した「Canette d’Or」のデザインをはじめ、2008年自身のブランドであったメゾン マルタン マルジェラを離れ、個人的プロジェクトへ移行するまでの軌跡を辿る、約200点以上のアーカイブピースが出品。存命のクリエイター本人が、直接オークションハウスと協業し、自身の衣服やデザインによるパーソナルアーカイブを出品するのは、ファッション史上初の試みといえる。

“BLOUSE BLANCHE” 1988 – 2008 自身のブランド、メゾン マルタン マルジェラを立ち上げた当時にスタッフ全員が着用していた白いコットンのエプロン。(本人着用分)

「長年、アーカイブを国内外へ移動し、展覧会にも貸し出してきましたが、そろそろ自身のファッションにまつわる記憶の一部を手放す時がきたと感じています。 このコレクションは1984年から2008年にかけての写真、ドローイング、オブジェクトで構成されています。また、一部はパンデミック期間中に制作されたものも含まれています。長い時間をかけて自問自答してきましたが、最終的に決断の後押しとなったのは、多くのコレクターや機関に喜んでもらえるのではないか、という思いでした」と彼は語る。

“DOUBLE TOUR” 時計の“身につけ方”を変えたかったというマルジェラが、スティール製のメンズのロレックスを身につける女性たちの姿から着想を得て手がけた、エルメスのウォッチ。1991年にアンリ・ドリニーがデザインした《ケープコッド》をベースに、いまではさまざまなブランドに影響を与えた「ドゥブルトゥール(二重巻き)」ストラップを生み出した。

また、亡き母のレア・ブシェが所有していたエルメスをはじめとした約60点におよぶルック、バッグ、ファッションアクセサリー、シューズなどのワードローブも出品。彼はエルメス在籍時代、幼き頃からデザイナーを志す自身を支え続けた母へ、数多くのピースを贈っており、今回はそんな深い絆を感じさせる思い出の品々も登場する。極めて親密で私的な側面が描かれながらも、彼がエルメスと歩んだ時代を象徴する、卓越した職人技術や特別なテキスタイル、上質なレザーと向き合った時間が映し出される。

本オークション競売人であるサロメ・ピルソンは「マルタン・マルジェラは創造的天才であり、そのアーカイブは、衣服にとどまらず、人間そのものへの深い思索を映し出しています。また、そのアーカイブは、彼がどれほど若いデザイナーたちへ深い影響を与えてきたかを物語っています。彼の作品は時代を超越しています。これは単なるファッションオークションではありません。衣服という枠を遥かに超えたものです。」 と話す。

GRAFFITI “TABI” 1991 日本で見かけた現場作業員たちからインスパイアされた、メゾン マルタン マルジェラのシグネチャーのひとつ、“TABI”ブーツ。パリのガリエラ美術館で初めて行われたグループ展で、来場者たちが白く塗られた壁や床に自由にメッセージを書き残せるようにしていたところ、足袋ブーツにまで書き込みがなされたという特別な一足。

本展示は、“アンラッピング(開封)”をコンセプトに、長年の友人であるボブ・ヴェルヘルストがキュレーションを手がけ、20世紀初頭の小さな工房を思わせる空間で開催される。“アーカイブを開封していく行為”そのものが体験でき、極めて直接的でありながら、静かな繊細さを伴った演出の中で、未公開であった展示作品のアーカイブの質感や脆さ、それまでに刻まれた時間や記憶と対峙するような、特別な体験を味わえる。

「このオークションは、その存在自体が謎に包まれながらも、ファッション界に多大な影響を与えてきたデザイナーの個人アーカイブへ、かつてない形で触れられる機会です。マルタンの革新的なデザインとランウェイ・プレゼンテーションは、ファッションの景色を永遠に変えました。そして彼が今なお、独自の方法でファッションのバイヤーたちと関わり続けていることは、その創造性が現在もなお鋭く、力強いままであることを示す、天才の証です」 と「Kerry Taylor Auctions」のファッション・スペシャリスト兼競売人のアレックス・バデリーはコメントした。

秘蔵アイテムが多数出品される歴史的オークションを見逃さないで。

「Martin Margiela Personal Archives Auction」
2026年7月9日(木)14:00〜(現地時間)
2026年7月4日(土)〜8日(水)11:00〜18:00
会場:71 rue de la Fontaine au Roi, Paris 11区
入場無料(Maurice Auction公式サイトより事前予約制)
※6月中旬より公式サイトにてカタログが公開予定。プリント版は30ユーロで購入可能。

  • text: Mika Mukaiyama