母・イザベル・アジャーニ、影に隠れてきたふたりの息子について明かす。

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50年以上にわたるキャリアを持ち、フランス映画界を代表する女優のひとりであるイザベル・アジャーニ。そんな彼女は息子2人、バルナベとガブリエル=ケインを徹底して世間の目から遠ざけながら育て上げた。

ガブリエル=ケインとジュリアン・ムーア、シャネルのショーにて。(2015年7月10日、パリ)photography: Ballhausen Hendrik/DPA/ABACA

『アデルの恋の物語』、『テナント/恐怖を借りた男』、『殺意の夏』、『平手打ち』、『カミーユ・クローデル』等々、1970年代に女優としてデビューして以来、イザベル・アジャーニは数々の話題作と圧倒的な演技力によって常に注目を集めてきた。女優としての実力は、フランス映画界最高峰のセザール賞を史上最多の5回受賞という記録が証明している。華々しい成功が広く報じられる一方で、私生活はあまり知られないままだ。

彼女がとりわけ守りたかったのが息子2人、バルナベとガブリエル=ケインだ。その甲斐あって現在もこの2人はフランス国内でさえ、ほとんど一般に知られていない存在だ。イザベル・アジャーニの歩みを丹念に追い、すべてのインタビューを知っている熱心なファンだけが(息子がいることを含めて)2人の名前を知っている。「私が願うのは息子たちの幸せです。あの子たちが幸せでなければ、人生は無価値です」と2026年2月、第28回「詩人の春」の後援者を務めた際の仏「マダム・フィガロ」誌の取材で女優は語っている。

どちらも芸術の道へ

2013年、イザベル・アジャーニは長男バルナベとフランスのカナルプリュスのTV情報番組「ル・グラン・ジュルナル(Le Grand Journal)」に突然出演し、ファンを驚かせた。バルナベはイザベル・アジャーニが映画監督・撮影監督のブリュノ・ニュイッテンとの間に1979年、もうけた息子だ。現在40代のバルナベは目立たない存在で、この親子共演は極めて珍しいものだった。彼の経歴はほとんど知られていないが、2013年まではエレクトロニック・ミュージック・バンド「The Aikiu」のドラマーとして活動していた。2013年のTV出演も、同バンドの新作アルバム『Ghost Youth』のプロモーション活動のため、当時ミシェル・ドゥニゾが司会を務めていたこの番組に出演したのだった。

ソングライターとしての活動のかたわら、バルナベは環境保護活動にも積極的に取り組んでいる。イザベル・アジャーニは2018年5月、「パリ・マッチ」誌のインタビューでこう語っている。「バルナベとは価値観を共有しています。環境保護にとても熱心で、(中略)何事にも集中し、真剣に取り組んでいます」。バルナベは2016年頃から日本酒の魅力にも目覚めたようで、現在は日本酒と焼酎の専門サイト「パリシマ(Parishima)」を運営している。同サイトによれば、伝統製法の日本酒の輸入や専門家向け研修、ガストロノミーの分野を中心に活動しているようだ。

異母弟ガブリエル=ケインについてはもっと多くの情報が出回っている。それも無理はない。なにしろ現在31歳の彼は、イザベル・アジャーニと映画界のビッグスター、ダニエル・デイ=ルイスとの間に生まれた息子なのだ。1995年にニューヨークで生まれ、パリで母と子ども時代を過ごした後、父や異母弟たちが暮らすアイルランドへ移ったと「ピープル」誌は伝えている(2010年に一家はニューヨークへ戻った)。異母兄バルナベのように、ガブリエル=ケインも当初はミュージシャンを志していた。独学でピアノとギターを学び、その後はボストンのバークリー音楽大学に進学した。

しかし夢は挫折した。「クラシック音楽の基礎教育を受けていなかったので、勉強が追いつかず、行き詰まってしまいました」と彼は2021年12月、大学中退の決断をした直後に出演したポッドキャスト『アン・アクター・デスペアズ(An Actor Despairs)』で語っている。「曲を書くことで癒されていたはずが、次第にストレスの原因になってしまったのです」

その後は著名な両親に倣い、俳優の道へ進むことを決意する。6年以上にわたりオーディションを受け続け、とうとう2022年にウェスタン映画『Terror on the Prairie(原題)』で初めての役をつかんだ。スクリーンデビューが遅れたのは企画を面白くない、意欲的でないといった理由で断り続けてきたためだという。「要求水準が高いことで傲慢、自信過剰と受け止められるかもしれませんが、違うんです。映画を心から愛しているので、好きになれそうにない作品には参加したくないだけです」と彼は上述の『An Actor Despairs』のインタビューで説明している。

並行して生活費を稼ぐためにモデル活動も始めた。20歳だった2015年7月のパリ・ファッションウィークでは女優ジュリアン・ムーアとともにシャネルのランウェイを歩き、エルメネジルド ゼニアやハドソン・ジーンズの広告キャンペーンにも起用された。

2016年9月には、イザベル・アジャーニとガブリエル=ケインがマダムフィガロ誌の表紙を飾った。母子インタビューで、若き俳優は母への敬意をこう語っている。「母の情熱、粘り強さ、真摯な姿勢、そして才能。すべてがお手本です」

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※この記事は、フランスの新聞社「Le Figaro」グループが発行する「madame.lefigaro.fr」で掲載されたものの翻訳版です。データや研究結果はすべてオリジナル記事によるものです。

  • text: Solene Delinger (madame.lefigaro.fr)