「前向きな執着」マイケル・ライダーが追求したセリーヌらしさ。2027年サマーコレクションをパリで発表。
セリーヌのアーティスティック・ディレクター、マイケル・ライダーが、2027年サマーコレクションを発表した。2025年の就任以来一貫して紡いできたセリーヌの世界観は、今シーズンもまた新たな表情を見せている。

「前向きな執着」という一言から幕を開けるショーノートには、帰属意識、常識を揺さぶること、身ぶりと自然体、華やかさ、そして五感のすべて——相反するはずの言葉たちが、不思議と寄り添いながら連なっていく。「ドレスアップして、街を離れる」という一節がそっと示すように、どこか高揚感をまとった、気負いのないエレガンスが今シーズンの軸となった。
ランウェイを貫いたのは、ゆとりをもたせたオーバーサイズのジャケット。メンズ、ウィメンズを問わず、ゆったりとしたパンツやロングスカートへとつながり、性別の境界をふわりと溶かすセリーヌらしいスタイリングが随所に息づく。




キャメルやベージュの大ぶりなコートやトレンチなども繰り返し登場し、黒を基調とした装いに温かみを添える。


カラーパレットは、モノトーンを軸にしながらも、鮮やかな赤やイエロー、ヴィヴィッドなピンクが差し色として映える。なかでも、ゴールドのビーズ刺繍をまとったマキシドレスは、クチュールを思わせる華やぎで異彩を放った。



民族衣装の記憶を呼び起こすようなプリントやモチーフをあしらったベロア素材のドレス、花をかたどった刺繍もそこかしこに忍び込み、ロングのビーズネックレスが装いに異国の気配を添えていた。




アクセサリーのなかでも、今季のスタイリングを静かに支配していたのはベルトだ。大ぶりなゴールドバックルが腰のまわりで存在感を放つものもあれば、糸のように細いベルトでそっとウエストをなぞるルックも多い。

2026年スプリングコレクションから引き続く、ウエストを強く意識したシルエットづくり。今季もほぼすべてのルックが何らかのかたちでウエストへと視線を誘い、オーバーサイズのシルエットのなかに、身体のラインをふと思い出させる絶妙な均衡をつくり出していた。

ハットやベレー、ヘッドスカーフといった被り物もアクセントとして点在し、手にはジャーナルのような形のクラッチや、柔らかな質感のトートバッグが無造作に抱えられる。「身軽で、気負いがないこと」——その言葉どおりの佇まいが、ランウェイに漂っていた。


デビューから続く一貫したまなざしのなかで、ライダーが見つめていたのは、ひとつの様式に縛られない、自由でパーソナルな「セリーヌらしさ」だった。
- photography: Celine text: Akiko Mizuguchi
- edit: フィガロジャポン編集部